SBI損保 自動車保険を比較・評価

SBI損害保険
オススメ度:
2
保険会社:
SBI損保
名称:
自動車保険
免許の色:
割引あり
走行距離:
割引あり
オリコン:
6位 / 16社中
特徴:
やすさ満足度、いちばんへ

SBI損保の自動車保険は各種宣伝や公式HPでも保険料の安さを前面に出しており、現にオリコンや価格コムの保険料満足度では例年1位となっています。ただ、後述するように条件次第では必ずしも最安値とならず、他社の方が1万円以上安くなるケースもあります。

また、保険料が安いと心配になるのが補償内容や事故対応等についてでしょう。保険料が安くても肝心の事故での対応が悪いようだと、何のための保険か?となります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険では対人賠償・対物賠償・他車運転特約・無保険車傷害特約等が自動付帯(自動セット)となり、人身傷害補償・搭乗者傷害保険・車両保険は付加するか自分で選べます。さらに弁護士費用等補償特約・ファミリーバイク特約等の特約は任意で付加できます。

SBI損保 自動車保険の補償内容(出典:SBI損保 自動車保険 商品概要パンフレット2022年9月以降)

2018年までは個人賠償責任特約(日常生活で他人をケガさせたり、子供が物を壊した場合の補償)は付加できず、自転車事故補償特約に示談サービスもありませんでした。現在では個人賠償責任特約が付加でき、自転車事故でも示談サービスありに改定さました。その改定の際に被害者救済費用等補償特約が自動付帯となり、自動運転時の不正アクセスでも補償されるようになりました。

その他に目新しい特約はありませんが、強いて挙げれば自宅・車庫等修理費用補償特約でしょうか。これは自宅や車庫にぶつけた場合、30万円を限度に補償が受けられる特約です。この特約が無い自動車保険も他社にはあるため、運転に自信がない人(本人だけではなく配偶者・子供でも)だと検討の余地があるかもしれません。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・免許証の色・年間走行距離・使用目的で計算されますが、2018年からは地域別料率が導入され居住地により保険料差が出るようになりました。2022年には年間走行距離で3000~5000キロと3000キロ未満が新設され、週末のみ利用する人等には一段と安い保険料になるよう改定されました。

インターネット割引や証券不発行割引等に加えて、新車割引・セーフティサポートカー割引があります。新車割引は従来は普通車のみ対象でしたが、2019年からは軽自動車も対象となりました。セーフティサポートカー割引は衝突軽減ブレーキが搭載されていると割引されます。

それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

6等級で初めて加入する人の23歳・30歳・40歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

SBI損保の自動車保険の年間保険料は、他社と比較して23歳では最安値となっています。同じダイレクト型(通販型)の自動車保険よりも5000円以上は安く、代理店型よりは2~3万円は安いです。その一方で30歳・40歳だとチューリッヒ・アクサに抜かれますが、それでも保険料は相対的に安いのは間違いありません。

次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

13等級か20等級で他社からの乗り換えで加入する人の30歳・40歳・50歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この場合のSBI損保の保険料を他社と比べると、どの年齢でも最安値に近い金額なのが分かります。30歳ではチューリッヒより高く40歳・50歳ではセコムより高いとはいえ、その差額は年間で僅か数百円です。保険料の安さを謳っているだけあります。

以上を踏まえると、保険料面からは初めて自動車保険に加入する人にも乗り換えする人にも安い保険といえます。特に20代で初めて自動車保険に加入する人には財布に優しい保険といえるでしょう。他の条件では安いとはいえ最安値ではありませんが、差額は小さいため後述するメリット・デメリット・評判次第ではSBI損保にしても良いかもしれません。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険料が安い点が挙げられます。代理店型の自動車保険と比べて半額以下の保険料のため、大幅に保険料を節約できます。さらに年間走行距離が3000キロ未満を選択できるため、週末ドライバーや主に子供の送迎に使うだけなら一段と保険料が安くなる可能性があります。

また、23歳(ブルー免許)でも保険料は他社より安い点もメリットでしょう。ブルー免許は免許取立てだけではなく事故・違反でゴールド免許からブルー免許になることがあります。一般的にゴールド免許からブルー免許になると保険料が上昇しますが、SBI損保だと保険料の上昇幅が他社より小さい可能性があります。

ロードサービスにプレミアムサービスがあるのもメリットです。プレミアムサービスは自分が指定した修理工場までのレッカー移動は150キロまで無料、ガス欠・バッテリー上がりの現場対応の時間制限なし、事故時の搭乗者の宿泊費用が2泊(1泊あたり15000円上限)に引き上げられます。

SBI損保 自動車保険のロードサービスとプレミアムサービスの内容(出典:SBI損保 公式HP「SBI損保安心ロードサービスプレミアムのご案内」)

それもプレミアムサービスは契約3年目か車両保険・自宅車庫修理特約等を付加すると利用でき、利用するためのハードルは高くありません。もしもSBI損保のがん保険ないしは火災保険に加入していれば、無条件でプレミアムサービスが利用できます。

ちなみに2022年の改定で同姓パートナーも配偶者として扱われることになりました。パートナーが配偶者扱いとなるため、自動車保険の一本化が可能となりノンフリート等級も本人の等級が適用されます。自動車保険を一本化するなら等級が高い方が契約すれば良いわけです。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値ではない点が挙げられます。安い安いといっても23歳(ブルー)以外の条件ではチューリッヒかセコム損保あたりに負けます。1円でも安い保険料を求める人だと、この保険料では満足できないでしょう。

また、ロードサービスはプレミアムサービスが利用できればメリットになりますが、そうでなければデメリットになり得ます。指定工場までの無料距離は50km(他社は100kmもある)となり、キー紛失時の開錠は不可(他社の多くは可)となります。

さらに他社では自動車保険のIT化(ないしはIoT活用)を進めています。通報・連絡機能を備えたドライブレコーダーや衝撃検知センサーとアプリの連動等をしています。この保険には類似の展開が見られず、事故時の対応のスムーズさが無く手間を要する可能性があります。

評判・苦情

SBI損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の309億円から325億円に5.1%ほど増加していました。その中の自動車保険も290億円から303億円に4.4%ほど増加しています。他社も5~6%ほど伸びているケースが多いため、契約数からすると評判は悪くありません。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、SBI損保全体に寄せられた苦情数は8494件(2020年度累計)です。同程度の業績である三井ダイレクトの1995件やイーデザイン損保の2553件より圧倒的に多いです。直近の四半期の苦情では、2596件のうち保険金に関する苦情が50%と最も高い比率を占めていました。苦情面からすると評判は良くありません。

SBI損保の直近四半期の苦情数(出典:日本損害保険協会公式HP 会員会社にいただいたお客様の声2022年1月~3月)

次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、SBI損保は16社中6位と中間に近い順位です。この調査では各項目別に平均点が設定されていますが、この保険で平均点をクリアしたのは加入更新手続き・商品内容・保険料です。特に保険料は1位で非常に高い評価を受けています。

その一方で、事故対応・調査認定・受取額と支払スピードは10位と低評価です。受取額・支払いスピードが低評価なのは苦情内容とも合致します。さらにロードサービスは10位以下と極めて低評価です。プレミアムならロードサービスの内容は良く見えますが、実際の現場対応はイマイチという可能性がありそうです。

SBI損保のオリコン自動車保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「SBI損害保険 自動車保険の評判・口コミ」)

調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」でも、SBI損保は8社中6位と下位で顧客満足度は低めです。さらに事故対応満足度調査では12社中11位と下から2番目の順位です。事故対応満足度についてはオリコンと同様のため、信憑性が高まる結果といえるでしょう。

JDパワー 2021年 自動車保険契約満足度調査ダイレクト系保険会社(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2021年 自動車保険事故対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

以上のデータから考えると、SBI損保の評判は総合的には悪そうです。評判が良いとすれば保険料だけで、他の点については不安が高まる結果です。特に心配なのは事故対応と保険金についてです。事故対応は各調査で軒並み低評価のため、事故担当者の知識不足・示談での交渉力の弱さに加えてスピード感も無いのかもしれません。保険金もスピード感の無さに加えて金額に不満がある人が多そうです。また、ロードサービスも低評価のため、プレミアムでも期待は持たない方が良いかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、SBI損保の自動車保険はイマイチな保険です。総合的に評価できるのは保険料ぐらいだからです。その保険料もチューリッヒやセコムに負けるケースがあります。一点、23歳(ブルー免許)で保険料が安いため、20代や事故後に安い保険料を求める人にはSBI損保は検討候補になるでしょう。

その一方で保険料の安さを突き詰めるならチューリッヒ・セコム損保が候補になります。保険料は高いものの顧客満足度の高いソニー損保、保険料は安めでバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)もあります。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも検討しても良いかもしれません。