セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険を比較・評価

セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険
オススメ度:
4
保険会社:
セゾン自動車火災保険
名称:
おとなの自動車保険
免許の色:
割引あり
走行距離:
割引あり
オリコン:
2位 / 16社中
特徴:
合理的で割安

おとなの自動車保険は、セゾン自動車火災保険が2011年から販売を開始した自動車保険です。長らく事故率の低い40~50代の保険料が割安である点を謳って来ましたが、現在は35歳から1歳刻みで年齢を重ねる度に保険料が安くなる仕組みになっています。

この謳い文句の通り40代・50代では保険料が安めですが、あくまで20等級で乗り換えをする人が安いだけで、等級によっては他社よりも明らかに高い保険料(詳細は後述)となります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険では対人賠償・対物賠償・対物超過補償・人身傷害等が自動付帯(自動セット)となります。他社と同様に搭乗者傷害・車両保険・弁護士特約特約等は付加するか自分で決められ、JAF等を利用している人のためロードサービスも補償から外せます。

セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険の補償内容(出典:セゾン自動車火災公式HP 「えらべる補償で納得の保険料」)

基本補償以外の特約には弁護士費用特約・個人賠償責任特約・自転車傷害特約・ファミリーバイク特約・身の回り品補償等があります。どの特約も他社にもあり珍しくありません。ただ、弁護士特約は保険会社が示談できない「もらい事故」で有用です。個人賠償責任特約は自転車事故等で加害者となった場合に有用ですが、火災保険やクレジットカードと重複していればカットできます。

おとなの自動車保険で特徴的なのは車両保険で他社よりも細かい設定ができる点です。一般的な車両保険は盗難・当て逃げ等も補償しますが、この保険では補償を狭めることで保険料を削れます。外せるのは火災・台風等、盗難、水彩、単独事故・当て逃げへの補償です。最も補償を狭くすると車同士の事故以外は補償外にできます。

セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険の車両保険の補償内容(出典:セゾン自動車火災 新規契約をご検討中のお客様用パンフレット 保険始期日2023年1月1日以降)

補償を狭めて保険料を削れるとはいえ、契約者の43.1%が補償を狭めておらず大多数を占めています。そのため無理に補償を狭める必要はありません。ただ、契約者の19.6%の人は水災を補償外にしている点は見逃せません。自宅の近くに川が無い人やマンション住まいの人は検討しても良いでしょう。車同士の事故のみの補償にした人も10.1%いるため、最低限の車の補償にする人も珍しくはありません。

▲ページの一番上に戻る

保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・免許証の色・使用目的・年間走行距離で計算され、電気ハイブリッド車割引・ASV割引(自動ブレーキ割引)が適用されれば保険料は下がります。さらに車種・使用条件とは無関係で、保険始期日の30日前か50日前に契約するだけで割引される早割30日と早割50日もあります。

それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

6等級で初めて加入する人の23歳・30歳・40歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

セゾンおとなの自動車保険の年間の保険料は、他社と比べて中間か少し高い部類に入ります。ただ、23歳のケースではSBI・チューリッヒ・アクサ・JA共済に次いで保険料は安いです。とはいえSBIとの差額は1万円以上あるため、相対的には安いという程度に留まります。

次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、この場合は乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

13等級か20等級で他社からの乗り換えで加入する人の30歳・40歳・50歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この場合のセゾンの保険料を他社と比べると、初めて加入するケースより相対的に一段と安い水準になっていました。特に謳い文句の通り40歳・50歳の保険料は最安値には及ばないものの、かなり安い水準にあります。その一方で30歳(13等級)はイーデザイン損保・アクサ等よりも高い点には注意が必要でしょう。

以上を踏まえると、保険料は他社と比べて安めの保険といえます。特に乗り換えを検討している人は保険料の安さを感じられそうです。最安値圏には及ばない保険料ですが、あくまで保険料の比較は1年目の数字です。後述するように2年目以降となると状況は少し異なります。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険料が安めで2年目以降も安い点が挙げられます。その主な要因がインターネット割引で、この保険では契約2年目以降もインターネット割引が1万円もあります。他社では契約2年目に加えて3年目でも割引額が縮小されることがありますが、この保険は3年目も4年目も比較的大きい割引額が継続します。

セゾン自動車火災保険 おとなの自動車保険のインターネット割引の内容(出典:セゾン自動車火災公式HP 「ゴリヤスってな~に?」)

前述の初めて加入の30歳の保険料比較では、おとなの自動車保険はイーデザイン損保よりも2500円ほど高い保険料でした。契約2年目以降はイーデザイン損保が10000円割引が継続割引の2000円に減るのに対して、この保険は13000円割引が10000円割引に減るだけです。結果として2年目以降はイーデザイン損保が約36000円になり、この保険は約33000円となり安さで逆転します。2年目以降を見据えれば保険料は見かけより安いといえます。

補償面では余計な補償・特約が無く最低限揃っているのもメリットかもしれません。余計な補償で保険料は膨らまず、特約でも選択肢が厳選されているため迷いが生まれにくいです。それと反するようですが、車両保険で補償を細かい設定で縮小も拡大もできるのもメリットでしょう。補償を縮小し過ぎることなく保険料を削減できます。

ちなみにロードサービスでは自分の指定工場までのレッカー移動は180キロまで、ガス欠時の給油は年1回まで無料です。他社では前者が50キロ、後者は契約2年目からだったりガス代は有料だったりします。ロードサービスのサービス内容が良いのもメリットといえそうです。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値圏ではない点が挙げられます。2年目以降もインターネット割引が大きいとはいえ、最安値圏の保険は契約2年目以降も割引額は大して縮小しません。SBI損保は1.4万円割引が1万円割引、セコム損保は3500円割引が2000円割引になるだけで、チューリッヒのネット専用に至っては契約2年目も保険料は変わりません。

初めての加入の30歳の契約1年目の保険料では、この保険とSBIとの差額は6000円のため逆転はできません。乗り換えの場合でもSBIとの差額は6000円だったため逆転はできません。セコム損保と比較しても同様で、ネット割引が無いチューリッヒと比べると、むしろ保険料の差は広がることになります。

補償面では最低限の特約はありますが、特徴的な特約やオリジナリティのある特約はありません。他社ではペットへの補償だったり、家族の日常生活におけるケガを補償する特約等があります。誰しもに必要な特約ではなくとも、必要としている人がいる可能性は十二分にあります。

また、他社の自動車保険の多くがITを活用した事故対応のスピード化をしていますが、この保険ではITの活用で出遅れています。他社は専用端末による安全運転支援や緊急連絡、安全運転スコアの算出と保険料の割引(ないしはポイント付与)をしています。

評判・苦情

セゾン自動車火災保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の550億円から581億円に5.6%増加していました。その中で自動車保険は513億円から547億円に6.7%増加し好調です。他社も5~6%ほど増加しているため、契約数からすると評判は普通です。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、セゾン自動車火災全体に寄せられた苦情数は1985件(2020年度累計)です。セゾンと同程度のシェアであるアクサの3.6万件より圧倒的に少ないです。直近の四半期の苦情では、313件のうち保険金に関する苦情が66.8%と最も高い比率を占めますが、他社も同じく保険金に関する苦情が大半を占めます。苦情面からは評判は良さそうです。

セゾン自動車火災の直近四半期の苦情数(出典:日本損害保険協会公式HP 会員会社にいただいたお客様の声2022年1月~3月)

次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、セゾン自動車火災は16社中で2位とトップ3に入ります。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等の評価項目毎の順位もありますが、加入更新手続き・商品内容・保険料の項目で2位となっています。

その一方で保険金の受取額と支払スピードで6位、事故対応・調査認定・ロードサービスは9位と低調です。特に調査認定とロードサービスは平均値も下回っており評判は芳しくありません。ロードサービスはサービス内容は良さそうなだけに、実際の故障時の現場対応等で利用者の不満がありそうです。

セゾン自動車火災保険のオリコン自動車保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「セゾン自動車火災保険 自動車保険の評判・口コミ」)

第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」でも、セゾン自動車火災は8社中で2位と上位にいます。ただ、事故対応満足度調査では12社中で4位と順位を下げ、オリコンほどでは無いもののギリギリ業界平均を上回る結果となっています。

JDパワー 2021年 自動車保険契約満足度調査ダイレクト系保険会社(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2021年 自動車保険事故対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

以上のデータから考えると、セゾン自動車火災の評判は良さそうです。ただ、事故対応(+調査認定)とロードサービスに一抹の不安があります。ロードサービスは他社と異なり外せるため、不安ならJAF等を利用するのも手かもしれません。事故対応はオリコンでの低評価が気になるところですが、JDパワーでは平均は上回っているため過度な心配はいりません。とはいえ担当者の当たり外れにより満足な事故対応が受けられない可能性はあります。この点は頭の片隅にでも入れておいた方が良いかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、セゾン自動車火災の自動車保険はオススメの保険です。補償・保険料・評判で突出した結果は残せていないものの、総合的なバランスは取れているからです。ただ、今後は事故対応に不安があります。現段階で悪くはない評価ですが、今後は他社のIT活用によりセゾンの評価が押し下げられる可能性があります。

そのため現段階でもセゾン自動車火災の事故対応が加入のネックに感じる人は、事故対応で評価が高いソニー損保を検討しても良いかもしれません。保険料度外視なら損保ジャパン・東京海上も候補になります。その一方で事故対応・評判云々より保険料を最重要視するなら、SBI損保・チューリッヒ・セコム損保あたりが候補になるでしょう。