楽天損保 ドライブアシストを比較・評価

楽天損保 くるまの保険 ドライブアシスト(個人用自動車保険)
オススメ度:
2
保険会社:
楽天損害保険
名称:
ドライブアシスト
免許の色:
割引あり
走行距離:
割引なし
オリコン:
15位以下 / 16社中
特徴:
ひとつ上の安心が加わった保険

楽天損保は中堅の朝日火災海上を2018年に買収して誕生した損害保険会社です。自動車保険のドライブアシストは2020年1月より発売を開始し、走行距離1000キロ以下の保険料区分を設けたり、保険料で楽天ポイントが貯まるといった特徴を打ち出しました。2021年には前年比2.9倍の販売件数となるなど、新契約数を着実に拡大しています。

とかく楽天ポイント等の楽天グループのサービス連携に目が行きがちですが、肝心なのは自動車保険として保険料・補償が良いかです。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険では対人賠償・対物賠償・人身傷害等が自動付帯(自動セット)となり、搭乗者傷害保険・車両保険は自分で付加するか選択します。さらにファミリーバイク特約・弁護士費用特約・自転車傷害特約・個人賠償責任補償特約等も選択制ですが、車両保険・特約と関係なくALSOK現場かけつけサービスとロードサービスは付いています。

楽天損保 ドライブアシストの補償内容(出典:楽天損保 ドライブアシスト 個人用自動車保険パンフレット 2021年1月改定版)

基本的には自動セットとなる補償だけで十分ですが、人によっては各特約は検討に値します。ファミリーバイク特約は原付に乗っている人(特に通勤・通学で乗っている人)は検討の余地があります。個人賠償責任補償特約は子供が他人の物を壊したり、自転車で他人をケガさせた場合に補償が受けられます。火災保険・クレジットカードに付いていなければ積極的に検討すべきでしょう。

弁護士費用特約は、もらい事故への考え方次第で付加するか否かを決めましょう。もらい事故(相手方に過失割合100%の場合)には保険会社が示談交渉できません。そのため自力で金額を交渉する必要がありますが、弁護士特約だと交渉を弁護士に任せられます。そのため交渉に自信があるなら別ですが、金額以外に手間を省く意味でも価値がある特約です。

他方でファミリー自転車傷害は自転車で自分がケガをした場合の補償です。通勤通学でロードバイク(マウンテンバイク)で相応のスピードを出している人は一考しても良いでしょうが、普通の自転車・ママチャリであれば基本手金は不要です。車内積載動産特約は事故で車内の貴重品が破損した場合の補償ですが、補償対象はカメラ・ゴルフクラブ等に限られます。スマホ・ノートPCは対象外のため必要度は低いでしょう。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・免許証の色・使用目的・年間走行距離で計算され、新車割引・ASV割引(自動ブレーキ割引)・複数代割引があります。年間走行距離は冒頭でも既述したように、他社よりも短い1000~3000キロ未満、1000キロ未満の区分があります。走行距離が短い人は保険料が一段と安くなります。

それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

6等級で初めて加入する人の23歳・30歳・40歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

楽天損保の自動車保険の年間保険料(ネット割引適用済み)は、どの年齢層でも他社と比較して高めです。特に23歳・6等級・ブルー免許だと共栄火災・全労済に次ぐ高さです。保険料に対して2~3%分の楽天ポイントが手に入ったとしても、700~2000ポイント程度のため他社を逆転できません。

次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

13等級か20等級で他社からの乗り換えで加入する人の30歳・40歳・50歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この場合の楽天損保の保険料を他社と比べると、初めての加入の場合と異なり相対的に安い部類に入ります。楽天ポイントを加味しても逆転はできませんが、最安値の保険とは数千円の差額まで縮まります。

以上を踏まえると、保険料は乗り換えをする人には安めといえます。数千円の差額なら走行距離が3000キロ未満か1000キロ未満なら最安値圏の保険と同等程度になる可能性もあります。その一方で初めて加入する人からすると保険料面ではイマイチです。そのため保険料・ポイント以外のメリットを探す必要があるでしょう。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険料のネット割引が新規でも継続でも25%割引になる点が挙げられます。他社の自動車保険では契約1年目だけ1~2万円のネット割引があり、2年目以降は継続割引となり割引額が数千円に縮まることが多々あります。そのため乗り換えの人の保険料は、2年目以降なら他社よりも安くなり最安値圏に食い込みます。

さらに楽天ポイントが楽天カードでの支払いにすれば最大3倍(3%分)となる点もメリットです。楽天ポイントは楽天市場での買い物に利用できる他、他のポイントやマイルにも交換できます。楽天ポイントの有効期限は期間限定ポイントを除けば実質無期限(利用があれば1年延長)です。ANAマイルやJALマイルは有効期限があるため、楽天ポイントで貯めてマイルに交換すれば海外旅行にマイルで行けるほど貯めることも可能です。

楽天損保 ドライブアシストの割引項目と貯まる楽天ポイント(出典:楽天損保公式HP 「ドライブアシスト」)

さらに楽天カードなら2022年4月から保険料の分割払い・リボ払いが可能となりました。保険料は1回払いのみにする自動車保険もあるため、支出の平準化をしたい人には朗報でしょう。もちろん分割払い・リボ払いにしても楽天ポイントは1回払いと同様に受け取れます。

また、インターネットでの申し込みだけにメリットがあるようですが、店頭・代理店等で申し込んだ場合もロードサービスがグレードアップするというメリットがあります。ガス欠時のガソリン・軽油のお届けが年1回から年2回になり、臨時代替交通費用サービス・臨時宿泊費サービスの限度額が2万円から4万円になり、臨時ペット宿泊費用サービスの限度額が1万円から2万円にアップします。

楽天損保 ドライブアシストのロードサービスの内容(出典:楽天損保 ドライブアシスト 個人用自動車保険パンフレット 2021年1月改定版)

最後のペットの臨時宿泊費サービスですが、特約ではなくロードサービスに含まれているのも地味にメリットです。他社では特約扱いにして特約分だけ保険料が上乗せされますが、この保険では無料のロードサービスに組み込まれているため保険料負担はありません。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が初めての加入だと高い点が挙げられます。いくら2年目の保険料が他社よりも安いとはいえ、最安値圏の保険料とは差額が2~3万円ほどあります。この差額だと他社で2年目以降にネット割引が無くなっても逆転はできません。

最大の魅力である楽天ポイントにもデメリットがあります。楽天ポイント自体はデメリットではありませんが、ポイントの付与率が現在の3%から今後は改悪される可能性があるからです。楽天ポイントを見込んで加入しても気づかない内に付与率が下がり、1%になるか条件が厳格化されることがあります。

さらに対面申込だとロードサービスは拡充されますが、ネット割引額に相当するサービスかと言われれば疑問符が付きます。25%分の割引だと保険料が4万円なら1万円程度ですが、それに対して臨時宿泊費等が倍増しても釣り合ってない感があります。そもそも宿泊が必要な遠出で事故を起こすという状況が無い人、例えば遠出するなら新幹線・飛行機の人、車は子供の送迎のみの人だとメリットには感じないでしょう。

また、いくつかの特約を記述しましたが、どれも楽天損保だけにある特約ではありません。肝心の補償面では特筆すべき点が無いのです。他社では通報・連絡機能を備えたドライブレコーダーや、衝撃検知センサーとアプリの連動等で事故対応のスピード化がされています。そういった特徴も楽天損保には見受けられません。

評判・苦情

楽天損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の157億円から174億円に11%ほど増加していました。その中で自動車保険は84億円から104億円に23%ほど増加していました。他社では伸びても5~6%ほどのため、契約数からすると評判は良さそうです。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、楽天損保全体に寄せられた苦情数は2804件(2020年度累計)です。自動車保険で同程度のシェアであるセコム損保が1461件のため苦情数は多めです。直近の四半期の苦情では、652件のうち契約・募集に関する苦情(新規契約時の内容・手続き)と契約の管理等に関する苦情(契約後の契約内容の変更手続き等)が30%後半で高い比率を占めていました。各手続きは苦情面からして評判は良くありません。

楽天損保の直近四半期の苦情数(出典:日本損害保険協会公式HP 会員会社にいただいたお客様の声2022年1月~3月)

次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、楽天損保は16社中で15位以下と下位に沈んでいます。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応・ロードサービス等が評価項目にありますが、どれも平均点以下で10位未満の順位です。

ただ、第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(代理店系保険会社)」では、楽天損保は8社中で2位と顧客満足度は高いです。こちらも契約手続き・価格・顧客対応・事故対応等が評価項目ですが、契約内容・契約手続きと保険料で最高評価を得たからのようです。

JDパワー 2021年 自動車保険契約満足度調査代理店系保険会社(出典:JDパワー公式HP)

以上のデータから考えると、楽天損保の評判は悪くはなさそうです。買収前の朝日火災が2018年時点でも顧客満足度が高く評判が良かったのを上手く引き継げたのかもしれません。オリコンで15位以下だったのはサンプル数不足だっただけの可能性があります。ただ、今後も契約数が伸びていく中で顧客満足度の高さをキープできるかという課題はあります。現に苦情数は多めになっており、JDパワーの調査でも評価されたのは顧客対応・事故対応ではなく手続き・保険料といった契約前の事柄です。今後、評判が悪化する可能性も十二分にあるでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、楽天損保の自動車保険は微妙な保険です。今のところ保険料・楽天ポイント等でメリットがありますが、将来を見据えれば不安な点があります。そのため今から契約しても数年後には状況を確認して、他社に乗り換えるか検討が必要でしょう。

その一方で初加入だと楽天損保は高いため、保険料を重視する人はSBI損保・チューリッヒ等を検討する必要があります。保険料を多少は犠牲にしても良いなら、保険料は高いものの顧客満足度が高く事故対応が良いソニー損保、保険料は安めでバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)も検討するのが賢明です。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも検討しても良いかもしれません。