トータルアシスト住まいの保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 東京海上日動
- 名称:
- トータルアシスト住まいの保険
- 基本補償:
- 火災・風災・水災
- サービス:
- カギ・水回りの補修
- オリコン:
- 4位 / 12社中
- 特徴:
- 住まいと日々の生活に安心をお届けする
トータルアシスト住まいの保険(火災保険)は、東京海上日動が販売している火災保険です。冠のトータルアシストは同社の他の保険にも付いており、2005年から2023年現在まで継続して使用しています。トータルアシストは保険利用時に様々なアシスト(事故防止アシスト・緊急時助かるアシスト等)があることを表しています。
販売開始しから相応の年数が経過していますが、2022年10月には水災初期費用補償特約(水災被害で保険金とは別に早急に10万円が受け取れる)が新設される等、補償内容は細かく調整されています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は充実タイプ・スタンダードタイプ・マンション向けタイプの3つのタイプがあり、どのタイプかによって補償される災害が異なります。充実タイプは火災・風災・水災・盗難水濡れ・破損汚損といった全ての災害が補償されます。それがスタンダードプランになると破損汚損が補償外となり、マンションタイプだと水災が補償外となります。盗難水濡れだけ補償外にしたい場合等は、東京海上へ問い合わせが必要となります。
災害による修理費の補償以外に費用補償があり、火災等が生じた後に損害の発生・拡大を防ぐための費用(火災報知機・消化器の購入等)を補償する損害拡大防止費用保険金、水道管凍結時の修理費を補償する水道管凍結修理費用保険金等があります。さらに冒頭で記述した水災の発生時に当座の生活資金として10万円が受け取れる水災初期費用保険金があります。
その他はオプション(特約)で選択できます。子供が物を壊したり自転車事故で加害者となった場合に補償される個人賠償責任補償特約、加害者だけではなく被害者となった場合にも弁護士に相談できる弁護士費用特約等があります。あまり他社では見かけない特定設備水災補償特約という特約もあります。水災の程度に関わらず水災で空調・冷暖房(室外機)・充電機器が補償されます。
さらにPCやスマホが不正アクセスされた場合の修理費用・データ復旧費が補償されるホームサイバーリスク費用補償特約もあります。この特約は住まいのサイバーアシストというサービスと自動セットとなっており、インターネットでのトラブルに関する無料相談サービスが利用できます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで159,400円となります。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年一括払いで165,590円に上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、東京は52,870円で大阪は53,320円になります。
この保険料には地震保険は含まれていませんが、東京海上は原則として地震保険を自動セットとしています。そのため上述の保険料に地震保険分の保険料が追加されます。もちろん原則でしかないため、地震保険が不要であれば外すことも可能です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪市城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、戸建てだと他社よりも高く最安値圏の保険とは5~6万円の差があります。マンションでも同様で、最安値圏の保険とは2万円以上の差があります。この保険料の高さは関東でも関西でも差異はありません。
以上を踏まえると、トータルアシスト住まいの保険の保険料は相対的に高いのは間違いありません。保険料面でいえば他社にはより良い(保険料が安い)保険は数多くあります。保険料の高さは補償が手厚いからともいえますが、それ以外に保険料の高さを肯定できるメリットがあるのか確認していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは補償タイプ(おすすめプラン)がある点が挙げられます。あらかじめプランが提示されていれば、加入時に迷ったり補償の選択で余計な時間を費やすこともありません。特に戸建て・マンションを購入して火災保険に加入する人は、新居に向けて引越し等で時間に追われているためメリットになります。
もちろん補償の自由度が高い方が良いともいえますが、漠然と決めると災害発生時に火災保険が無意味になります。下図は住まいの保険の事故件数割合ですが、このデータによると建物への損害は風災・水災等が大半を占め、火災は僅かです。それが家財への損害となると火災の割合が上昇し、破損等が大半を占めています。
このデータが推察すると、建物への損害は台風・豪雨・洪水・大雪等によるところが大きく、家財への損害は日常的に起こる破損等によるところが大きいといえます。火災についてはボヤで家財のみ燃えたケースが多い、風災・水災は建物への損害は大きいものの家財までには及ばないケースも多いとも考えられます。これらを考慮して補償を選択する必要があります。さらにデータはデータでしかなく、実際に自分が遭う災害は選べない点に注意が必要です。
補償内容の箇所で既述したように補償が手厚いのもメリットです。費用保険金は他社にもある損害拡大防止費用保険金・失火見舞費用保険金の他に、他社には無い水災初期費用保険金・水道管凍結修理費用保険金もあります。さらに最近では補償されない保険もある地震火災費用保険金(地震による火災のみ補償)もあります。
特約が充実しているのもメリットでしょう。個人賠償責任補償特約・弁護士費用特約は他社にもありますが、特定設備水災補償特約・ホームサイバーリスク費用補償特約は他社で見かけることは少ないです。最近では自宅に太陽光発電パネルや蓄電池を設置したり、EV用に充電器を設置している人も多いため、それらが水災で故障した時に補償される特定設備水災補償特約は心強いでしょう。
さらにホームサイバーリスク費用補償特約は不正アクセスによる修理・データ復旧費用の他に、再発防止費用(セキュリティソフトの導入等)も補償されます。自動セットとなる住まいのサイバーアシストではサイバートラブルに関する無料相談以外に、マルウェア(ウイルス)のリモート駆除サービスまで付帯しており非常に充実しています。その逆にカギ・水回りの応急処置サービスも自動セットではなく特約となっており、不要であれば外すことが可能です。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。補償が手厚いからともいえますが、本当に必要なのかを考える必要があります。費用保険金は他社には無く心強い補償ではありますが、絶対に必要かと問われれば疑問符が付くものもあります。水災初期費用保険金は受け取っても10万円ですし、地震火災保険金は地震保険に加入するなら不要といった具合です。
さらに特約も豊富ですが、特約を付加すると保険料は一段と上昇します。個人賠償責任補償特約・弁護士費用特約・特定設備水災補償特約・ホームサイバーリスク費用補償特約を付けると、保険料は1万円以上は高くなります。これらも本当に必要か考え、費用保険金と同様に不要なら他社の安い保険の方が良いといえます。
また、特約は他の保険と重複していないか十二分に確認した方が賢明です。個人賠償責任補償特約・弁護士費用特約は自動車保険で付帯していたり、クレジットカードに付帯していることがあります。ホームサイバーリスク費用補償特約もプロバイダ(Yahoo!BBやOCN等)であったり、回線業者(NTTのフレッツ等)で同様のサービスに加入している可能性があります。
ちなみに特約となっているカギ・水回りのサービスですが、事故再発防止策を提供する住まいの選べるアシスト特約とセットになっています。単体でサービスだけ利用できない点に注意が必要です。この保険では特約という扱いなのに、他社の自動セットになっている保険よりも保険料が高いという点も見逃せません。
評判・苦情
東京海上日動の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の2.26兆円から2.28兆円になり1.2%増でした。その中で火災保険は3612億円で前年度から2.3%増と悪くありません。他社では大幅減になったケースもあるため、契約数からすると火災保険の評判は悪くありません。
価格.com経由の契約数ランキングでも、トータルアシスト住まいの保険はソニー損保・楽天損保に次いで3位と上位に位置しています。戸建てだと順位は2位に上昇しますが、マンションだと5位以下に落ちます。新規の契約者からすると保険料の高さが意識された可能性があります。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、東京海上日動全体に寄せられた苦情数は38748件(2021年度累計)でした。同じ大手の損保ジャパンが34567件のため大差はありません。苦情の中身は「保険金に関する苦情」が多く、担当者からの連絡遅れ、保険金の支払いの可否に関する苦情に件数が集中しています。
次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、東京海上日動は12社中4位と上位でした。住居別部門結果では戸建てでは5位と変わりませんが、マンションでは2位と順位を大きく上げていました。マンションでも手厚い補償が受けられるため、実際に利用した人からの顧客満足度は高いのでしょう。
この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、加入手続き・保険料は5位・6位と総合順位と変わらない順位です。しかし、商品内容は3位でサービス体制では2位に上昇します。この保険の補償内容が手厚い点で評価され、さらにアフターサービスまで顧客満足度は高いといえます。
個別のクチコミでは「2回に渡り保険金請求をする必要があった」「保険料の支払いをクレジットカードにできるのはスマホだけ」「加入できる口数に限界がある」等のネガティブな意見がありました。サービス体制が良くても一応は注意が必要そうです。
以上のデータから考えると東京海上日動の評判は良さそうで、火災保険についても評判は上々といえます。保険料は多少高くとも、手厚い補償と丁寧なアフターサービスで一定の支持を集めていると考えられます。その反面、やはり保険料の高さには不満がある人も多いといえます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、トータルアシスト住まいの保険は総合的には悪くない保険です。保険料以外の面で決定的な欠点は無く、評判面でも大きな不安は無いからです。最大手であり歴史が長く知見も貯まっているでしょうし、他社の新興の損保より安心感があります。
東京海上日動以外で補償内容・評判等も加味するならソニー損保が候補になります。その一方で保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済・日新火災等を検討した方が賢明です。マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災あたりも候補になります。