セコム安心マイホーム保険を比較・評価

セコム損保 セコム安心マイホーム保険
オススメ度:
2
保険会社:
セコム損保
名称:
セコム安心マイホーム保険
基本補償:
火災・風水災・盗難・水濡れ
サービス:
カギ・水回りの補修
オリコン:
6位 / 12社中
特徴:
安心に充実の割引が加わった保険

セコム安心マイホーム保険は、セコム損保が2000年10月から販売を開始した火災保険です。セコムグループの一員であるセコム損保が販売しているだけあって、ホームセキュリティを導入すると適用されるホームセキュリティ割引等があります。

セコムのホームセキュリティは不審者だけではなく、火災もセンサーで感知するため理に適っているといえます。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険は補償が広い順にワイドプラン・ベーシックプラン・スリムプランの3つがあります。ワイドプランは火災・風災・水災の補償から、盗難・物体の飛来等・水濡れ・騒擾(そうじょう)まで補償されます。ベーシックプランになると水災のみ補償の対象外となり、他の補償は付いてきます。

セコム安心マイホーム保険のプラン別の補償内容(出典:セコム損保公式HP セコム安心マイホーム保険「補償範囲で選ぶ3つのプラン」)

スリムプランは火災・風災(雪災含む)・盗難のみが補償され、その他の災害は補償の対象外となります。マンション住まいの人は水災の無いベーシックプランでも良いかもしれませんが、水濡れ等まで補償外となるスリムプランにするかは慎重な判断が必要となるでしょう。

その他の6つの費用補償は全プランで共通して付帯しています。災害後の残存物費用が保険金を上回った場合に補償される残存物片付け等費用、災害後の危険軽減のための費用が補償されるセキュリティ・グレードアップ費用といった費用補償があります。セキュリティ・グレードアップ費用は盗難・空き巣に遭った後の監視カメラや金庫の購入費用、火災になった後の消化器の購入費用等が該当します。

さらに盗難によってガラスや窓が破壊されても、その修理費用だけではなく修理の手配までサービスに付いています。修理費用もセコム損保から業者に直接支払われるため面倒が省かれます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると5年で143,000円となります。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年で158,840円に若干上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、東京は49,890円で大阪は50,780円になります。

このベースとなる保険料は、ホームセキュリティ割引・オール電化割引等が適用されれば一段と安くなります。ホームセキュリティ割引は木造なら最大25%割引される可能性があり、オール電化割引でも最大20%割引される可能性があります。

セコム安心マイホーム保険の保険料の割引項目(出典:セコム安心マイホーム保険 パンフレット2023年1月1日以降保険始期用)

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪府城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。

関東・関西別の火災保険の保険料の比較一覧表(都道府県民共済・日新火災・楽天損保・ジェイアイ傷害火災・セコム損保・東京海上日動火災・三井住友海上火災・SBI損保・損保ジャパン・あいおいニッセイ同和損保・セゾン自動車火災・JA共済・全労済(こくみん共済コープ)・コープ共済・ソニー損保・チューリッヒ保険・AIG損保・共栄火災・ヤマダ少額短期)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、戸建てだと平均程度の金額で最安値圏の保険と比較すると3~4万円の差があります。マンションだと相対的に若干安いのですが、それでも最安値圏の保険とは2~3万円の差があります。5年分の保険料のため年間5000~6000円の差があるともいえます。

ただ、この保険には他社には無いホームセキュリティ割引(オール電化割引は他社にもある)があります。この割引で保険料は木造戸建て最大25%割引、マンションで最大41%割引になります。戸建てなら143,000円が107,250円、マンションなら49,890円が29,435円になる計算です。この保険料なら最安値圏の保険にも引けを取りません。

以上を踏まえると、セコム安心マイホーム保険の保険料は他社より比較的高めで、一部の条件下でのみ安いといえます。特に関東圏ではセコムより安い保険が数多くあり保険料で優位性はありません。その一方で関西だと他社の保険料が関東圏よりも高くなり、上げ幅が小さいセコムの保険料は平均並みの水準になります。

メリット

この保険のメリットは、まずは3つのプランから選択できる点が挙げられます。あらかじめプランが提示されていれば、加入時に迷うことが無くなります。基本的には戸建ての人はワイドプランで、海・川・用水路等から離れているならベーシックプランでも良いでしょう。マンションの人は水災の心配が少ないためベーシックプランが妥当で、大きいマンション(タワーマンション等)の高層階ならスリムプランでも良いかもしれません。

その一方で特約は選択の余地が相応にあり、補償を必要に応じて拡大できます。戸建て・マンション共通で検討したいのは自転車事故等の備えになる個人賠償責任補償特約でしょう。この特約を自動車保険等に付帯していない場合には火災保険に付帯させるのが無難です。

セコム安心マイホーム保険の特約一覧と補償内容(出典:セコム安心マイホーム保険 パンフレット2023年1月1日以降保険始期用)

そして、最大のメリットはセコムらしいサービスでしょう。前述したホームセキュリティ割引の他、セキュリティ・グレードアップ費用補償もあります。セキュリティの強化により未然に火事・盗難を防ぎつつ保険料が節約でき、いざ盗難等に遭ってもセキュリティ強化費用は補償されるという二段構えになります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは補償プランに自由度が無い点が挙げられます。補償選びに苦労はしないかもしれませんが、補償を細かく設定したい人にとっては不自由さを感じるでしょう。他社には補償を自由に選択できる火災保険があり、この保険でいうところのスリムプランに水災のみ追加するといったカスタマイズが可能です。

保険料が高い点もデメリットです。ホームセキュリティを導入すれば保険料は安くなりますが、セコム・ホームセキュリティNEOは、機器をレンタルするレンタルプランで月額7590円(税込)で、機器を買い取る買取プランでも月額4950円(税込)です。5年間で前者は約45万円で後者は約30万円になり、火災保険で数万円安くなるより大きな負担になります。

セコム・ホームセキュリティの料金(出典:セコム公式HP 料金・価格のご案内(戸建てプラン))

さらにレンタルプランは初期費用で、工事料63800円と保証金20000円を支払う必要があります。買取プランだと一段と高く、初期費用は買取システム料金で384,780円も支払う必要があります。実際に導入する際は間取り・広さ等で一段と高くなる可能性もあります。

火災保険と関係なくセコムに加入しようと考えていた人は別として、必要か迷っている程度で火災保険のついでに加入しようと考えている人は再検討した方が良いレベルの金額です。また、マンション住まいの人はマンションに相応のセキュリティと備え付けの火災設備(煙感知器等)があるため、ホームセキュリティを強化する必要がないケースが大半でしょう。

評判・苦情

セコム損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の528億円から517億円になり2.1%減でした。その中で火災保険は168億円で前年度から10.3%減で、全体より減少幅が大きめでした。他社では増加しているケースもあるため、契約数からすると評判は良くありません。価格.com経由の契約数ランキングを見ても、セコム安心マイホーム保険は総合6位と微妙な順位です。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、セコム損保全体に寄せられた苦情数は1461件(2021年度累計)でした。同程度の業績であるSBI損保の8494件よりは少なくなっています。セコム損保に対する苦情全体の42%である621件で占めたのが契約手続きに関する苦情でした。さらに細かい区分では「契約内容の説明」「保険料の案内」に苦情が集まっていました。とはいえ苦情の絶対数が少ないため苦情面からは評判は悪くありません。

セコムの苦情数と苦情の内訳(出典:セコム公式HP お客様からの苦情受付状況)

次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、セコム損保は12社中6位と中間の順位でした。住居別部門結果でも戸建ては6位、マンションは5位と総合順位と大差はありません。顧客の満足度は普通といったところでしょうか。

この調査では加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制が評価項目ですが、商品内容・保険料・サービス体制は平均点をクリアしています。唯一クリアできなかったのは加入手続きで、個別の評価での順位は8位まで落ちています。この保険は基本的にインターネット上で契約手続きを進めるため、HPが使いにくいかサポートセンター等に不満を持つ人が多いのかもしれません。

セコム損保のオリコン火災保険総合ランキング2023の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「セコム損害保険 火災保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「電話をしたらタライ回しにあった」「直接電話をする番号にかけたら代理店にまわされた」「代理店での加入手続きが煩雑」というネガティブな意見がありました。これらによって加入手続きの満足度が低くなったと考えられます。

以上のデータから考えると、セコム損保の評判は普通か少し悪そうです。特に注意すべきは加入手続きです。加入手続きが煩雑であったり、紹介された代理店の担当者の知識不足等に注意が必要です。この点については苦情でも大規模調査でも整合性が取れているため信憑性は高いです。加入手続き以外の点については普通と考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、セコム安心マイホーム保険は総合的には微妙な保険です。一定の条件を満たせる人を除いては、保険料が高めで補償内容にも他社を上回る点が少ないからです。セコムのセキュリティを既に導入済みの人は検討の余地がありそうですが、それでも保険料だけでいえば他社の保険の方が安い可能性があります。

保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済・日新火災等を検討した方が賢明です。マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災あたりが候補になります。補償内容・評判等も加味するならソニー損保や東京海上を優先的に考えた方が良いでしょう。