じぶんでえらべる火災保険を比較・評価

セゾン自動車火災
オススメ度:
3
保険会社:
セゾン自動車火災保険
名称:
じぶんでえらべる火災保険
基本補償:
火災
サービス:
カギ・水回りの補修
オリコン:
2位 / 12社中
特徴:
必要な補償・ほしい補償が自由にえらべる

じぶんでえらべる火災保険は、セゾン自動車火災が2008年10月から販売を開始した保険です。当時は補償を細かく選択できる業界初の火災保険でしたが、2023年現在はSBI損保の火災保険等でも補償が細かく選択できます。

最大の特徴が他社に追随され消えてしまいましたが、それでも加入すべき火災保険なのでしょうか。以下で保険料に加えて補償内容・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険は火災(落雷含む)のみが基本補償で、他の風災(雪災含む)・水災・盗難・水濡れ・破損汚損は必要だと思えば選択できます。戸建てであれば火災と台風に備えて風災・水災だけにする、マンションなら火災・水濡れだけにすることも可能です。

セゾン自動車火災保険 じぶんでえらべる火災保険の補償内容と選択できる補償項目(出典:セゾン自動車火災保険 じぶんでえらべる火災保険パンフレット 2023年1月以降保険始期用)

さらに個人賠償責任・高額な貴金属等の補償・類焼損害・諸費用の補償が選択できます。個人賠償責任は子供が他人の物を壊した場合や、自転車事故で加害者となり賠償責任が発生した場合に補償されます。高額な貴金属等の補償は、災害で貴金属や美術品等が損害を受けた場合に、1品あたり最高30万円(1回の事故で合計100万円まで)が補償されます。類焼損害は自分の家から隣家へ延焼した場合に補償されます。

諸費用の補償は臨時費用・失火見舞費用・地震火災費用がセットになっています。 臨時費用は災害後の引越し費用・仮住まい費用等が該当します。失火見舞費用は自分の家の火災で他人の所有物に損害が発生した場合の費用、地震火災費用は地震による火災が発生すると保険金額の5%分が費用として受け取れます。

また、水まわり・カギのトラブルサポートも付いています。水道管の詰まりや水漏れといった水まわりトラブル、玄関のカギを紛失した場合のカギのトラブルに対応してくれます。30分程度の応急処置なら無料で対応してくれ、水まわりの解消からに玄関のカギの開錠・破錠をしてくれます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで133,230円となります。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年一括払いで144,330円に上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、東京は43,980円で大阪は44,380円になります。

この保険料は破損汚損以外の補償アリの金額ですが、補償を最小限にすれば保険料は格段に安くなります。戸建てで火災・風災・水災だけにすれば、保険料は東京都で5年一括払いで104,350円まで安くできます。さらに風災・水災は建物だけ補償(家財は補償されない)にすれば、保険料は61,350円という破格の安さになります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪市城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。

関東・関西別の火災保険の保険料の比較一覧表(都道府県民共済・日新火災・楽天損保・ジェイアイ傷害火災・セコム損保・東京海上日動火災・三井住友海上火災・SBI損保・損保ジャパン・あいおいニッセイ同和損保・セゾン自動車火災・JA共済・全労済(こくみん共済コープ)・コープ共済・ソニー損保・チューリッヒ保険・AIG損保・共栄火災・ヤマダ少額短期)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、戸建てでもマンションでも平均か少し安い部類に入ります。平凡な保険料ともいえますが、関東・関西圏で差が小さい点は注目に値しそうです。他社は関東圏より関西圏の方が保険料が一段と高くなりますが、この保険は上げ幅が小さめで関西圏なら保険料は安い部類に入ります。

以上を踏まえると、じぶんでえらべる火災保険の保険料は他社よりも安めで悪くありません。同じく補償が選択できるSBI損保は保険自体が安くないのですが、この保険は保険自体が安い上に選択の自由度があるといえます。とはいえ保険料は最安値ではないため、あくまで悪くない保険料という表現に留まります。

メリット

この保険のメリットは、まずは補償内容を自分で細かく選択できる点が挙げられます。どの補償が必要かは人(居住地)によって異なります。マンション住まいなら水災の危険性は低いでしょうし、家財の破損汚損は自分で修理費・購入費を出すなら不要です。どの補償が必要か迷うかもしれませんが、セゾン自動車火災は補償ランキングを提示しています。

セゾン自動車火災保険 じぶんでえらべる火災保険で一戸建てとマンション別での人気がある補償(出典:セゾン自動車火災公式HP 「みんなはどんな補償を選んでいるの? 補償ランキング」)

このランキングによると戸建ての場合は、建物のトップは地震保険で、次いで風災・盗難・水濡れとなっています。家財でもトップは地震保険ですが、2位以降は盗難・水濡れ・風災となっています。地震保険を付けて建物は風災に備えて家財は盗難に備えれば一応は事足りるともいえます。

マンションの場合は上の階からの漏水を心配してか水濡れがトップです。次いで地震保険・諸費用・盗難が上位にあります。水濡れに加えて地震保険を付けて、諸費用か盗難の補償を付ければ事足りるでしょう。マンションのセキュリティが堅固なら諸費用を優先すると良いかもしれません。このように、この保険は建物と家財で補償される災害が選択できるというメリットも見逃せないでしょう。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値ではない点が挙げられます。ほぼ全ての保障を付けるなら他社の保険の方が安いため、あくまで補償を削って保険料を安くすることが重要となります。補償内容を削っても最安値の火災保険よりも高いようであれば、補償を削る意味はありません。

補償を削って最安値の保険よりも安くなっても、差額が少額なら補償が揃った保険料が安い保険の方が良いともいえます。例えば火災・風災・水災のみの補償で保険料が10万円になっても、他社には保険料が11万円で他の災害と費用補償が付いた保険があります。それなら1万円で5年間は盗難・水濡れ・破損汚損に備えた方が得ともいえます。保険料と補償のバランスを考えるのに一苦労しそうです。

さらに保険料を安くするにしても、選択できる補償には限界があります。風災は雹災・雪災とセットで、水濡れは物体の飛来・騒擾とセットになっています。雪が降らない地域のため雪災を外したくても雪災単体では外せません。諸費用の補償も3つがセットになっており、SBI損保のように個別で費用補償を外せません。

また、特約は一通り揃ってはいますが、他社の多くの火災保険にある特約が一部ありません。盗難の再発防止のための費用が補償される防犯対策費用特約、事故時に弁護士に相談できる弁護士費用特約、バルコニーが破損すると補償されるバルコニー等修繕費用補償特約が見当たりません。基本的に補償を削る保険のため余計な選択肢を省いているのかもしれませんが、人によっては困りそうです。

カギ・水回り等の応急処置サービスも最低限だけ揃っているだけです。他社にはカギと水まわりに限定せず、窓ガラス破損トラブル・電気ガス設備トラブル・蜂の巣の駆除・PCの不正アクセス時のデータ復旧サービスといったサービスもあります。この程度の応急処置サービスなら特約になっていた方が良いともいえます。

評判・苦情

セゾン自動車火災の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の550億円から581億円になり5.6%増でした。その中で火災保険も13億円で前年度から3.3%増と好調です。他社では大幅減になったケースもあるため、契約数からすると火災保険の評判は悪くありません。

ただ、価格.com経由の契約数ランキングでは、じぶんでえらべる火災保険は総合順位では9位と下位です。戸建て部門だと10位と順位に大差ありませんが、マンション部門だと5位に上昇します。そのためマンションで補償を限りなく減らしたい人によって契約数が伸びていると考えられます。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、セゾン自動車火災全体に寄せられた苦情数は1985件(2021年度累計)でした。同程度の業績の他社よりも苦情数は少なめです。苦情の中身は「保険金に関する苦情」が多く、担当者の処理遅延・処理方法に苦情が集中しています。担当者の処理の間違い・連絡が遅い等の不満がありそうです。

セゾン自動車火災保険の苦情数・苦情内容・苦情内訳(出典:セゾン自動車火災保険のディスクロージャー誌「セゾン自動車火災の現状2022

次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、セゾン自動車火災は12社中2位とトップ3に入っていました。住居別部門結果では戸建ては2位と変わりませんが、マンションでは9位以下でした。価格コムは新規契約数のため上位でしたが、実際の利用者からするとマンションだと満足度は低いのかもしれません。

この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、加入手続き・商品内容・保険料の個別項目でも2位でした。ただし、サービス体制では4位に順位を落としています。実際の利用者からすると契約後のアフターサービスは少し良いか普通という評判のようです。

セゾン自動車火災保険のオリコン火災保険総合ランキング2023の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「セゾン自動車火災保険 火災保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「ネットで申込みが完了しない」「ネット手続きが高齢者には大変」というネガティブな意見がある一方で、「加入手続きが容易」「補償内容が細かく設定できるのが良い」というポジティブな意見がありました。手続きが容易か煩雑かは人によるところが大きそうです。

以上のデータから考えるとセゾン自動車火災の評判は良さそうで、火災保険の評判も同様に良さそうです。気がかりなのはマンション住まいの人の評判で、良い面と悪い面が見えています。新規契約は多めでも契約者からの満足度は低いため、実際に加入するとアフターサービス等で不満が出ている可能性があります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、じぶんでえらべる火災保険は総合的には悪くない保険です。補償内容を選択でき、保険料・評判も悪くないからです。ただし、補償内容を絞っても他社よりも高い可能性がある点、補償面では抜けている補償もある点に注意が必要です。他社に安い保険があった、契約後に自分が欲しかった補償が他社で見つかった、といった後悔の無いように調べておく必要があります。

その一方で保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済・日新火災等が候補になります。マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災あたりも検討しても良いでしょう。保険料より補償内容・評判等も重視するならソニー損保・東京海上日動が候補になります。