三井住友海上 GKすまいの保険グランドを比較・評価

三井住友海上
オススメ度:
1
保険会社:
三井住友海上
名称:
GKすまいの保険グランド
基本補償:
火災・風災
サービス:
カギ・水回りの補修
オリコン:
5位 / 12社中
特徴:
すまいを取り巻くリスクに備えましょう

GK すまいの保険グランドは三井住友海上が2017年1月から販売している火災保険です。従来の火災保険であるGKすまいの保険よりもサービスが拡充され、主に高齢者向けのサービスが多くなっています。付帯サービスは契約者だけではなく親族も利用できるため、両親が契約して自分がサービスを利用することも可能です。

ただし、サービスが拡充されている分だけ保険料も高くなっています(詳細は後述)。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険はフルサポートプラン・セレクトプラン(水災なし)があり、フルサポートだと全ての災害が補償され、セレクトプランだと水災以外の災害が補償されます。スタンダードなGKすまいの保険では、セレクトプランでも破損汚損なし・水災と破損汚損なし・エコノミープランもありますが、これらのプランはグランドでは選択できません。

三井住友海上 GKすまいの保険グランドのプラン別の補償内容(出典:三井住友海上 GKすまいの保険グランド公式HP)

基本補償以外に自動セットになる特約があります。地震による火災が補償される地震火災費用特約、バルコニーが破損すると補償されるバルコニー等専用使用部分修繕費用特約、盗難の再発防止のための費用が補償される防犯対策費用特約、災害発生時の諸費用が補償される事故時諸費用特約等です。

その他の特約は自分で取捨選択できます。災害発生時に仮住まい費用・引越し費用等が補償される災害緊急費用特約とライフライン停止時仮すまい費用等特約、水災で機械設備が故障・破損した場合に補償される特定設備水災補償特約等があります。

GKすまいの保険グランドで特徴的なのはグランドセレクトサービスです。同サービスには防災アラート・いまどこサービス・暮らしのQQ隊グランド・つながりレポートサービス等があります。その中で目玉なのは防災アラート・いまどこサービスです。

三井住友海上 GKすまいの保険グランドのグランドセレクトサービスの防災減災情報アラートサービスの内容(出典:三井住友海上 パンフレット 「GK すまいの保険グランドのご案内2022年10月1日以降始期契約用」)

防災アラートは契約住所・連絡先親族住所に建物に被害を及ぼす災害が見込まれる場合に、契約者と親族にメール等で緊急通知が来ます。いまどこサービスは地震発生時に地震の影響を受ける場所にいる契約者・親族にアプリからプッシュ通知が来ます。アプリで安否情報の共有ができるため、安否確認と共に迅速な避難活動ができます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・100平米で、保険金額を建物2000万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで228,300円となります。大阪・マンション・85平米・建物1000万円・家財800万円だと、保険料は48,150円になります。

スタンダードなGKすまいの保険だ、フルサポートプランで戸建てで同じ条件なら保険料は188,250円です。保険料は数万円は上昇しています。主な違いはグランドセレクトサービスのため、この差額がグランドサービスの利用分と考えられます。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪市城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。

関東・関西別の火災保険の保険料の比較一覧表(都道府県民共済・日新火災・楽天損保・ジェイアイ傷害火災・セコム損保・東京海上日動火災・三井住友海上火災・SBI損保・損保ジャパン・あいおいニッセイ同和損保・セゾン自動車火災・JA共済・全労済(こくみん共済コープ)・コープ共済・ソニー損保・チューリッヒ保険・AIG損保・共栄火災・ヤマダ少額短期)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

便宜上、この保険の保険料は他社よりも建物の保険金額が大きく、フルサポートプランで破損汚損も含まれている分を勘案する必要はあります。とはいえ戸建ての保険料は高過ぎで、他社よりも数万円は確実に高くなっています。その一方でマンションでは保険料の高い感じは緩和されますが、それでも最安値圏の保険とは1~2万円の差があります。

以上を踏まえると、GKすまいの保険グランドの保険料が高いのは間違いありません。もともとGKすまいの保険自体の保険料が高いため、グランドが安いわけもないのですが。。。この保険料の高さを肯定できるようなメリットがあるのか、続いてメリット・デメリットを確認していきます。

メリット

この保険のメリットは、あらかじめプランが提示されている点が挙げられます。加入時に迷ったり補償の選択で悩むことはありません。基本保障以外の補償(自動セットの特約)もあり、迷うか悩むとした自分で取捨選択する保険だけです。

特約で検討すべきは、日常生活賠償特約・弁護士費用特約・特定機械設備水災補償特約・ライフライン停止時仮すまい費用等特約です。日常生活賠償特約・弁護士費用特約は自転車事故で加害者となったり、過失ゼロの事故(青信号を歩行中に自動車と衝突等)の場合に役に立ちます。特定機械設備水災補償特約は屋外の蓄電池・充電器の故障が補償され、ライフライン停止時仮すまい費用等特約は停電等で仮住まいが必要な場合に補償されます。

そして、最大のメリットはグランドセレクトサービスでしょう。前述した防災アラート・いまどこサービス以外に、暮らしのQQ隊・電話相談サービス・提携事業者紹介・つながりレポートも相応に役に立ちます。暮らしのQQ隊は他社と同じカギ・水廻りのサービスに加えて、家具移動電球交換サービス・室内照明設備QQサービス・室内建具調整サービス・家具移動電球交換サービスがあります。

三井住友海上 GKすまいの保険グランドの暮らしのQQ隊グランドのサービス内容(出典:三井住友海上 パンフレット 「GK すまいの保険グランドのご案内2022年10月1日以降始期契約用」)

家具移動電球交換サービスはタンス等の大型家具の移動を代行してくれたり、室内の高所にある電球の交換をしてくれます。電球ではなく電気設備の不具合の場合のために室内照明設備QQサービスがあり、照明・ブレーカー等の照明設備の不具合を修理してくれます。室内建具調整サービスは扉や引き戸等の建具を調整してくれます。

暮らしのQQ隊以外のサービスでは電話相談サービスが、様々なジャンルを相談できる点でメリットです。他社の保険では大抵は健康・医療・法律相談に留まりますが、この保険では介護・年金・税金・ペット・パソコン操作等まで相談できます。提携事業者紹介サービスは旅行・ハウスクリーニング・リフォーム等の業者を紹介し、かつ優待料金で利用できるます。

極めつけはつながりレポートです。上述の各サービスを利用した場合に、連絡先親族に対して会員サイトやメールで連絡してくれます。遠方の両親の安否確認に使える他、今困っている事や望んでいる事を間接的に分かります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。補償が手厚いと言えば聞こえは良いものの、保険料の高さに見合っているかは疑問符が付きます。グランドセレクトサービスは冒頭でも既述した通り、主に高齢者を想定したサービスです。両親を契約者にするとしても、そこまで必要なサービスなのか話し合った方が賢明です。

グランドセレクトサービスについては保険に加入しなくても代替サービスが無料で利用できる、ないしは他の保険でカバーできないか確認した方が良いです。防災アラートはNHK防災や気象関係のアプリでもプッシュ通知されます。いまどこサービスも位置情報共有アプリを使えば事足りる可能性があります。

NHKのニュース・防災アプリ(出典:NHK公式HP)

暮らしのQQ隊グランドについても、自動車保険に水まわり・カギのサービスが付いていることもあります。室内照明については家電量販店で電球を交換すると、付属サービス(有料のケースもある)で電球を付けてくれたりします。その他の諸々は生活支援サービス・便利屋を使う手もあります。

また、特約は他の保険と重複していないか確認が必要です。日常生活賠償特約(個人賠償責任補償特約)や弁護士費用特約は、自動車保険やクレジットカードに付帯していることがあります。屋外でカメラを壊した場合等が補償される自宅外家財特約も同様に携行品損害特約という名称で他の保険・クレジットカード等に付帯している可能性が高いです。

評判・苦情

三井住友海上の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の1.55兆円から1.57兆円になり1.3%増でした。その中で火災保険は2366億円で前年度から1.4%増と悪くありません。他社では大幅減になったケースもあるため、契約数からすると火災保険の評判は悪くありません。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、三井住友海上全体に寄せられた苦情数は20634件(2021年度累計)でした。同じ大手の東京海上・損保ジャパンよりは少なめです。苦情の中身は「保険金に関する苦情」が多く、担当者からの連絡が遅い、保険金の支払いの可否等についての不満がありそうです。

三井住友海上の全社におけるお客様の声(苦情)の受付状況・苦情数と内訳(出典:三井住友海上公式HP「お客さまの声受付状況:2021年度)

次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、三井住友海上は12社中5位と中位でした。住居別部門結果ではマンションでは5位と変わりませんが、戸建ては4位と順位を1つ上げていました。

この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、加入手続き・商品内容は総合順位と大差ありませんが、サービス体制では2位に上昇します。グランドなら保険証券の見方を印刷した保管用中袋と会員証保管用ポケットが付いた、保険証券の専用証券ホルダーまでプレゼントされます。高齢者の保険証券や会員証の紛失防止のサービスが整っています。一方で保険料は7位まで順位を落としており保険料が高いのは周知の事実のようです。

三井住友海上のオリコン火災保険総合ランキング2023の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「三井住友海上火災保険 火災保険の評判・口コミ」

個別のクチコミでは「担当者が出ると言った保険金が結局は出なかった」「保険料の支払いを口座振替からクレジットカードに変更するには解約が必要」「プラン全てを説明されない」等のネガティブな意見がありました。サービス体制が良くても一応は注意が必要そうです。

以上のデータから考えると三井住友海上の評判は普通か少し悪そうで、火災保険についての評判も同様といえます。多くの面では普通のようですが、保険料の評判は悪く、その反面でサービス面では良いと考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、GKすまいの保険グランドはイマイチな保険です。高齢者なら検討の余地はあるかもしれませんが、スマホを使えるなら他の方法で代用もできます。そうではなく高齢者で業者選び等に不安がある人なら、比較的安心できる業者を紹介してくれるという意味では悪くないかもしれません。

それ以外の人は他社の保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済・日新火災等が候補になります。マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災あたりも検討しても良いでしょう。保険料より補償内容・評判等も重視するならソニー損保・東京海上日動が候補になります。