タフ・すまいの保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- あいおいニッセイ同和損保
- 名称:
- タフ・住まいの保険
- 基本補償:
- 火災・風災・水濡れ
- サービス:
- カギ・水回りの補修
- オリコン:
- 9位 / 12社中
- 特徴:
- まだ誰も知らない安心を、ともに
タフ・すまいの保険はあいおいニッセイ同和損保が販売している火災保険です。あいおい損保とニッセイ同和損保が合併した2010年から販売しており、改定を繰り返して販売を継続しています。商品名の「タフ」は"タフな安心をあなたに"という意味が込められているそうです。
それでは以下でタフ・すまいの保険の補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険はフルサポートプラン・セレクトプラン(水災なし)・セレクトプラン(破損汚損なし)の3つのプランがあります。フルサポートプランは全ての災害が補償され、セレクトプラン(水災なし)は水災のみ補償外、セレクトプラン(破損汚損なし)は破損汚損のみ補償外となります。セレクトプラン(水災なし)はマンション専用プランのため、戸建てだと実質は2択となります。
選択肢が狭いように見えますが、上図には無いセレクトプラン(水災・破損汚損なし)やエコノミープランもあるにはあります。エコノミープランは火災・風災のみが補償され、他の災害は補償外となります。セレクトプラン(水災・破損汚損なし)は文字通りの補償内容ですが、こちらもマンション専用プランである点に注意が必要です。
基本補償以外に自動セットとなっている特約があります。地震による火災が補償される地震火災費用特約、盗難等を防止するための費用(監視カメラの購入等)が補償される防犯対策費用特約、仮住まいや仮修理費用が補償される災害緊急費用特約等があります。特徴的なのは自治体からの避難指示で避難をすると1万円が受け取れる「特定非常災害等避難一時金特約」でしょうか。
その他の特約は自分で取捨選択できます。数多くの特約がありますが、特徴的なのはライフライン停止時仮すまい特約・特定機械設備水災補償特約・居住用建物電気的機械的事故特約でしょうか。ライフライン停止時仮すまい特約は台風等で停電・断水が12時間以上継続した場合に、避難したホテル等の費用が補償される特約です。同じMS&ADグループの三井住友海上にも同様の特約があります。
特定機械設備水災補償特約は水災で室外機・床暖房・エネファーム等が故障すると補償され、居住用建物電気的機械的事故特約は建物に付属する機械(浴室内乾燥機等)が故障した場合に補償されます。ライフライン停止時仮すまい特約・居住用建物電気的機械的事故特約は、災害が発生しても基本保障の保険金が受け取れないケースでも補償されるのがポイントです。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで164,460円となります。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年一括払いで178,380円に上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、東京は62,090円で大阪は61,530円になります。
この保険料はセレクトプラン(破損汚損なし)の金額のため、破損汚損を含むフルサポートプランにすると保険料は高くなります。その逆にセレクトプラン(水災・破損汚損なし)やセレクトプラン(水災なし)やエコノミープランにすると保険料は安くなります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪市城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、全体の中では高い部類に入ります。戸建てでもマンションでも高く、便宜上地震保険を含んだ保険料となった全労済・コープ共済を除けば、一、二を争う高さの保険料です。一応、マンションでは関東圏よりも関西圏の方が安い貴重な保険ですが、そもそも保険料が高くあまり意味がありません。
以上を踏まえると、タフ・すまいの保険の保険料は高いのは間違いありません。同じ大手の東京海上・損ジャ・三井住友海上よりも高く、それに見合ったメリットがあるのか確認が必要です。続いてメリット・デメリットを確認していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは補償内容が決まったプランがある点が挙げられます。3つのプラン(実質は5つのプラン)から選ぶため、全ての災害を必要か否か考える手間がありません。多少は補償を選択したい人でも、この保険なら選択肢はあります。
補償内容が手厚いのもメリットです。基本補償以外に既述した地震火災費用特約・防犯対策費用特約・災害緊急費用特約・特定非常災害等避難一時金特約等があります。他社と同様にマンション住まいの人向けに、バルコニーの修繕費用が補償されるバルコニー等専用使用部分修繕費用特約もあります。自動セットの特約は他社よりも多く特定非常災害等避難一時金特約は他社では見かけない特約です。
自動セットではない特約が豊富なのもメリットでしょう。ライフライン停止時仮すまい特約・居住用建物電気的機械的事故特約は火災・水災等で自宅に損害が発生しなくても使えるのがポイントです。例えば台風で自宅に損害は無かったが自宅近くの電線が切れて数日停電した場合、通常は保険金は受け取れません。しかし、この特約があれば避難先のホテル滞在費用や代替物(発電機等)を購入費が補償されます。
建物全壊時一時金特約(地震・噴火・津波)は地震保険を補完できる特約です。地震保険に加入しても補償金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内ですが、この特約を付加すると保険金額の10%分で最高200万円が受け取れます。地震による火災のみ受け取れる地震火災費用特約を補完する意味もあります。
さらに太陽光発電・EV用充電器・エネファーム・エコファーム等を設置している人には、特定機械設備水災補償特約も頼りになる特約です。太陽光発電の蓄電池は100万円以上はするため、この特約で100万円がカバーできるのは大きいでしょう。その他、自転車事故で補償される日常生活賠償特約、もらい事故や歩行中の事故で役立つ弁護士費用特約といった特約も一通り揃っています。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述した通り保険料が高い点が挙げられます。補償が手厚い分とはいえ最安値の保険とは5~6万円と大きな差があります。いくつかの特約を付加すると保険料が一段と上昇するため、これから住宅を購入する人には住宅の購入費に増して大きな負担となります。
せっかくプラン選択によって手間が省けても、特約が多過ぎるが故に特約の取捨選択で時間を要するのもデメリットかもしれません。用意されている特約の数は他社と比べて最多クラスの12です。それぞれの特約の必要性と特約分の保険料を確認しつつ、いざという時には特約が使えるように補償内容を把握しておく必要もあります。
それも特約は選択したプランによっては付加できないケースもあります。例えば居住用建物電気的機械的事故特約はフルサポートプランかセレクトプラン(水災なし)のみ付加できます。外出時にカメラ等を壊した場合に補償される自宅外家財特約もフルサポートプランかセレクトプラン(水災なし)のみ付加できます。
特約については他の保険と重複していないか確認しつつ、本当に必要か吟味する必要もあります。建物電気的機械的事故特約や特定機械設備水災補償特約はメーカー保証が付いていないか、居住地で水災による被害が想定されるかを確認した方が賢明です。ライフライン停止時仮すまい特約は、数日間のホテル滞在費なら自分で払った方が、保険料も節約でき災害時の手続きの手間も省けるといった具合です。
評判・苦情
あいおいニッセイ同和損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の1.28兆円から1.29兆円になり0.7%増でした。その中で火災保険は1996億円で前年度から3.9%減と低調です。他社では横ばいや増加したケースもあるため、契約数からすると火災保険の評判は良くはありません。現に価格.com経由の契約数ランキングでもタフ・すまいの保険は10位と下位に位置しています。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、あいおいニッセイ同和損保全体に寄せられた苦情数は27786件(2021年度累計)でした。同じMS&ADグループの三井住友海上よりも多めです。苦情の中身は「保険金のお支払い」に集中しており、保険金が支払われるか否か、保険金が支払われるのが遅い等の不満がありそうです。
次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、あいおいニッセイ同和損保は12社中9位と下位でした。住居別部門結果でも戸建てでは7位、マンションだと8位と総合順位と大差ありません。
この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、加入手続き・商品内容・保険料は平均点を下回っています。平均点を唯一超えたのがサービス体制です。さすがに大手の一社だけあって、アフターサービス等は良いのかもしれません。
個別のクチコミでは「審査する人によって補償額が違うのでは」「もっと分かりやすいパンフレットが欲しい」「災害後の連絡が無い」等のネガティブな意見がありました。サービス体制は良さそうですが、担当者によって差があるのかもしれません。
以上のデータから考えるとあいおいニッセイ同和損保の評判は少し悪そうで、火災保険についての評判も同様といえます。多くの面で普通か普通以下のようで、期待できるのはサービス面だけという状況です。
総合評価・おすすめか?
結論としては、タフ・すまいの保険は総合的にはイマイチな保険です。補償内容は特約では良い面もありましたが、保険料の高さが最大のネックでしょう。評判・顧客満足度を見ても他社よりも秀でた面が見られず、なかなか厳しいといえます。
この保険を検討している人は他社の火災保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さを追求したい人は、戸建てなら都道府県民共済・日新火災等が候補になります。マンションなら楽天損保・ジェイアイ傷害火災あたりも検討しても良いでしょう。保険料より補償内容・評判等も重視するならソニー損保・東京海上日動が候補になります。