楽天損保 ホームアシストを比較・評価

楽天損保 ホームアシスト
オススメ度:
3
保険会社:
楽天損保
名称:
ホームアシスト(家庭総合保険)
基本補償:
火災・風災
サービス:
カギ・水回りの補修
オリコン:
8位 / 12社中
特徴:
あなたの暮らしをお守りするエキスパート

楽天損保のホームアシストは、買収前の朝日火災の頃から販売を継続している火災保険です。現在は楽天グループのため、保険料を支払うと楽天ポイントが貯まる、保険料の支払いに楽天ポイントが使えるといった楽天グループならではの特典があります。

さらにハザードマップによる診断で水災保険料が安くなる、という日本初のサービスも提供しています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の火災保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険は火災・風災(雪災含む)だけが必須の補償で、他の災害への補償は自分で取捨選択できます。他社ではセットか必須になりがちな水災・盗難・破損汚損も補償外にできます。これらを補償外にしても、地震火災費用・水道管修理費用となった費用補償は付いてきます。

楽天損保 ホームアシストの補償内容・補償範囲(出典:楽天損保 ホームアシスト パンフレット2022年10月改訂版)

その他の補償はオプション(特約)で選択できます。建物の損害が70%を超えた場合に建替え時の費用が補償される建替費用補償特約、マンションのバルコニー等の共用部分が補償される共用部分修理費用補償特約、水濡れの原因を調査する水濡れ原因調査費用補償特約等があります。

その中で特に有用なのは個人賠償責任補償特約です。この特約により子供が物を壊したり他人をケガさせた場合に、その費用が1億円まで補償されます。この特約により大人が自転車事故で他人をケガさせた場合も補償されます。楽天損保だと示談交渉サービスも付いています。当事者間の話し合いでは揉めがちなケースでも、保険会社が専門家の立場から賠償金額について交渉してくれます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は東京都・戸建て(木造新築)・90平米で、保険金額を建物1500万円・家財1000万円に設定すると、5年一括払いで163,440円となります。同じ条件で居住地を大阪にすると、保険料は5年一括払いで201,650円に上昇します。マンションで70平米・建物1000万円・家財1000万円だと、東京でも大阪でも保険料は29,340円になります。この保険料に1%分の楽天ポイントが付与されます。

この保険料には地震保険は含まれていませんが、地震保険を付けても地震保険分の保険料には楽天ポイントは付きません。また、ネット申込で保険料が10%オフになる(前述の保険料には適用済み)のですが、もし代理店経由で契約すると保険料は10%高くなる点に注意が必要です。

楽天損保 ホームアシストの保険料の割引と付与される楽天ポイント(出典:楽天損保公式HP ホームアシスト(持家の火災保険))

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。戸建ての条件は木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円、マンションの条件はコンクリート造・70平米・建物1000万円・家財1000万円としました。この条件で破損汚損は補償外・地震保険なし(地震保険の保険料は各社同じのため)で、5年一括払いでシミュレーションしました。さらに関東(東京都杉並区)と関西(大阪市城東区)に分けて保険料を一覧表で比較しました。

関東・関西別の火災保険の保険料の比較一覧表(都道府県民共済・日新火災・楽天損保・ジェイアイ傷害火災・セコム損保・東京海上日動火災・三井住友海上火災・SBI損保・損保ジャパン・あいおいニッセイ同和損保・セゾン自動車火災・JA共済・全労済(こくみん共済コープ)・コープ共済・ソニー損保・チューリッヒ保険・AIG損保・共栄火災・ヤマダ少額短期)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、戸建てだと他社よりも高めで最安値圏の保険とは5~6万円の差があります。その一方でマンションだと保険料は最安値です。楽天よりも安く見える保険もありますが、それらは建物の補償のみで便宜上計算されているらです。

以上を踏まえると、ホームアシストの保険料は戸建てだと他社より高めですが、マンションなら安いと考えられます。戸建てだと他に安い保険が数多くあり保険料で優位性はありません。その一方でマンションだと楽天損保より安い保険は無いため、保険料面以外の要素で致命的な欠点が無ければ楽天損保を選ぶのもアリです。

メリット

この保険のメリットは、まずは補償の選択に自由度がある点を挙げられます。火災・風災(+雪災)以外の補償を外して保険料を節約できます。水濡れ・破損汚損といった補償は人によっては不要でしょうし、盗難については相応のセキュリティがある(戸建てならセコム等、マンションなら備え付けの防犯設備)なら必要性は乏しいでしょう。水災も居住地が海・川・用水路から遠ければカットするのも手です。

その逆に水災の補償が欲しい人でも、この保険なら水災分の保険料がハザードマップに基づいて安くなります。海川から遠ければ水災料率区分はAとなり、水災料率区分がDよりも数万円は安くなります。具体例でいうと、東京都江東区砂町(荒川近く)・木造新築・90平米・建物1500万円・家財1000万円だと、保険料は5年で208,620円です。それが居住地を杉並区にすると、保険料は5年で163,440円となり4万円以上安くなります。

楽天損保 ホームアシストの水災補償分の保険料の決まり方・水災料率区分(出典:楽天損保公式HP ホームアシスト(持家の火災保険))

また、保険料に応じて楽天ポイントが貯まるのもメリットですが、保険料を楽天ポイントで支払えるのも見逃せません。マンションだと保険料は5年間で3万円程度のため、5年間で楽天ポイントを3万ポイント貯めれば保険料はポイントで支払えます。1年間で6000ポイントのため年間60万円の買い物が必要ですが、楽天ポイントは楽天市場以外にファミリーマート・コーナン・各ドラッグストア・各ガソリンスタンドでも貯まるため不可能ではないでしょう。

さらに細かい点ですが、付帯しているハウスアシスタンスサービスの範囲が広いのも地味に良い点です。他社ではカギ・水廻りに限られている保険もありますが、この保険はガラスのトラブル・エアコンのトラブル・給湯器のトラブルまで対応してくれます。マンション住人限定でマンション住民間のトラブルについて、無料の法律相談サービスもあります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。特に戸建てだと致命的に高く、前述の通り楽天ポイントを1%獲得できても他社よりも高いです。マンションでないと保険料は厳しいといえます。

ハザードマップによる水災保険料の割引も、海・川に近い人は高い保険料になるためデメリットになります。さらに現在はハザードマップで危険度が低い場所でも、5年後の更新時には危険度が上がる可能性があります。なぜならハザードマップは定期的に見直し・改定されているからです。5年後に何も考えずに更新すると、思わぬ金額の保険料を支払うリスクもあります。

また、補償が細かく設定できるといっても、水濡れ・盗難・騒擾・物体の衝突は雑危険としてセットになっている点に注意が必要です。マンションなら騒擾・物体の衝突の可能性は低いかもしれませんんが、水濡れ・盗難の可能性は捨て切れません。他社ではセゾン自動車火災の「じぶんでえらべる火災保険」なら、この保険よりも細かく補償を選択できます。

セゾン自動車火災じぶんでえらべる火災保険の選択肢(出典:セゾン自動車火災公式HP 特長2 補償を自由にえらべてもしもの時は新価(再調達価額)でお支払い!)

この保険でいえば、そもそも水災の補償がマンションだと付けられない点も注意が必要です。タワーマンションなら水災は不要だと思うかもしれませんが、水災には雨で土砂崩れになった場合の被害も含まれます。さらに近年のゲリラ豪雨・集中豪雨により、ベランダの排水機能を超えて雨水で部屋が浸水する可能性もあります。本当に不要なのかは慎重に判断する必要があるでしょう。

ちなみにデメリットではありませんが、地震保険を付けても地震保険分の保険料には楽天ポイントは付かない点に注意が必要です。地震保険は5年で概ね10~20万円と安くはなく、ここにポイントが付かないのは仕方が無いとはいえ残念ではあります。

評判・苦情

楽天損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の157億円から174億円になり11%増と好調でした。ただ、増加を牽引したのは自動車保険の22.9%増で、火災保険は7.4億円で前年度から64%減と絶不調でした。他社では増加しているケースもあるため、契約数からすると火災保険の評判は悪いです。

その一方で、価格.com経由の契約数ランキングではホームアシストはソニー損保に次いで2位と上位に位置しています。戸建てだと順位は6位まで落ちますが、マンションだとソニー損保を抜いて1位となっています。前述した通り保険料の安さで契約者を集めているのでしょう。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、楽天損保全体に寄せられた苦情数は2804件(2021年度累計)でした。火災保険の苦情は1100件もあり、契約件数で大きな差がある自動車保険に近い数字のため不安感があります。苦情の中身は「契約の管理・保全」が多いため、契約内容の変更・解約手続き・接客態度に苦情が来ているようです。

楽天損保のお客様相談センターの受付状況・苦情数と苦情の内訳(出典:楽天損保ディスクロージャー誌 「楽天損保の現状2022」)

次にオリコンの火災保険 総合ランキング2023(実際にサービスを利用した約8600人が調査対象)ですが、楽天損保は12社中8位と下位でした。住居別部門結果では戸建てでは9位に順位を落とした一方、マンションでは4位と順位を大きく上げていました。やはりマンションなら顧客の満足度は高めということです。

ただ、その中身を見ると保険料の安さが牽引した結果である点に注意が必要です。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・サービス体制ですが、加入手続き・商品内容・サービス体制は平均点以下です。保険料以外の面では手続きから保険の中身からアフターサービスまで顧客満足度は低いといえます。

楽天損保のオリコン火災保険総合ランキング2023の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「楽天損害保険 火災保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「資料を画像で送る際に行き違いがあり面倒だった」「詳細について説明がなく調べるのが面倒」「保険相談所で契約するとポイントが付かない「きめ細かいアフターサービスが欲しい」等のネガティブな意見がありました。これらにより保険料以外の満足度が低くなったと考えられます。

以上のデータから考えると、楽天損保の評判は少し悪そうです。火災保険についても保険料以外の面では期待しない方が良いでしょう。加入手続きが煩雑・面倒でも1回の手間で済みますが、変更手続き・アフターサービスは複数回の手間になる可能性があります。保険料につられて契約すると後が面倒な保険ということでしょうか。

総合評価・おすすめか?

結論としては、楽天損保のホームアシストは総合的には悪くない保険です。特にマンション住まいの人で保険料重視なら検討の余地はあります。水災が地域別に安くなるのも良い点でしょう。ただ、戸建てであれば前述したように他社に安い保険があり、その他にもオススメできる要因は見当たりません。

そのため戸建てで保険料の安さを追求したい人は、都道府県民共済・日新火災等を検討した方が賢明です。マンションでも補償内容・評判等も加味するならソニー損保や東京海上を優先的に考えた方が良いでしょう。