ペットサポートのPS保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ペットメディカルサポート
- 名称:
- PS保険
- 補償割合:
- 50% or 70% or 100%
- 保険金請求:
- 郵送
- オリコン:
- 2位 / 12社中
- 特徴:
- 業界最安級の保険料で歯科治療補償つき
ペットメディカルサポートは2004年にペット共済として創業し、2008年に少額短期保険業者になり現在までペット保険のPS保険を販売しています。オリコンのペット保険ランキングでは2012~2014年、2017~2021年まで1位をキープしていましたが、ここ数年は他社に遅れを取る(とはいえ2位)年も出てきました。
基本的に補償内容は1位を取り始めた頃から大幅な変更はありませんが、他社が追随する中で今でも他社よりも良い保険なのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険には補償割合が異なる50%補償プラン・70%補償プラン・100%補償プランの3つのプランがあります。治療費が10万円だった場合、50%補償プランなら5万円が受け取れ、100%補償プランなら10万円が受け取れます。どのプランもペットの通院・入院・手術・車イス費用が補償される点は共通です。
注意すべきは1回あたりの限度額と年間の限度額がある点です。通院は1日あたり1万円(年間20日まで)で、入院は1日あたり2万円(年間30日まで)です。手術は1回あたり10万円まで(年間2回まで)で、車イス費用補償は10万円(年1回まで)です。限度を超えた治療費は補償されませんが、保険期間は1年のため年度を越えれば限度回数・日数はクリアされます。
治療費の補償以外にペットセレモニー特約が付けられます。この特約はペットが亡くなった時の費用が3万円まで補償される特約です。費用には葬儀費用・火葬費用・祭壇費用・位牌費用・ネームプレート費用等が含まれます。ちなみに車イス費用の補償はQOL維持費用担保特約による補償のため、ペットセレモニー特約のように外す(付加しない)ことが可能かもしれません。
その他に契約者限定の獣医師ダイヤルというサービスもあります。24時間365日いつでも無料でペットについて獣医師に電話で無料相談できます。ペットの健康状態だけではなくしつけ・問題行動等についても相談できます。他社のペット保険の類似サービスは平日限定だったりするため、24時間365日いつでも利用できるのはポイントといえます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は補償プラン・ペットのサイズ(犬のみ)・年齢によって決まります。補償プランは50%が最も安く、70%・100%にすると高くなります。ペットのサイズは小型犬が最も安く、中型犬・大型犬になると高くなります。年齢は高齢になるほど高くなり、ペットセレモニー特約も年齢に応じて上昇します。最初は年間で数十円でも12歳以降は年間で1万円近い額になります。
この保険の保険料で特徴的なのは3歳おきに保険料が上昇する点です。他社のペット保険が1歳(1年)おきに保険料が上昇するのとは対照的です。3年間は保険料が据え置きとなれば、保険料上昇の心配も多少は軽減されます。解約するにしても3年間は様子見して、保険料が上昇するタイミングで解約するという方法もできます。さらに12歳以降は年齢に応じて上昇せず一定額になります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると安い部類に入ります。犬0歳だと平均程度の保険料ですが、5歳・8歳では最安値ではないものの安いです。言い換えるとペットが年齢を重ねても他社よりも上昇幅が小さく、保険料は緩やかに上昇するというこです。その傾向は猫だと余計に顕著に表れています。
犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料も49万円と安いです。この保険よりも合計保険料が安い保険もありますが、その中には通院を補償しない保険もあります。通院補償がある保険の中では保険料の安さは3本の指に入ります。
以上を踏まえると、PS保険の保険料は間違いなく安いです。ただ安いだけではなく、保険料が3歳おきで上昇し、かつ保険料の上昇幅が緩やかで12歳以降は保険料が上昇しません。これらを考慮すると、他社よりも契約者に配慮した保険料設定だといえるでしょう。
メリット
この保険のメリットは、まずは通院補償があるのに保険料が安い点です。PS保険 2020年度の保険金支払データによると、保険金を請求したキッカケ(治療方法)は通院が85%を占めています。飼い主としても病院に何日もペットを泊めておきたくはない、という心情もあるでしょうから当然の結果ともいえます。
保険料も前述したように3歳おきの上昇で、かつ年齢による保険料の上昇幅が緩やかです。さらに12歳以降は保険料が上昇しないため、ペットが亡くなるまで継続しやすいです。他社のように高齢になると保険料が急激に上昇していき、13歳になると1年間の保険料が10万円を超える保険(楽天損保等)とは対照的です。
また、100%補償プランが選択できるのもメリットです。他社のペット保険を見渡しても、100%補償が選択できるのはSBIプリズム少短・チューリッヒ少短ぐらいです。保険料を支払っていながら治療費に自己負担があるのに違和感を感じるような人には最適です。
地味ですが、保険に加入してから一定期間は病気になっても補償されない免責期間(待機期間)が無いのも見逃せません。他社のペット保険には軒並み免責期間が30日程度は設けられています。この保険なら運悪く加入直後に病気になっても保険金が受け取れます。
補償面でいえば、ペット車イス(QOL維持費用担保特約)・ペットセレモニー特約・獣医師ダイヤルもメリットです。ペット車イスはペットが歩行困難になった場合の車イス費用が補償され、ペットセレモニー特約はペットの葬儀費用が補償されます。いずれも他社では見かけないオリジナリティのある補償です。
獣医師ダイヤルは24時間365日というのがポイントです。アニコムは相談相手は獣医師ですが、平日10時~17時に区切られています。その他のペット保険では、相談相手が獣医師ではなくアドバイザーだったりして信頼性が乏しいことがあります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは1回あたりの支払限度額が低い点が挙げられます。年間の限度額は110万円でも、1日あたりの限度額が低いため高額治療には耐え切れません。例えば犬で膝蓋骨脱臼(パテラ)だと、入院5日で手術・点滴・検査等で治療費が30万円程度になることがあります。この保険だと入院5日分の10万円と手術の10万円で合計20万円となり、30万円の7割である21万円より受け取り額は少なくなります。
さらに高額な治療だと受け取れるのは治療費に7割未満となり、どんどん自己負担額は大きくなります。入院5日で手術して治療費が50万円だと、この保険で受け取れるのは前段の例と同じ20万円のため、自己負担額は30万円となります。治療費が入院の1日あたり2万円もさることながら、手術が1回あたり10万円というのが心もとないです。
さらに保険金請求は書類を郵送で提出というデメリットも見逃せません。アニコムやアイペットは窓口精算のため書類の手間はありません。この保険では電話・ネットで保険金請求は受け付けてくれますが、その後に届く書類を記入して返送する必要があります。
また、ペットセレモニー特約は特約分の保険料が年齢に応じて上昇するため、ペットが長生きすると損をします。特約分の保険料は0~2歳の間は、1年間で700円で3年間で合計2100円です。それが3~5歳の3年間で2550円、6~8歳の3年間で2910円、9~11歳の3年間で7800円、12~14歳の3年間で21300円となります。14歳までの14年間で支払うのは合計36660円で、受け取れる保険金の上限3万円を超えます。ちなみに小型犬の平均寿命は14歳です。
獣医師ダイヤルもアクサ・au損保等は同様に獣医師に24時間365日いつでも相談できます。PS保険だけのサービスではありません。さらにアニコムは平日限定でもLINEで相談できます。LINEなら電話で伝わりにくい内容(歩き方が少し変)という相談でも、動画を送ってしまえば説明は事足ります。
忘れがちですが、PS保険を販売しているペットメディカルサポートは少額短期保険業者である点もデメリットです。アニコム・アイペットのような損害保険会社は契約者保護機構に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。その一方で少額短期保険業者は同機構に加入しておらず、経営破綻しても法務局に預けた供託金が契約者等で分配されるだけです。
ペットメディカルサポートは東京海上グループの日新火災、大和証券グループの大和企業投資から出資されているため一定の信頼感はあります。とはいえ経営破綻という可能性は損害保険会社より高く、経営の透明性についてもアニコムのような上場企業には劣ります。
評判・苦情
PS保険を販売しているペットメディカルサポートの2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の3.8億円から4.7億円になり23%増と絶好調でした。他社では横ばい・微増のケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。
オリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)でも、ペットメディカルサポートは12社中2位と上位でした。ペットの種類別部門結果では小型犬は2位で総合順位と同じですが、猫では1位に上昇しています。保険料の箇所で既述したように猫では保険料が安いのが評価された可能性があります。
この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、どの項目も2位か3位に入っており優秀です。その一方で適用内容別部門結果では、入院が9位・手術が8位と順位を落としています。これは保険金を請求した理由が入院・手術だった人の評価は低いことを意味します。おそらく1回あたりの限度額が低いのが影響しているのでしょう。
個別のクチコミでは「通院の上限が1万円で低い」「利用回数が限られている」「いつの間にか補償内容が改悪されている」「一生で受け取れる保険金に限度がある」等のネガティブな意見がありました。概ね補償内容・デメリット等で記載した内容ですが、補償内容の改悪・一生での保険金限度には注意が必要でしょう。
以上のデータから考えるとペットメディカルサポート(PS保険)の評判は良さそうです。ただし、デメリットの箇所で既述した内容のいくつかは評判でも明らかになっており、いつの間にか補償内容が改悪されているという見過ごせない点もありました。これらの点は評判は良さそうでも確認・注意が必要でしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、PS保険は総合的には悪くない保険です。デメリットもあるにはありますが、保険料が安く補償内容も一通り揃っているからです。評判面でも注意点はあれど概ね好評で、総合的に見れば加入しても悪くない保険といえるでしょう。
その一方で保険料の安さを追求したい人は、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等を検討した方が良いでしょう。保険料より補償内容・評判等を重視するならSBIいきいき少短・アニコム損保等のペット保険が候補になります。