アイペット損保 うちの子を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- アイペット損害保険
- 名称:
- うちの子(ペット医療費用保険)
- 補償割合:
- 50% or 70%
- 保険金請求:
- 窓口精算・書類請求
- オリコン:
- 5位 / 12社中
- 特徴:
- 通院から入院・手術まで幅広く補償
アイペットは2004年にペット共済として創業し、2008年に少額短期保険業者となり、2012年に損害保険会社となり着々と規模を拡大してきました。それが評価されたのか2023年には第一生命に買収され、第一生命の完全子会社となっています。ペット保険の国内シェアではアニコム損保に次ぐ規模です。
アイペットには「うちの子」と「うちの子ライト」がありますが、うちの子が同社ではスタンダードな保険です。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療費の70%が補償される70%プランと、治療費の50%が補償される50%プランがあります。どちらのプランも通院・入院・手術が補償されますが、1日・1回あたりの限度額に差があります。70%プランは通院は1日あたり1.2万円、入院は1日あたり3万円、手術は1回あたり15万円が限度です。入院・通院は年間22日まで、手術は年間2回までのため、年間の補償限度額は最大で122.4万円となります。
その一方で50%プランは通院は1日あたり1.2万円で70%プランと同額ですが、他の補償は減額されています。入院は1日あたり1.2万円、手術は1回あたり10万円が限度です。入院・通院は年間22日まで、手術は年間2回までのため、年間の補償限度額は最大で72.8万円となります。どちらのプランも限度額を超える分は補償されません。
治療費の補償以外にペット賠償責任特約が付けられます。この特約はペットが他人に噛み付いたり、他人のペットをケガさせた場合等に500万円まで補償されます。1頭申し込むと他のペットも補償の対象となります。相手方への示談交渉は代行してくれませんが、賠償責任の有無や金額についてはアドバイスがもらえます。
その他に、子犬のドッグトレーニングの無料体験と優待サービス、ペットの迷子札の提供、里親マッチングサービス、ペット関連の店で優待や特典が受けられるクラブアイペット等のサービスがあります。クラブアイペットはペットグッズの店から、ペットと泊まれる宿・トリミングサロン・ペットホテル・しつけ教室まで多岐に渡る店舗があります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は犬だと品種によってA~Cクラス(Aが安く、Cが高い)に分かれ、年齢が上昇するほどに高くなります。トイプードル・チワワといった小型犬は基本的にAクラスですが、パグなどのように小型犬でもBクラスになるケースもあります。その逆に中型犬なのにAクラスというケースもあります。犬ではなく猫だと品種は無関係で年齢だけで保険料が決まります。
この保険の保険料で特徴的なのは、12歳以降は保険料が上昇しない点です。ペット保険は1年更新のため、加入してからも保険料は毎年上昇します。他社では11歳で保険料が11万円を超え、14歳になると保険料は17万円になる保険もあります。その意味では12歳以降は同額というのはポイントといえます。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると高い部類に入ります。最安値圏の保険は通院が補償外ということもありますが、通院まで補償されるFPCやPS保険と比べても1.5倍は高いです。猫だと保険料の高さは一段と際立ち、猫5歳・猫8歳だと上図の中では保険料は最高値となっています。
さらに犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料は96.8万円と非常に高額です。比較されがちなアニコムの合計保険料が91.6万円であるため、この保険の保険料の高さが分かります。さらに他社ではFPCやリトルファミリー少短のように、この保険の半額の40万円で補償が14年間継続できる保険もあります。
以上を踏まえると、うちの子の保険料は間違いなく高いです。0歳時から12歳まで保険料は終始高く、12歳以降に保険料が一定だとしても保険料面では大した恩恵はありません。この保険料の高さを肯定するだけのメリットがあるのか、続けてメリットを確認していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは12歳11ヶ月まで加入できる点が挙げられます。病気になる可能性が高くなる高齢でも加入できます。同じく高齢でも加入できるアニコムの動物健保しにあは通院は補償外ですが、この保険は通院も補償されます。
治療費を窓口精算できるのもメリットです。アイペット対応動物病院で保険証またはスマホでマイページを提示すれば、治療費は自己負担分だけとなります。診療明細書・診断書等の郵送は不要です。トップシェアのアニコムのどうぶつ健保対応病院は6700件ですが、アイペット対応病院も5800件のため遜色ありません。
補償・サービス面でいえばペット賠償責任特約の他に、ペット迷子札・クラブアイペット等のサービスもメリットです。ペット迷子札はアイペットのURLとペットIDが記載されているため、迷子になったのを誰かが見つけてくれれば帰ってくる可能性が高まります。
クラブアイペットはペットグッズの店・ペットと泊まれる宿・トリミングサロンの他に、老犬ケア施設や老犬ホームまで優待サービスがあります。ありとあらゆる優待があるため、ペットを飼ったなら何かしらでクーポンや無料サービスが受けられるでしょう。
ちなみにアイペット損保は損害保険会社である点もメリットです。損害保険会社は「契約者保護機構」に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。少額短期保険会社は同機構に加入しておらず、破産するケースも少なくありません。その点、アイペットは買収前は上場企業であり、現在は第一生命グループであるため安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。どの年齢から加入しても年間保険料は3万円以上(品種Aの場合)となり、12歳以降は99200円とほぼ10万円です。加入せず12歳以降に2年間は病気にならなければ20万円節約となり、仮に骨折で治療費が18万かかっても保険に加入するより得です。アニコムのように保険料の割増引制度が無い分だけマシですが、それでも前述したようにトータルの出費(合計保険料)で高ければ無意味です。
補償面では1回の支払限度額が細かく設定され、年間限度額も低いのもデメリットです。他社には1回あたりの上限がなく、年間の上限額も100万円超の保険があります。この保険で3日の入院と手術で治療費が40万円の場合、70%プランだと補償されるのは計24万円です。40万円の70%補償なら28万円が補償されるところが、この保険だと自己負担が4万円ほど大きくなります。
実際、自分のペットが高額治療を受けるかは分かりませんが、その可能性は否定できません。INUNAVIを運営する(株)PLAN-Bの愛犬の治療費に関する調査(調査対象300人)では、一番高額だった治療費で最多の回答は10~20万円でした。さらに20万円以上の人も300人中48人いて、回答者の16%を占めています。おおよそ6人に1人と考えると低い確率ではなさそうです。
さらに窓口精算は便利ですが、自分の最寄りの動物病院が対応しているとは限りません。現在、窓口精算ができる動物病院は約5800件、日本にある動物病院が約12000件(農水省 飼育動物診療施設の開設届出状況より)の半数です。自分の最寄の病院で利用できる確率は半々といったところです。
ちなみにペット保険賠償責任危険補償特約は、自動車保険・火災保険等で個人賠償責任特約があれば不要です。それもアイペットの場合は補償額が500万円と、他社のペット保険の1000万円よりも少ないです。
評判・苦情
アイペット損害保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の224億円から276億円になり23%増と好調でした。他社では横ばい・減少したケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。価格.com経由の新規契約数ランキングでも13社中6位と中位です。
日本損害保険協会の苦情数のデータですが、アイペット損保全体に寄せられた苦情数は31887件(2022年度累計)でした。同じくペット保険専業のアニコムの1.2万件より明らかに多く不安感があります。苦情の中身は「契約・募集行為」「契約の管理」が各々1万件と多く、契約時の説明不足や誤り、変更・解約手続き等について不満が多いのが分かります。
次にオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)ですが、アイペット損保は12社中5位と中位でした。ペットの種類別部門結果では小型犬は6位と総合順位と差はありませんが、中型犬は1位・猫は3位と上位にあります。中型犬でも保険料が最安のAクラスになるケース等々が評価された可能性があります。
この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、その中で最も評価されたのは保険金です。アイペットは窓口精算があるのが評価された格好ですが、1位のアニコムにはLINE請求もある分だけ2位となった可能性があります。その他の項目は総合順位と大差なく評価は普通といったところです。
個別のクチコミでは「窓口精算対応の病院が家から少し遠い」「近隣の病院がアイペットとの提携を止めた」「保険料が高い」「通院の上限額が低い」「コールセンターの対応が悪い」等のネガティブな意見がありました。窓口精算や各種手続きについてストレスを感じている人が多いようです。
以上のデータから考えると、アイペット損保のペット保険の評判は普通そうです。どの項目でも良くも悪くもない中で、保険金請求についての評価で全体の評判を底上げしている感はあります。とはいえ苦情以外では取り立てて不安な箇所はありません。苦情で契約時や変更手続きで煩わしいことがあるかもしれない点だけ注意が必要かもしれません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、うちの子は総合的には微妙な保険です。保険料が高いのに見合うだけのメリットがあるのか疑問符が付き、評判面でも取り立てて良くはないからです。窓口精算の利便性は高いのですが、ペットが病気になるのが数年に1回だとすれば、書類での手続きも我慢できるのでは?ともいえます。
窓口精算に固執しないなら、他社には保険料の安いFPCやリトルファミリー少短のペット保険等があります。補償内容・評判等も重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険が候補になります。