イオン少短 ペット保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- イオン少額短期保険
- 名称:
- ペット保険
- 補償割合:
- 50% or 70%
- 保険金請求:
- 書類請求
- オリコン:
- 10位以下 / 12社中
- 特徴:
- 保険は確かな絆の証です
イオン少額短期保険は2014年3月からペット保険を募集・販売しています。当初はイオンカード会員専用商品として販売していましたが、現在は会員以外でも加入できます。補償内容については販売を開始した頃から大きくは変わっていません。
よくイオン店内(イオンのほけん相談)で見かける保険でもありますが、果たして他社よりも優れたペット保険なのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は「ケガ+病気プラン」と「ケガのみプラン」があり、ケガのみプランだと病気は補償されません。どちらのプランにも治療費の70%が補償される70%プランと、治療費の50%が補償される50%プランがあります。70%プランと50%プランには補償割合の他に限度額で差があります。
まず入院・通院費用保険金は70%プランだと1日あたり14000円までですが、50%プランだと10000円に減額されています。手術費用保険金も14万円と10万円と差があります。とはいえ補償される治療費で考えると、どちらのプランも治療費で考えると上限は同じです。入院1日で治療費が2万円なら、70%プランは14000円、50%プランは10000円の保険金となります。手術1回で治療費20万円なら14万円と10万円といった具合です。
保険期間(1年)あたり支払限度額も同様で、70%プランの70万円と50%プランの50万円は治療費が100万円までは補償されることを意味します。1回のケガまたは病気に対する支払限度額は、同様に考えると1回の治療費は50万円まで補償されることになります。
治療費の補償の他に診断書費用保険金(年1万円限度)とペットホテル費用保険金(年30日・1日3000円まで)があります。診断書費用保険金は保険金請求時に診断書が必要で、獣医師に診断書の作成を依頼した場合の費用が補償されます。70%プランなら1通につき5000円まで、50%プランなら1通につき3000円が限度となります。ペットホテル費用保険金は飼い主が入院等でペットをペットホテルに預けると、その費用が1日3000円まで補償されます。
その他に任意(オプション)で個人賠償責任保険とペット葬祭費用保険が付けられます。前者はペットが噛み付いた等で他人に損害を与えた場合に1000万円まで補償されます。後者はペットが亡くなった際の葬式費用が3万円まで補償されます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は、病気の補償の有無・補償割合・サイズ(犬のみ)・年齢によって異なります。保険料は病気が補償される方が高く、70%プランの方が50%プランより高くなります。サイズは中型・大型・混血犬の方が小型犬より1.5倍ほど高くなり、猫だとサイズは無関係です。小型犬にはシーズー・柴犬・チワワ・トイプードルなどが該当します。
この保険の保険料で特徴的なのは、ケガのみプランはサイズ・年齢に関わらず一定額となる点です。70%プランは犬は12650円で猫は11630円で、50%プランは犬は10720円で猫は10030円で一生涯同じ保険料です。ケガ+病気プランは元より他社の保険は年齢によって保険料が上昇し、ほぼ1年毎に支払う保険料が上昇します。このプランなら契約時から支払う保険料は変わりません。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると犬は平均に近い額です。0歳だと他社より少し高めですが、5歳はほぼ平均額、8歳だと少し安めになっています。その一方で猫だと平均よりも高い金額になっています。特に割高になっているのは0歳と8歳で、他社よりも1~4万円は高い保険料となっています。
保険料が平均の犬でも、0~14歳(14年間)まで加入した場合の保険料は合計78.4万円と少し高めです。同じく通院まで補償するFPC・リトルファミリー少短よりも30万円の差があります。この保険の場合は10歳以降は9~10歳時と同額ペースで保険料が上昇すると想定しているため、実際には一段と保険料が高い可能性すらあります。
以上を踏まえると、イオン少短のペット保険の保険料は高めです。犬よりも猫の方が保険料の高さは顕著で、猫だと保険料面での優位性は無いといえます。一応、犬の品種によっては他社より安い可能性(柴犬は他社では中型犬に分類されることがある等)もありますが、全体的に保険料が高めなのは間違いありません。その一方で、保険料が終身で1万円程度に抑えられるケガのみプランは、保険料は圧倒的に安く保険料からすると手頃で狙い目といえます。
メリット
この保険のメリットは、まずは通院まで補償される点が挙げられます。他社には保険料が激安でも通院治療は補償されない保険があるからです。それでも保険料が安くはありませんが、大型犬が中型犬と同じ保険料クラスにあり、大型犬なら他社よりも安い可能性があります。
通院まで補償されるプランがある一方で、補償を削った「ケガのみプラン」があるのもメリットです。それも保険料はサイズ・年齢を問わず一定額で、その金額も年間1万円程度と非常に安いです。ケガは活発な若い頃だけで年を重ねると骨折するほど運動しないと考えるなら、一定の年齢に達したら解約して保険料を節約するという手もあります。
それでもケガの補償だけでは心配という人もいるでしょうが、ケガだけの補償でも犬の品種によっては十分な備えになります。アニコム損保の家庭どうぶつ白書2022によると、トイプードルの「他犬種に比べ罹りやすい疾患ランキング」で1位は糖尿病で、2位は骨折(前肢)です。糖尿病と骨折の年間診療費の平均額が20万円超と突出しています。
糖尿病は飼い主の健康管理で予防できると考えるなら、突発的な事故で起こる骨折に備えられるのは非常に大きいでしょう。「他犬種に比べ罹りやすい疾患ランキング」では、ポメラニアンでは骨折が2位(平均診療費26万円)、ウェルシュコーギー・ベンブロークでは十字じん帯損傷が5位(平均診療費42万円)でした。
ちなみにイオン店内(イオンのほけん相談)の窓口で加入できるのもメリットです。イオンでの買い物のついでに相談・加入できます。基本は予約相談が優先されますが、空いていれば予約なしでも利用できます。さらに相談者全員へのプレゼントや抽選で豪華プレゼントがある日もあるため、試しに相談だけするのも手です。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは保険料が安くはない点が挙げられます。前述したように同じく通院まで補償する保険より高いです。さらに中型犬・混血犬は大型犬と同じ括りのため、大型犬に寄せられた高い保険料になります。保険料が安いケガのみプランも、ペットが高齢になり病気になりやすくなった際の備えにはならない、というデメリットがあります。
保険料もさることながら、この保険の最大のデメリットは免責金額がある点でしょう。5000円以下の治療費は補償されず、入院日数次第では保険金額が大きく減ります。仮に10日の入院・手術で治療費が10万円の場合、免責金額は5万円(5000円×10日)です。プラン70だと免責額を差し引いた5万円の70%となるため、受け取れる保険金は3.5万円です。補償割合は70%どころか35%で、およそ期待した保険金の半分となります。
ペット葬祭費用保険も付加できるのは悪くありませんが、その内容が問題です。保険料が年齢に応じて上昇する上に、受け取れる保険金額は僅か3万円です。仮に0~9歳まで加入すると、支払った保険料は合計33960円となります。33960円を支払って3万円を受け取れば3960円の損ですし、10歳以降も継続すれば損失は一段と膨らみます。
保険金請求が書類郵送である点も見逃せません。手続きはイオン少短への連絡後に必要書類を郵送する必要があります。書類に不備があれば再度の送付が必要となり非常に面倒です。さらに他社のようにペットの健康状態を無料相談できるサービスもありません。他社は電話・HP・LINE等で無料で獣医師に相談できます
ちなみにイオン少額短期保険は少額短期保険業者である点もデメリットです。少額短期保険業者は契約者保護機構に加入しておらず、経営破綻すると供託金が契約者等で分配するだけです。最悪の場合、経営破綻すると保険金が受け取れません。その点、イオン少短はイオングループのため過度な心配は不要ですが、一応は留意しておいた方が良いでしょう。
評判・苦情
イオン少額短期保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の8205万円から8695万円になり5.9%増でした。その中でペット保険は1591万円で前年度比0.6%増と伸び悩んでいます。ペット保険を主とする他社の多くが正味収入保険料が億単位であるため、業績・契約数からするとペット保険の評判は悪いです。価格.com経由の新規契約数ランキング等でもイオンは顔を出していません。
オリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)でも、イオン少額短期保険は12社中10位以下と下位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、全ての項目で低評価だったと考えられます。
個別のクチコミでは「窓口で書類を送ったのに不備を指摘された」「保険金が受け取れない病気がある」「補償内容が分かりにくい」等のネガティブな意見がありました。せっかくイオンの店頭・窓口で契約できるにも関わらず、その点についてネガティブな意見があるのは非常に残念です。
以上のデータから考えると、イオン少短のペット保険の評判は悪そうです。そもそも契約数が多くはないためデータ不足の可能性もありますが、契約されていない時点で「皆が選んでいない保険」ともいえます。今後、イオンの店舗網を活かして契約数が伸びていく可能性もありますが、その可能性は現状では見受けられません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、イオン少短のペット保険は総合的にはイマイチな保険です。保険料・免責金額等のデメリットがメリットよりも目立つからです。ただし、ケガのみプランは話は別です。運動量が多い犬種や骨折・脱臼等が気になる犬種なら、保険料も安いため年齢を重ねて運動量が落ちるまでの一定期間は加入しても良いかもしれません。
そうでなければ他社の病気も補償される保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さでいえば、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等があります。通院補償ナシならアニコムのぷちプラン・アイペットのライトプランという手もあります。補償内容・評判等も重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険が検討候補になります。。