日本ペット少短 いぬとねこの保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 日本ペット少額短期保険
- 名称:
- いぬとねこの保険
- 補償割合:
- 50% or 70% or 90%
- 保険金請求:
- アプリor書類郵送
- オリコン:
- 10位以下 / 12社中
- 特徴:
- 飼い主様に安心感を与えてくれる保険
いぬとねこの保険は日本ペット少額短期保険株式会社が募集・販売しているペット保険です。一時期、日本ペットは日本ペットプラスに社名変更(その前はガーデン少額短期)していますが、現在は創業時の日本ペット少額短期に戻っています。
いぬとねこの保険は社名変更中も変わらず販売しており、10年以上継続しています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険には補償内容に応じてプラチナプラン・ゴールドプラン・パールプランの3つのプランがあります。同社で1番人気のプラチナプランは通院・入院・手術の全ての治療費が補償されます。通院・入院の1日あたりの回数制限・限度額は無く、手術の回数制限・限度額もありません。その代わり年間の限度額が補償割合(90%補償は90万円、70%補償は70万円等)に応じて設定されています。
ゴールドプランは通院のみが補償される珍しいプランです。こちらも通院の1日あたりの回数制限・限度額は無く、年間の限度額が補償割合に応じて設定されています。パールプランは手術のみが補償されるプランで、補償割合は70%のみです。年間の限度額が30万円までと低く、年間2回までという回数制限がある分だけ保険料は安いです。
どのプランでも基本的に免責金額はありませんが、免責額適用特約を希望して付加すると免責額が設定できます。免責額とは補償が不要な金額を指します。例えば免責額を3000円に設定すると、3000円以下の治療費は補償されません。治療費が1万円でも3000円を差し引いた7000円が補償対象となり、70%プランなら7000円のうち4900円が補償されます。トータルでの自己負担額は増加する分だけ保険料は安くなります。
その他に賠償責任特約が付けられます。この特約はペットが他人に噛み付いたり、他人の物を壊して損害賠償の責任を負った場合に最大500万円まで補償されます。飼い主や同居する家族への損害は補償されませんが、ペットの予期せぬ行動が心配な人には安心感が増す特約です。
保険料を他社と比較
この保険の保険料はプラン・ペットのサイズ(犬のみ)・年齢によって決まります。プラン別ではプラチナが最も高く、ゴールドが中間でパールが最も安いです。ただし、補償割合によってはプラチナとゴールドで保険料が逆転します。例えばプラチナ(50%プラン)よりは、ゴールド(90%プラン)の方が保険料は高いです。
ペットのサイズは小型犬が最も安く、中型犬・大型犬になると高くなります。年齢は高齢になるほど高くなり、20歳になるまで保険料は上昇を続けます。賠償責任特約は特約保険料として年払いで1030円(月払い90円)で、ペットのサイズ・品種・年齢に関わらず一定です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険(プラチナ70%)の保険料は他社と比較すると高い部類に入ります。最安値圏の保険は入院・手術のみ補償されるため差があるのは問題ありませんが、同じく通院まで補償するFPCやPS保険よりも1万円以上は高いです。犬ではなく猫だと差額は数千円まで縮小しますが、それでも高いことは変わりません。病気に1年間ならず保険を利用しないと保険料が10%割引されますが、それでは埋められない差があります。
犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料も81万円と高いです。最安値圏の保険と比べると倍以上の金額となるため、何事もなかった場合に無駄になる保険料は40万円近い差があります。この原因は11歳時の保険料で7万円を超え、14歳時には9.7万円まで保険料が上昇する点にあります。
以上を踏まえると、いぬとねこの保険の保険料は間違いなく高いです。保険料ではアニコム・アイペット等に並ぶ高さです。アニコムとは13歳時点で保険料の高さが逆転(アニコムは8.2万円・この保険は8.5万円)するため、ペットが高齢になるほど保険料負担が重くのしかかる保険といえるでしょう。
メリット
この保険のメリットは、まずはプランの選択肢が多い点が挙げられます。最もベーシックなプラチナプランでも、補償割合で90%を選べるため他社との差別化ができています。他社の多くの保険が50%・70%補償の選択制で、この保険以外に90%があるのは数社だけです。
ゴールドプランは通院しか補償しない珍しいプランで、あまり他社では見かけません。ペットの治療費というと手術をイメージしがちですが、ペットの治療では人間に先駆けて再生医療・免疫療法が進んでいます。こういった治療は10~20万円になるケースもあります。また、定期的に通院して治療している場合、月1回1万円でも年間12万円となるため通院補償だけでも侮れないといえます。
パールプランは手術のみ補償されるため他社でも見かける存在ですが、回数制限2回で年間限度額は30万円と低いのがポイントです。他社では1回50万円までで年間100万円までとする保険が多く、その分だけ保険料が高くなります。アニコムの手術のみ補償されるプランの年間保険料は犬5歳で1.5万円ですが、パールプランなら6780円で済みます。14歳になっても年間保険料は2万円のため負担は軽いです。
パールプランを除いて回数制限や日額制限が無いのもメリットです。他社の保険の中には入院は1日2万円まで、手術は10万円までとする保険があります。そういった保険は数日の入院と手術で数十万円を超える治療費となった場合に十分に補償が受けられませんが、この保険なら数十万円の70%が漏れなく受け取れます。
また、保険金請求をスマホアプリで完結できるのもメリットです。2021年10月からスタートしたサービスで、治療費が10万円以下ならアプリで保険金請求ができ、請求書や診療明細書の郵送は不要です。他社ではネットで請求できるといっても請求を受付けるだけで、手続きの最後には書類を郵送する必要がある保険があります。10万円以下限定とはいえ便利なサービスといえます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずはプランの選択肢が多い点が挙げられます。メリットでもありますが、選択肢が多いほど迷う人も増えるでしょうし、どのプランが良いか情報収集して決める手間が生じます。仮に熟考してプランを決定しても、ペットの治療法が保険に則したものになるとは限りません。パールプランの人で通院治療が主となったり、ゴールドプランの人で入院・手術が1回で済んだというケースもあり得ます。
個別のプランでいえば、プラチナプランは保険料が他社より高いという決定的なデメリットがあります。ゴールドプランも通院補償のみにしては保険料が高く、そもそも通院だけで年間50~90万円の限度額がいるのかという疑問符も付きます。パールプランは保険料は安いものの、年間30万円までのため43万円を超える治療費だと自己負担額は3割を超えるというデメリットがあります。
さらに保険金請求は10万円以上だと、従来通りの書類郵送が必要なのもデメリットです。アニコム・アイペットはアプリでの請求も不要で窓口精算ができます。そもそもペット保険に加入する目的が高額治療費のためと考えるなら、10万円という区切りは低い感があります。
また、ペット保険の契約者限定のサービス・特典が乏しいのも見逃せません。他社の大半のペット保険でペットの健康相談ができる無料サービスがあります。さらに契約者向けにペット用品やペットと泊まれる宿が優待割引されるサービスが付いている保険もあります。
ちなみに販売している日本ペットが少額短期保険業者である点もデメリットです。アニコム・アイペットのような損害保険会社は契約者保護機構に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。少額短期保険業者は同機構に加入しておらず、経営破綻しても法務局に預けた供託金が契約者等で分配されるだけです。
日本ペット少短は東証に上場しているスカラグループの一員のため、一定の信頼感はあります。とはいえ親会社の本業はIT関連であり、業績次第ではクローズされる可能性もあります。経営破綻する前にグループから切られるという可能性も否定できません。
評判・苦情
日本ペット少額短期保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険料等収入は前年度の16.8億円から21.8億円になり29%増と好調でした。他社では横ばい・微増のケースもあるため、業績からするとペット保険の評判は良いです。
とはいえ2020年度までは純利益が出ていたのが、2021年度には純利益がマイナス(純損失)1.8億円となっているのが気がかりです。このまま純損失が継続するようなら、将来的には保険料の一段の値上げ・補償内容の改悪が予想されます。
また、オリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)では、いぬとねこの保険は12社中10位以下でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、どの項目も低評価だったのでしょう。唯一、適用内容別部門結果の通院部門では3位と高評価でした。これは保険金を請求した理由が通院だった人からの評価で、通院のみのゴールドプランがあるのも影響していそうです。
個別のクチコミでは「10万円を超えると保険金請求が書類になり面倒」「保険金の支払いが1~3ヶ月かかり遅い」「保険料が大幅に上昇した」等のネガティブな意見がありました。アプリの使い勝手や寄付の評判が意外と良いようですが、保険金が受け取れるのが遅いといった気になる口コミもあります。
以上のデータから考えると日本ペット(いぬとねこの保険)の評判は普通か少し悪そうです。ただ、少額短期保険であるためか情報公開が乏しくデータに不足感があります。好評のアプリについても運営しているのは別会社のアニポスという会社であり、日本ペットが運営しているわけではない点に注意が必要です。
総合評価・おすすめか?
結論としては、いぬとねこの保険は総合的には微妙な保険です。プラチナプランは間違いなく保険料がネックですが、ゴールドプラン・パールプランは人によってはベストな保険になります。1番人気はプラチナプランかもしれませんが、ゴールドとパールが自分に合うかを軸に考えた方が良いかもしれません。
その一方で通院・入院・手術が補償され保険料が安い保険を探している人は、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等を検討した方が良いでしょう。保険料より補償内容・評判等を重視するならSBIいきいき少短・アニコム損保等のペット保険が候補になります。