アクサダイレクトのペット保険を比較・評価

アクサダイレクト(損害保険)
オススメ度:
2
保険会社:
アクサ損害保険
名称:
アクサダイレクトのペット保険
補償割合:
50% or 70%
保険金請求:
郵送
オリコン:
7位 / 12社中
特徴:
ペットとの暮らしをサポート

アクサダイレクトのペット保険は、アリアンツ火災海上保険からペット保険事業を引き継いで2011年4月から販売している保険です。アリアンツは2006年に日本初のペット保険を販売したため、この保険はペット保険の草分け的な存在といえます。

販売から間もない2006年から2010年頃までは、オリコンのペット保険の満足度ランキングでは1位を取っていましたが、最近では追随してきた他社に遅れを取っている感があります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険はプラン50とプラン70の2つのプランがあります。どちらのプランも入院・通院・手術が補償(ワクチン接種費等は補償外)されますが、補償割合と年間限度額に差があります。プラン50はペットの治療費の50%が補償されるのに対して、プラン70は70%が補償されます。年間限度額もプラン50だと50万円までですが、プラン70だと70万円となります。

アクサダイレクトのペット保険の補償内容と特約(出典:アクサダイレクト公式HP「5つの特長 補償割合で選べる2つのプラン」)

一般的に人間と同じく70%補償(自己負担が3割)が人気なのですが、プラン70は満10歳で終了する点に注意が必要です。満11歳になるとプラン70からプラン50に変更されます。つまり5歳でプラン70に加入しても、満11歳になった時に強制的にプラン50に変更されるということです。プラン50は年齢制限が無く死亡するまで更新できます。

治療費の補償以外にペット保険賠償責任危険補償特約が付けられます。この特約はペットが他人に噛み付いたり他人の物を壊した場合に1000万円まで補償されます。保険会社が代理で示談交渉をしてくれるサービスも付いています。この特約を付加するかは自由ですが、自動車保険・火災保険等で個人賠償責任補償特約を付けていれば不要です。

その他に24時間ペット健康相談サービスが無料で利用できます。ペットの様子が変な時に電話越しに獣医師に相談ができます。他社のペット保険にも類似のサービスがありますが、アクサは24時間365日いつでも利用できるのがポイントです。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料はペットの品種・年齢によって決まります。犬だと小型犬のトイプードル等は最も安く、中型犬・大型犬になると高くなります。一方で猫だとミックス(交雑種)の保険料が安く、血統種だと保険料が高くなります。さらにインターネット割引・マイクロチップ割引があり、ネット申込で初年度の保険料が3000円割引、マイクロチップの装着で月額1000~3000円ほど(品種・年齢による)安くなります。

アクサダイレクトのペット保険の新規保険料一覧(出典:アクサダイレクトのペット保険 保険料表(愛犬・新規契約用)保険始期日 2021年9月1日以降用)

この保険の保険料で注意すべきは保険料の割増引制度がある点です。前年度に保険会社から治療費として保険金が支払われた場合、次年度の保険料が5%高くなります。その逆に前年度に何も無ければ保険料は5%安くなります。あくまで前年度の実績から判断されるため、ずっと保険料が高くなるわけではありません。

アクサダイレクトのペット保険の保険料の割増引制度の仕組み(出典:アクサダイレクト公式HP「保険金支払実績による割増引制度」)

例えば猫が3歳時に契約して初年度の保険料が12560円だったとします。その年にケガで入院すると4歳時の保険料は、13860円ではなく14550円となります。その後、4歳時は病気もケガもなく無事に過ごすと5歳時の保険料は16260円ではなく15440円になります。保険料はペットの年齢に応じて毎年上昇して分かりにくいのですが、つまり保険料は前年度の病気の有無により10%の差があることになります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。

ペット保険の犬猫の0歳・5歳・8歳時・0~14歳・平均値の保険料の比較一覧表(アニコム損保・アクサダイレクト・アイペット・ペットメディカルサポート・ペット&ファミリー・日本ペット・FPC・あいおいニッセイ同和損保・SBIいきいき少短・SBIプリズム少短・au損保・楽天損保・チューリッヒ少短・イーペット少短・イオン少短・リトルファミリー少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較すると、犬でも猫でも平均か少し高い部類に入ります。最安値圏の保険とは倍近い差がありますが、これらの保険は通院が補償されません。そう考えると保険料は過度に高いというよりは、普通に近いといえます。前年度に保険の利用が無く5%割引されても平均に近づく程度です。

その一方で、犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料は86万円と非常に高額です。前述したように11歳以降はプラン50に強制的に変更されるため安くなりますが、それでも11~14歳は年間で8万円近い保険料となります。他社には高齢時の保険料がアクサの半額で、合計保険料も半額程度になる保険があります。

アクサダイレクトのペット保険の継続保険料一覧(出典:アクサダイレクトのペット保険 保険料表(愛犬・継続契約用)保険始期日 2021年9月1日以降用)

以上を踏まえると、アクサのペット保険の保険料は見かけは安いものの、トータルで考えると安くはありません。特に11歳以降にプラン50に切り替わっても、保険料は他社よりも高い点を考慮すると割高感があります。この保険料の高さを肯定するだけのメリットがあるのか、続けてメリットを確認していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは入院・手術以外に通院による治療まで補償される点が挙げられます。他社の保険料が安い保険(アニコムのどうぶつ健保ぷち等)は通院治療は補償されません。さらに、この保険は1回の治療費に上限がありません。年間の上限金額はありますが、プラン50でも50万円のため簡単に上限には到達しません。

補償・サービス面でいえば、ペット保険賠償責任危険補償特約・24時間ペット健康相談サービスがあるのもメリットです。ペット保険賠償責任危険補償特約は付加できないペット保険が他社にはあります。24時間ペット健康相談サービスは同様のサービスが他社にはありますが、アニコムは平日10時~17時で、その他に相談できても相手は獣医師ではなくアドバイザーだったりします。アクサと同じなのはau損保ぐらいです。

アクサダイレクトのペット保険の24時間ペット健康相談サービスの内容(出典:アクサダイレクト公式HP「24時間ペット健康相談サービス」)

忘れがちですが、アクサは少額短期保険会社ではなく損害保険会社である点もメリットです。損害保険会社は「契約者保護機構」に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。その一方で少額短期保険会社は同機構に加入しておらず、経営破綻しても法務局に預けた供託金が契約者等で分配されるだけです。

ペット保険を販売している少額短期保険会社の中には、経営が芳しくない会社もあります。他社や大手に吸収・合併されるケース(アニマル倶楽部・ペッツファースト等)もありますが、ペッツベストのように破産するケースもあります。最終的にはアフラックペット少額短期保険が引き継ぐようですが、それまでに保険金の支払い遅延、各種手続きの遅れ等のトラブルがありました。

アクサの他にペット保険を販売している損害保険会社はアニコム損保・楽天損保・au損保等がありますが、その中でアクサが世界規模での業績はトップです。そのため少額短期保険会社にあるリスク・トラブルの可能性は、アクサが最も低いといえます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。ペットが0~5歳なら問題ありませんが、犬だと6歳で保険料は44910円、7歳で57850円と年間保険料が5万円を超えてきます。さらにプラン50に切り替わる直前の10歳時になると、保険料は100420円まで上昇します。さらに保険料には割増引制度という落とし穴もあります。仮に9歳で犬が病気になった場合には、10歳時の保険料は105441円と5000円上昇します。

補償面では1回の支払限度額が無いのは良いのですが、年間の上限金額70万円(プラン70の場合)が少し物足りない感があります。他社には年間上限額が120万円で1回の上限が60万円という保険もあり、治療費が高額になっても安心感があります。

さらに保険金請求は書類を郵送で提出という点も見逃せません。他社はインターネットやLINEで手続きが可能で、保険金請求書のプリントアウトといった手間はありません。また、窓口精算ではなく後日精算となるため自分で治療費全額を一旦支払う必要があります。

アクサダイレクトのペット保険の保険金請求の流れ(出典:アクサダイレクト公式HP「5つの特長」)

また、ペット保険賠償責任危険補償特約は自動車保険等で個人賠償責任特約があれば不要です。個人賠償責任特約ならペットだけではなく、自分が自転車で他人をケガさせた場合にも補償されます。24時間ペット健康相談サービスもアクサだけではなく、au損保や楽天損保でも同様に獣医師に24時間365日いつでも相談できます。かかりつけの動物病院があったり、ネットで自分で検索して病院に行くか判断するから不要という考え方もあります。

ちなみに、アクサのペット保険に加入しても自動車保険・バイク保険等が割引にはなりません。あいおいニッセイ同和損保のワンにゃんdeきゅんだと、自動車保険・火災保険の加入者はペット保険の保険料が割引されます。デメリットではないものの残念ではあります。

評判・苦情

アクサ損害保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の551億円から563億円になり2.1%増でした。その中でペット保険が含まれる「その他」は29.7億円で前年度からほぼ横ばいでした。他社では増加したケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良くはありません。現に価格.com経由の新規契約数ランキングでは13社中9位と下位に位置しています。

日本損害保険協会の苦情数のデータですが、アクサ損保全体に寄せられた苦情数は59302件(2022年度累計)でした。計測方法の変更かもしれませんが、前年度の36676件から激増しているのが気がかりです。苦情の中身は「契約・募集行為」が多く、契約時の説明不足・誤り、契約時の接客態度等についての不満がありそうです。

次にオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)ですが、アクサ損保は12社中7位と中位でした。ペットの種類別部門結果では小型犬は7位で猫は5位と大差ありませんが、中型犬では2位と躍進していました。小型犬ではなく中型犬なら少し保険料が安くなる等が評価された可能性が考えられます。

この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、加入手続き・保険プラン・保険料・保険金は総合順位と大差ありませんが、付帯サービスでは3位に上昇します。この保険で目立つのは24時間相談サービスぐらいのため、想像以上に土日祝日でも獣医師にペットの健康状態について相談できるのは大きいのかもしれません。

アクサダイレクトのオリコンペット保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「アクサ損害保険 ペット保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「診断書が必要で費用もかかる」「書類の提出が面倒」「保険を使うと保険料が上がる」等のネガティブな意見がありました。概ね補償内容・デメリット等で記載した内容ですが、保険金請求と保険料の割増にストレスが集中しているようです。

以上のデータから考えるとアクサ損保の評判は普通か少し悪そうで、ペット保険についての評判も同様といえます。多くの面では普通のようでサービス面での評判は良いようですが、その反面で保険料や保険金請求の評判は悪そうです。苦情が多めだった契約時の説明不足等にも注意が必要でしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アクサダイレクトのペット保険は総合的には微妙な保険です。メリットもあるにはありますが、デメリットの方が大きく保険料も高めだからです。評判面でも付帯サービス以外で良い面が見つからず、他社のペット保険を押しのけてまで契約する理由が見当たらないのが現状です。

この保険を検討している人は他社のペット保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さを追求したい人は、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等を検討した方が良いでしょう。保険料より補償内容・評判等を重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険が候補になります。