アイペット損保 うちの子ライトを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- アイペット損害保険
- 名称:
- うちの子ライト
- 補償割合:
- 50% or 70%
- 保険金請求:
- 窓口精算・書類請求
- オリコン:
- 5位 / 12社中
- 特徴:
- 通院から入院・手術まで幅広く補償
うちの子ライト(ペット手術費用保険)はアイペットが募集・販売しているペット保険です。正式名称から分かるようにペットの手術費用が補償される保険で、通院による治療は補償の対象外です。アイペットにはうちの子という保険もありますが、通院は補償外・窓口精算は不可等の違いがある分だけライトの方が保険料が安いです。
両者の違いは他にもあり、この保険には他社にはデメリットもあります。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療費の補償割合は90%で、通院を除く入院・手術費用で1回あたり50万円まで補償されます。入院・手術の支払限度回数は年間2回のため、年間100万円まで補償される計算です。ただし、入院費用は手術を含む入院が対象で、手術1回あたり10日までという制限があります。例えば内科診療+絶対安静であったり再生医療での入院治療は、手術をしていないため保障されません。
さらに最低支払対象治療費が3万円に設定されている点にも注意が必要です。入院・手術で3万円を超えない治療は補償されません。病院の窓口での請求額が3万円未満なら補償されないという意味で、請求する保険金が3万円未満(窓口での請求額は33333円)という意味ではありません。これは保険のコンセプトが高額な治療費に備えるため、ということなので止むを得ないかもしれません。
治療費の補償以外にペット賠償責任特約が付けられます。この特約はペットが他人に噛み付いたり、他人のペットをケガさせた場合等に500万円まで補償されます。ドッグラン参加中やペットのみでペットホテルに宿泊中、同居する親族への損害であったりと補償外となるケースもありますが、万が一を考えると心強い特約ではあります。
その他に、子犬のドッグトレーニングの無料体験と優待サービス、ペットの成長に合わせた病気や予防接種の情報提供、ペット関連の店で優待や特典があるクラブアイペット等のサービスがあります。クラブアイペットはペットグッズの店から、ペットと泊まれる宿・トリミングサロン・ペットホテル・しつけ教室まで多岐に渡る店舗があります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は犬だと品種によってⅠ~Ⅲクラス(Ⅰが安く、Ⅲが高い)に分かれ、年齢が上昇するほどに高くなります。うちの子とうちの子ライトでは微妙に分類が異なる点に注意が必要です。例えば、ウェルシュ・コーギー(ペンブローク)や柴犬は、うちの子では最安のAクラスなのにライトでは中間のⅡクラスになります。
その逆に、アイリッシュ・テリアやスタッフォードシャー・ブル・テリアは、うちの子では中間のBクラスなのにライトでは最安のⅠクラスになります。加齢によって保険料負担が重くなってきたためライトに変更しようと考えている人は、品種によっては思ったほど保険料が安くならないというケースもあります。
さらに保険料で特徴的なのは、12歳以降は保険料が同じで上昇しない点です。ペット保険は1年更新のため、加入後も保険料は毎年上昇します。人間の医療保険・がん保険は加入時から保険料が変わりませんが、ペット保険は保険料負担が年々増加します。その意味では12歳以降は同金額というのは良い点です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると安い部類に入ります。犬では最安値ではありませんが、常に最安値近辺にあります。0歳・5歳ではアニコムぷちより高く、8歳ではリトルファミリー少短よりも高いものの、常に2~3番手の位置につけています。一方で猫では0歳時点なら保険料が唯一1万円を切り最安値となっています。
犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料も46.9万円と非常に安価です。ただし、9歳以降の保険料の上昇幅が他社よりも大きめです。そのため12歳以降で保険料が一定でも、アニコムのぷちを始めペット&ファミリー・FPC等よりも合計保険料は数万円ほど高くなります。
以上を踏まえると、うちの子ライトの保険料は間違いなく安いです。ただし、その安さは最安値ではなく2~3番目に安いという点を留意すべきでしょう。さらに他社には通院を補償しながら保険料が安い保険(FPC等)もあり、その分だけ保険料が安いのは当然ともいえます。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が安い点が挙げられます。この保険より保険料が安い保険が他社にはありますが、この保険には12歳11ヶ月まで加入できるというメリットもあります。保険に加入するのを12歳ギリギリまで遅らせれば、トータルでの保険料は他社よりも安くなります。他社の保険に加入できるのは概ね8~10歳までのため、2~4年分の保険料負担が減ります。
保険料が安いわりに1回あたりの費用の上限が高いのもメリットです。同じアイペットのうちの子は手術の上限が10~15万円で、高額な治療費には不安感があります。この保険は70%補償ではなく90%補償のため、より治療費の自己負担が軽減されるのも見逃せません。治療費が55万円でも自己負担は5.5万円で済みます。
補償・サービス面でいえばペット迷子札・クラブアイペット等のサービスもメリットです。ペット迷子札はアイペットのURLとペットIDが記載されており、拾ってくれた人がURLにアクセスしてIDを打ち込めば連絡先が分かる仕組みです。住所・電話番号等を記載したペットに付けるより連絡が容易で情報漏えい等も少ないです。クラブアイペットは多岐に渡るジャンルの店があるため、ペットを飼っているなら何かしら得することでしょう。
ちなみにアイペット損保は損害保険会社である点もメリットです。損害保険会社は「契約者保護機構」に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。少額短期保険会社は同機構に加入しておらず、破産するケースも少なくありません。その点、アイペットは買収前は上場企業であり、現在は第一生命グループであるため安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは通院が補償されない点が挙げられます。この保険と似たような金額(トータルでは安い金額)で他社には通院まで補償する保険があります。さらに入院費用についても、この保険は手術に伴う入院という縛りがあります。あまり他社では見ない縛りで、治療方法次第では高額な治療費なのに補償されないという落とし穴になります。
さらに最低支払対象治療費というデメリットもあります。小額な治療費から補償されるペット保険が大半の中、3万円を超えないと保険金が受け取れないのはデメリットでしかありません。その分だけ1回あたりの上限額が50万円と高いともいえますが、他社にはリトルファミリー少短のように1回の上限が60万円・70万円でも最低支払対象治療費を設けていない保険があります。
アイペットの代名詞でもある保険証による窓口精算ができない、という大きなデメリットもあります。治療費は自分で全額支払った後に、診療明細書・保険金請求書を郵送して保険金を請求する必要があります。書類到着後の30日以内に受け取れますが、それでも不便なのは間違いないでしょう。
ちなみにペット保険賠償責任危険補償特約は、自動車保険・火災保険等で個人賠償責任特約があれば不要です。それもアイペットの場合は補償額が500万円と、他社のペット保険の1000万円よりも少ないです。
評判・苦情
アイペット損害保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の224億円から276億円になり23%増と好調でした。他社では横ばい・減少したケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。
ただし、うちの子ライトは価格.com経由の新規契約数ランキングでは13社中8位と中位です。うちの子は6位である点を考慮すると、契約数を伸ばしているのは主にうちの子ともいえます。
日本損害保険協会の苦情数のデータですが、アイペット損保全体に寄せられた苦情数は31887件(2022年度累計)でした。同じくペット保険専業のアニコムの1.2万件より明らかに多く不安感があります。苦情の中身は「契約・募集行為」「契約の管理」が各1万件と多く、契約時の説明不足や誤り、変更・解約手続き等について不満が多そうです。
次にオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)ですが、アイペット損保は12社中5位と中位でした。ペットの種類別部門結果では小型犬は6位と総合順位と差はありませんが、中型犬は1位・猫は3位と上位にあります。保険料の箇所で既述したように、意外な品種の中型犬の保険料が最安クラスになったり、猫の保険料が地味に安いのが影響した可能性があります。
この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、その中で最も評価されたのは保険金です。アイペットは窓口精算があるのが評価された格好ですが、うちの子ライトは書類請求となるため恩恵は受けられません。その他の項目は総合順位と大差なく評価は普通といったところです。
個別のクチコミでは「窓口精算対応の病院が家から少し遠い」「年齢が上昇すると保険料が高い」「上限額が低い」「コールセンターの対応が悪い」等のネガティブな意見がありました。うちの子ライトでは改善されている点が散見されるため、主にうちの子に対してストレスを感じている人が多いようです。
以上のデータから考えると、アイペット損保のペット保険の評判は普通そうです。ただ、良い評判の軸が窓口精算である点を差し引くと、うちの子ライトへの評判は良くはないともいえます。それは新規契約件数も明らかで、あくまでアイペットで主となるのはうちの子とも考えられます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、うちの子ライトは総合的にはイマイチな保険です。保険料は安いものの補償内容には落とし穴が散見されるからです。保険料が安いからといって評判が良いこともありません。強いて挙げればペットが高齢になってから加入するという荒業を使えるぐらいでしょうか。
この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さでいえばFPCやリトルファミリー少短のペット保険等が候補になります。補償内容・評判等も重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険を検討しても良いでしょう。