げんきナンバーわんスリムを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ペット&ファミリー損害保険
- 名称:
- げんきナンバーわんスリム
- 補償割合:
- 50% or 70%
- 保険金請求:
- 書類請求
- オリコン:
- 6位 / 12社中
- 特徴:
- 生涯あんしんを続けられるペット保険
げんきナンバーわんスリムはペット&ファミリー損保が募集・販売しているペット保険です。ペット&ファミリーは2006年から長らく少額短期保険業者でしたが、2019年に損害保険会社となりました。また、2008年から販売していたげんきナンバーわんは新規契約の募集は終了し、現在はげんきナンバーわんスリムが主力となっています。
かつてはオリコンの満足度ランキングでもトップ3に入っていましたが、他社の追随もあってか今は順位は後退しています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療費の70%が補償されるプラン70と、治療費の50%が補償されるプラン50があります。数年前までは80%プランもありましたが、現在は公式HP等から姿を消しています。プラン70もプラン50も通院・入院・手術が補償され、1日・1回あたりの限度額は無制限です。
両プランで差があるのは年間最大補償額で、プラン70が70万円なのに対してプラン50は50万円までとなります。プラン70は治療費が100万円だと保険金は最大補償額の70万円となるため、治療費が100万円を超えた分は補償されません。プラン50も同様に計算すると治療費が100万円を超えた分は補償されないことになります。
上限額が高い一方で免責金額が1日あたり3000円と設定されており、3000円以下の治療費は補償されません。免責金額は保険が適用される治療費でも発生します。仮に5日の入院と手術で治療費が10万円だった場合、まず免責金額の1.5万円(3000円×3)が引かれます。プラン70だと残りの8.5万円の70%である59500円が保険金として受け取れます。自己負担額は免責金額と合算すると40500円(免責15000円+自己負担25500円)となります。
治療費の補償の他にT&Dクラブオフ・ワンニャン相談室という特典・サービスがあります。T&Dクラブオフはペット用品の最大50%割引からペットと泊まれるホテルの優待割引、さらにペット無関係の施設(映画館・レジャー施設等)の割引もあります。
ワンニャン相談室はT&DクラブオフのHPの相談フォームから、24時間いつでも健康状態やしつけについて相談できるサービスです。相談するとアドバイザーから翌営業日に回答があり、自分の過去に相談した内容も閲覧できます。他の人が相談した内容もアーカイブされているため、それを参考にして対応することもできます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は犬はサイズによって分かれ、年齢が上昇するほどに高くなります。サイズは小型犬(~7.2キロ)・中型犬(~19.8キロ)・大型犬(~39.6キロ)・特大犬(39.6キロ超)の4つに分類されます。保険料はシーズー・チワワ等の小型犬が最も安く、マスティフ・セントバーナード等の特大犬が最も高くなります。サイズにより最大2~4万円程度の差があります。犬ではなく猫だとサイズは無関係で年齢だけで保険料が決まります。
この保険の保険料で特徴的なのは、10歳以降は保険料が同じで上昇しない点です。ペット保険は1年更新のため、加入後も保険料は毎年上昇します。他社では10~14歳で2~3万円は上昇することが多く、保険料が4~5万円も上昇する保険もあります。その意味では10歳以降は同金額というのはポイントといえます。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。
この保険の保険料は他社と比較すると安い部類に入ります。最安値圏の保険は通院が補償外のため、実質は最安値に近い保険といえます。とはいえ細かく見ると、犬で5歳・8歳では0歳時点ではFPCやリトルファミリー少短に逆転されているため、どの年齢層でも最安値とはいえません。犬ではなく猫の保険料でも同様です。
犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の保険料でも、合計44.4万円と非常に安いです。同じく保険料が安いFPC・リトルファミリー少短と、ほぼほぼ互角の金額です。FPC・リトルファミリー少短は共には12歳以降は保険料が固定されます。3社の固定後の保険料の差が少額なため、ペットが14歳よりも長生きして20歳になっても差額は少額なままです。
以上を踏まえると、げんきナンバーわんスリムの保険料は間違いなく安いです。最安値とはいきませんが、他社では小型犬でも保険料が最安クラスにならないケースもあるため、犬の品種によっては最安値となる可能性もあります。合計金額でいっても0~14歳までの14年間と考えると、最安値の保険との2万円程度の差は無視できるでしょう。これだけ保険料が安いと気になるのがデメリットですが、まずは続けてメリットを確認していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは安い保険料で通院補償がある点が挙げられます。アニコム等の同業他社の保険金支払データをみると、概ね8割程度は通院治療による治療費で保険金が支払われていました。そのため通院まで補償されるのは間違いなく役に立ちます。
1日あたりの限度額と支払回数の制限が無いのもメリットです。他社では入院は1日2万円、手術は1回あたり14万円までとする保険があります。この条件で入院2日+手術で治療費が30万円だと受け取れるのは18万円で、70%補償で21万円受け取れるはずが3万円の自己負担増となります。この保険なら上限額が無いため、治療費が30万円なら21万円(免責額を加味すると20.5万円)が受け取れます。
高額治療になるかは神のみぞ知りますが、決して確率は低くはありません。INUNAVIを運営する(株)PLAN-Bの愛犬の治療費に関する調査(調査対象300人)では、一番高額だった治療費で最多の回答は10~20万円でした。さらに20万円以上の人も300人中48人いて、回答者の16%を占めています。おおよそ6人に1人と考えると確率は低くはないでしょう。
補償・サービス面でいえばT&Dクラブオフ・ワンニャン相談室もメリットです。T&Dクラブオフはペット関連以外の割引もあり、ペットと無関係の支出でも割引が受けられます。さらにペット商品のモニターキャンペーンやアンケートでのプレゼント等もあります。ワンニャン相談室は過去の相談内容が閲覧でき、実際に相談する以前に悩みが解決する可能性があります。
ちなみにペット&ファミリーは損害保険会社である点もメリットです。損害保険会社は「契約者保護機構」に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。少額短期保険会社は同機構に加入しておらず、経営破綻するケースも少なくありません。経営破綻すると保険金の受け取りが遅れたり、最悪の場合は保険金が受け取れない可能性があります。
その点、ペット&ファミリーは損害保険会社であり、かつT&Dホールディングスの子会社です。T&Dホールディングスは太陽生命・大同生命等で構成され東証にも上場しています。規模が大きく経営の透明性もあるため突然の経営破綻の可能性は低く安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは加入できるのが7歳11ヶ月までという点が挙げられます。他社の多くのペット保険が8歳11ヶ月までとしており、いくつかの保険は12歳11ヶ月まで加入できます。7歳までだと年齢を理由に加入できなかったり、高齢になって病気になりやすくなってから加入するのは無理です。
そして、この保険の最大のデメリットが免責金額がある点でしょう。3000円以下の治療費は補償されないのに加えて、入院日数次第で保険金の額が相当に減るのが問題です。仮に10日の入院と手術で治療費が10万円の場合、免責金額は3万円(3000円×10日)です。プラン70だと免責額を差し引いた7万円の70%となるため、受け取れる保険金は4.9万円です。治療費が10万円なのに受け取れるのは4.9万円だと、70%補償どころか50%補償にも足りません。
保険金請求が書類郵送である点も見逃せません。マイページや電話で記入する書類を送ってもらう他、マイページから自分で書類をプリントアウトすることも可能です。しかし、結局は書類を記入してポストに投函する手間があり、誤字脱字により書類を再作成するという可能性もあります。かつてのげんきナンバーわんでは、僅か40件程度の動物病院でしたが窓口精算が可能でした。
ちなみにワンニャン相談室は基本的にはメリットですが、他社の類似サービスより明らかに見劣りします。相談しても回答が翌営業日と遅く、アクサ等なら24時間365日いつでも電話で相談できタイムリーに回答が得られ、緊急性のある相談(健康状態など)でも使えます。さらに相談相手も獣医師ではなくアドバイザーであり、相談への回答に信頼性がいまひとつ欠けます。
評判・苦情
ペット&ファミリー損害保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の74億円から86億円になり15%増と好調でした。他社では横ばい・微増のケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。価格.com経由の新規契約数ランキングでも13社中5位と悪くない位置にあります。
日本損害保険協会の苦情数のデータですが、ペット&ファミリー損保全体に寄せられた苦情数は1213件(2022年度累計)でした。アニコム・アイペット等とは規模が違うため数では比較できません。苦情の中身は「契約の管理」が半数の672件を占めており、変更・更新・解約手続き等について不満が多いのが分かります。
次にオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)ですが、ペット&ファミリー損保は12社中6位と中位でした。ペットの種類別部門結果では小型犬は8位でしたが、中型犬では4位に浮上し、猫では2位まで上昇していました。中型犬・猫でも保険料が安い等々が評価された可能性があります。
この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、その中で最も評価されたのは保険プランです。細かい1回あたり限度額や回数制限がなく、年間限度額があるだけのシンプルさが評価されたのでしょう。その他の項目は総合順位と大差なく5位か6位で評価は普通といったところです。
個別のクチコミでは「保険金が受け取れるのが遅い」「保険金請求の書類が面倒」「保険料が高い」「年齢を重ねると審査が厳しくなる感じ」等のネガティブな意見がありました。概ねデメリット等で既述した内容で、保険料についても相対的な高さではなく一般的な感覚での話しでしょう。それよりは保険金の遅さや審査の厳しさは覚えておいても良いかもしれません。
以上のデータから考えると、ペット&ファミリー損保のペット保険の評判は普通そうです。どの項目でも良くも悪くもなく無難といえそうです。とはいえ苦情面では各種手続きの煩雑さが見て取れ、保険金請求でも書類についての不満が見え隠れしています。これらの点については総合的には普通でも注意が必要かもしれません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、げんきナンバーわんスリムは総合的には悪くない保険です。保険料は安めで補償内容も揃っており、評判面でも悪くはないからです。とはいえデメリットもあるにはあるため、そこを許容して保険料の安さをとれるかが決め手となるでしょう。
この保険の他に保険料の安さでいえば、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等があります。通院補償ナシならアニコムのぷちプラン・アイペットのライトプランがあります。補償内容・評判等も重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険が検討候補になります。