サイクルライド保険を比較・評価

ZuttoRide少額短期保険(ズットライド少額短期保険)
オススメ度:
2
保険会社:
ZuttoRide少額短期保険
名称:
サイクルライド保険
補償内容:
主に自転車事故
補償期間:
1年間
個人賠償:
1000万~3億円
特徴:
3つの自転車保険をご用意

サイクルライド保険はZuttoRide少額短期保険(ズットライド少額短期保険)が募集・販売している自転車保険です。ミニ・スタンダード・シニアの3つのプランがありますが、スタンダード・シニアプランは三井住友海上と協力して補償を提供しています。

また、この保険の他にZuttoRide少短には「ずっと自転車盗難車両保険」もあります。そちらは自転車の盗難に加えて、自転車が事故で全壊・半壊した場合に保険金が受け取れます。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自転車保険と比較していきます。

補償内容・特約

サイクルライド保険にはミニ・スタンダード・シニアの3つのプランがあります。プランによって補償内容と各保険金額が微妙に異なりますが、どのプランにも自転車ロードサービスが付けられます。ミニプランは自転車事故で死亡・入院すると保険金が受け取れ、ケガで通院すると保険金が受け取れる「通院あり」も選べます。さらに自転車事故で自分が加害者となり損害賠償を起こされた場合に、賠償額が最高1000万円まで日常生活賠償保険金として受け取れます。

サイクルライド保険のミニプランの補償内容(出典:ZuutoRideセーフティライド会公式HP「自転車保険のサイクルライド保険」)

スタンダードプランだと自転車事故で死亡・入院・通院(選択制)に加えて、傷害死亡・後遺傷害となった場合にも保険金が受け取れます。一般的に死亡だと事故から24時間以内に死亡したケースが該当しますが、傷害死亡なら事故から意識不明の状態が3ヵ月継続して死亡したケースでも保険金が受け取れます。

さらに加害者となった場合の賠償責任の補償が、自転車事故だけではなく日常生活全般にまで補償範囲が広がっています。これにより自転車事故だけではなく、子供が他人の車を傷つけたりお店の商品を壊した場合、飼い犬が他人に噛み付いた場合なども補償の対象となります。補償金額も1000万円から一気に3億円まで増額されています。

サイクルライド保険のスタンダードプランの補償内容(出典:ZuutoRideセーフティライド会公式HP「自転車保険のサイクルライド保険」)

シニアプランはスタンダードプランと補償内容は似通っていますが、年齢制限とケガの補償が異なります。シニアプランに加入できるのは70歳以上の人のみとなっています。ケガの補償は自転車事故だけではなく交通事故全般が補償されるため、自分が歩行中に交通事故にあても補償されます。さらに通院補償は選択制ではなく自動付帯されています。

ずっと自転車盗難車両保険は自転車の損壊・盗難を補償します。補償の対象となるのは購入してから90日以内の自転車で、購入額が1万円以上かつ995万円以下の自転車となります。補償プランは盗難のみ補償されるプランから、自転車の損壊の度合いによって補償範囲が異なるプランがあります。

ずっと自転車盗難車両保険の組み合わせプラン一覧(出典:ZuutoRide少額短期保険公式HP「ずっと自転車盗難車両保険」)

盗難+全損プランだと自転車が全損した場合のみ補償されますが、盗難+全損+分損スリムなら自転車の60~80%が損壊した場合でも補償されます。分損ミドルなら自転車の40~80%が損壊した場合でも補償され、分損ワイドなら自転車の20~80%が損壊した場合でも補償されます。

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保険料を他社と比較

サイクルライド保険の保険料はプラン・本人型か家族型か・通院補償の有無によって保険料が異なります。ミニプラン(通院補償なし)の保険料が最も安く、月額で165円(一時払なら1899円)となっています。スタンダードプランの保険料が中間で、シニアプランの保険料が最も高いです。さらに自転車ロードサービスを付けると、保険料は月額185円が上乗せされます。

サイクルライド保険の各プランの保険料一覧表(出典:ZuutoRideセーフティライド会公式HP「自転車保険のサイクルライド保険」)

ずっと自転車盗難車両保険は自転車購入金額と補償プランによって保険料が異なります。購入額を10万円にして盗難補償だけのプランにすると保険料は月額253円です。同じく盗難を補償する他社の自転車保険「ちゃりぽ」は、同じ条件で保険料は340円のため、ずっと自転車盗難車両保険の方が保険料は安いと分かります。

盗難だけではなく全損も補償に加えると保険料は月額321円に上昇しますが、それでもちゃりぽより保険料は安いです。さらに分損スリムにすると保険料は月額40~50円ほど高くなり、分損ミドル・分損ワイドと補償範囲を広げると段階的に保険料が月額40~50円ほど上昇します。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自転車保険と一覧表で比較しました。各社の最も安いコースをエコノミーコース、中間のコースをスタンダードコース、最も高いコースをプレミアムコースとして統一して保険料を記載しました。また、保険料が一時払いの保険は月額換算し、参考までに家族型のスタンダードコースの保険料も比較しました。

自転車保険の保険料の比較一覧表(au損保・JCA・PayPayほけん・コープ団体保険・ジャパン少額短期保険・セブンイレブン自転車保険・ソフトバンク自転車あんしん保険・ドコモサイクル保険・楽天損保・共栄火災・三井住友海上・損保ジャパン・東京海上・日新火災・あんしん少短・ZuttoRide少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

サイクルライド保険の保険料を他社と比較すると、どのプランも平均値より低く保険料は最安値圏にあります。この保険よりも保険料が安い保険もありますが、その差は十円程度のため保険料以外でのメリットがあれば十分に優先度で逆転できます。保険料以外でメリットがあるのか続いて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは自転車ロードサービスが付けられる点が挙げられます。自転車が事故や故障で走行できなくなった場合に、スタッフが現場に駆けつけて自転車を修理店や自宅まで無料搬送してくれます。類似のサービスがあるのはau損保ぐらいで、損保ジャパンだと5万円が受け取れるだけで自力で業者等を探す必要があります。自転車で遠出する人はロードサービスが付けられるだけでメリットといえます。

ただ、自転車ロードサービスをオプションで付けるには月額185円の保険料が追加で必要となります。そうすると前述した最安値圏の保険料ではなくなり、平均値に近い平凡な保険料となってしまいます。au損保だと自転車で遠出をしない人にもロードサービスが付きますが、この保険ならオプションを付けない選択肢があります。オプションで選択できるという意味でもメリットかもしれません。

また、シニアプランがあるのも人によってはメリットでしょう。他社の自転車保険は加入できるのが69歳以下に限定しているケースが多いのですが、この保険ならシニアプランで加入できます。それもシニアプランだからといって補償が薄くはなっておらず、ケガで通院しても保険金が受け取れます。

サイクルライド保険のシニアプランの補償内容(出典:ZuutoRideセーフティライド会公式HP「自転車保険のサイクルライド保険」)

ちなみに完全に別保険という扱いですが、ずっと自転車盗難車両保険があるのもメリットです。前述したように保険料は他社よりも安めで、かつ盗難だけではなく全損・分損といった破損も補償されます。分損の程度も自分で選択できるため、無理のない保険料で自分に適した補償プランを選べるのもポイントです。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずはミニプラン・スタンダードプランのケガの補償は自転車事故に限られている点が挙げられます。自転車保険なら当然ともいえますが、他社では自転車事故だけではなく交通事故全般を補償する保険があります。交通事故全般が補償の対象なら自分が歩行中に事故にあってもケガが補償されます。

ミニプランについては、個人賠償保険金が1000万円と少額な点も確実にデメリットです。自転車事故の高額賠償事例は1億円手前の9000万円台の賠償となった事例もあるため、補償金額が1000万円だと不足感は否めません。それも補償されるのはケガと同様に自転車事故に限られ、日常生活(子供が他人の車を傷つけた等)での事例では補償されません。

サイクルライド保険のミニプランの補償内容(出典:ZuutoRideセーフティライド会公式HP「自転車保険のサイクルライド保険」)

さらにミニプラン・シニアプランには家族型が無い点も見逃せません。家族で加入するにはスタンダードプランにする必要があり、保険料はミニプランより高くなります。70歳以上の人はスタンダードプランに加入できないため、シニアプランで夫婦2人が別々に加入する必要があり、保険料は単純に2倍になってしまいます。また、どのプランでも他社にはある弁護士費用・法律相談費用等の補償が無いのも気がかりです。

ちなみにZuttoRide少短は少額短期保険業者のため、保険会社と異なり契約者保護機構に加入していません。そのため経営破綻すると供託金を契約者等で分配するだけで、経営破綻すると保険金が受け取れない可能性もあります。長期での加入を検討している人は、経営破綻の兆候が無いか注視する必要があります。

評判・苦情・口コミ

ZuttoRide少額短期保険の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は3億円で、前年の2.9億円から微増でした。契約数・業績からすると評判は悪くはなさそうですが、保険市場や価格.comの自転車保険の人気ランキングではランキング外でした。そのため一定の需要はありそうですが、人気が高いとはいえないでしょう。

保険市場の自転車保険人気ランキング(出典:保険市場公式HP「2025年9月版 自転車保険おすすめ人気ランキング」)

また、経営破綻の不安が無いか注視する必要があると既述しましたが、現在のところ不安はありません。他社には直近の年度で経常利益・純利益がマイナス(赤字)に陥っている少額短期保険業者がいますが、ZuttoRide少短は2022年度まで振り返っても経常利益・純利益はプラスです。ソルベンシー・マージン比率も1323%にまで上昇しているため、今のところ少額短期保険業者にありがちな経営破綻のリスクは見えません。

その他にオリコンの自転車保険 総合ランキング2025等を参考にしたいところですが、ZuttoRide少短とサイクルライド保険はランクインしていませんでした。調査対象企業にも入っていないたため、サンプル数が少なかったか知名度が低かった可能性があります。

2025年の自転車保険の顧客満足度ランキング(出典:オリコン公式HP「【2025年】自転車保険 オリコン顧客満足度ランキング|おすすめ・口コミ比較」)

以上のデータから考えると、ZuttoRide少短の評判もサイクルライド保険の評判も良くも悪くもないでしょう。契約数・業績が横ばいのため評判は悪くはないともいえますが、保険比較サイトの人気ランキングや顧客満足度ランキングでランクインしていないため評判が良いともいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、サイクルライド保険は微妙な保険です。保険料を重視する人は優先すべき保険ではありますが、デメリット・注意点も相応にあります。また、ロードサービスが欲しい人も検討すべき保険ではありますが、その場合にはau損保とサービス面で比較した方が賢明でしょう。

他社の保険も検討したい人は、保険料の安さでいえば楽天損保、三井住友海上の自転車保険もあります。自転車事故よりは自転車の盗難等が気がかりなら、SBI日本少短の自転車保険等が検討候補になります。