損保ジャパン UGOKUを比較・評価

- オススメ度:
- 保険会社:
- 損保ジャパン
- 名称:
- UGOKU
- 補償内容:
- 主に自転車事故
- 補償期間:
- 1年間
- 個人賠償:
- 1億円
- 特徴:
- 自転車事故に備えるなら、断然!
「UGOKU(移動の保険)」は損保ジャパンが2021年6月から募集・販売している保険です。マイカーを手放した人の移動のリスクを補償する業界初の保険です。自動車の運転中を除いて、自転車・電動キックボード・車椅子・ベビーカー等に関する移動中の事故が補償されます。
それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自転車保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は自分が自動車を運転中以外の交通事故が補償されます。事故で死亡・後遺傷害・ケガをすると、最高5000万円の人身傷害交通乗用具事故保険金が受け取れます。事故でケガをした場合には治療費・休業損害・精神的損害等を勘案して保険金額が決まり、入院・通院日数が5日以上になった場合には5万円の入通院定額給付金が受け取れます。

さらに事故で自転車等が走行できなくなった場合の補償もあります。自転車等の運搬費用として5万円が受け取れ、事故現場から自宅ないしは目的地までの移動費用として2万円、宿泊せざるを得なかった場合の宿泊費用として1万円も受け取れます。事故で相手方と交渉するために弁護士を雇った場合には、弁護士費用として300万円を限度に補償されます。
その一方で自分が被害者ではなく加害者となる事故を起こして、相手方から損害賠償をされた場合には賠償額が1億円まで補償されます。その際には示談代行サービスも利用でき、保険加入者に代わって損保ジャパンが示談交渉をしてくれます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は家族全員が補償されるタイプだと月額1980円で、保険に加入した本人だけのタイプだと月額1680円となっています。2021年の販売開始時には保険料は月額980円だったため、ここ数年で大幅に保険料が引き上げられたことになります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自転車保険と一覧表で比較しました。各社の最も安いコースをエコノミーコース、中間のコースをスタンダードコース、最も高いコースをプレミアムコースとして統一して保険料を記載しました。また、保険料が一時払いの保険は月額換算し、参考までに家族型のスタンダードコースの保険料も比較しました。

この保険の保険料を他社の家族型と比較すると、保険料は一見しただけでも他社よりも高いのが分かります。個人型でも明らかに他社よりも高いため、保険料面でメリットがあるとはいえません。保険料以外でメリットがあるのか、続いてメリットを記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは死亡・後遺障害以外のケガでも高額の保険金が受け取れる点が挙げられます。他社の保険では死亡・高度障害以外のケガは入院・通院日数に応じて保険金が受け取れるだけです。この保険では高度ではない後遺障害に加えて、傷害による損害(治療費・休業損害・精神的損害)も加味された保険金が受け取れます。
例えば、事故のケガにより入院日数が長引いて働けない期間も長引いた場合、休業損害として保険金が受け取れます。また、事故によってトラウマ・うつ病等が発生したりすれば、精神的損害として保険金が受け取れます。これらは他社の保険では補償されません。
さらにロードアシスタンス・宿泊と移動の補償があるのもメリットです。ロードアシスタンスは損保ジャパン以外ではau損保にあるだけのため、付けられるだけでメリットといえます。さらに事故後に帰宅するための宿泊費用・移動費用まで補償されるのは損保ジャパンだけです。自転車で遠方まで出かける人にとっては、移動・宿泊費の補償は非常に心強いでしょう。

ちなみにインターネットで契約が完結するのもメリットです。他社でも同様にネット完結する自転車保険がありますが、UGOKUはスマホで最短3分で契約手続きが完了し、申込日から即日で補償を開始できます。これにより「学校に自転車保険の証明を提出する必要があったが即座に加入できて良かった」といった利用者の声があります。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは補償が手厚いのか否か分かりにくいという点が挙げられます。事故で死亡・後遺障害になると5000万円が受け取れますが、その他の傷害による損害(治療費・休業損害・精神的損害)については保険金が5000万円以下となる可能性があります。事故の程度により保険金が数千万円ではなく数百万、数十万円となる可能性もあります。
さらに自動車以外の交通乗用具での事故は、賠償義務者(加害者)が存在しないか不明の場合には、休業損害・精神的損害は補償されません。例えば自転車同士の事故で相手方の自転車が走り去ってしまい相手が不明となった場合、事故で仕事を休んだとしても休業損害の補償はされないことになります。また、補償が手厚いと考えるにしても保険料が他社よりも明らかに高いのもマイナスポイントです。

補償面では入通院保険金は入通院日数が5日以上になった場合のみ受け取れるのもデメリットです。他社では入院1日ごと、通院1日ごとに保険金が受け取れる保険があります。さらに入院・通院に加えて手術をすると手術保険金が受け取れる保険もあります。
ロードアシスタンスにしてもau損保とは異なり、自転車等の運搬費用として5万円が受け取れるだけです。au損保のように自宅・目的地まで運搬してくれたり、故障したら修理してくれるわけではありません。あくまで自分で運搬の手配・修理等の手配をする必要があり、サービス面では物足りなさがあります。
評判・苦情・口コミ
損保ジャパンの2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の2.17兆円から2.22兆円になり2%増と堅調でした。その中で自転車保険を含む傷害保険の正味収入保険料は1535億円で前年度から横ばいでした。
ただ、UGOKUは2021年6月の販売開始から半年で申込件数が1万件を突破しており、UGOKU自体は契約数からすると評判は悪くありません。とはいえ契約数でいうと、保険市場や価格.comの自転車保険ランキングではUGOKUはランクインしていませんでした。販売開始直後ほどの人気は現在は無い可能性が高いです。

また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、損保ジャパン全体に寄せられた苦情数は37598件(2024年度累計)でした。苦情の中身は「保険金支払」が最多で保険金の支払い遅れの苦情が多かったようです。次いで「契約の管理等」の苦情が多く、契約内容の変更手続きや解約手続き等への苦情が多かったようです。苦情数自体が他社の大手損保より多めなのも気がかりです。
さらにオリコンの自転車保険 総合ランキング2025では、損保ジャパンは9社中5位で東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイよりも下でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・事故対応・調査認定結果・受取額と支払いスピードです。項目別のランキングでは、いずれの項目も5位と順位は振るいませんでした。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「メールでやりとりができない」「担当者とのやり取りに時間を要した」「中高年はスマホより郵送の方が安心」等の意見がありました。自動車を手放した人は都市圏の人以外に免許を返納した人も相当数あるため、中高年にも利便性の高い手続きが欲しいところです。
以上のデータから考えると、損保ジャパンの評判もUGOKUの評判も良くなさそうです。損保ジャパンの評判については契約数・業績は伸びていますが、同じ大手の保険会社よりも苦情数が多めで、顧客満足度も低めのため評判は少し悪いとも考えられます。UGOKUの評判については販売開始当初よりは契約数が失速している可能性が高く、現在の評判は良いとはいえなそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、UGOKUはイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、それよりはデメリットや注意点の方が目立っており評判面も気がかりです。他社の総合的にバランスが良い保険や保険料が安い保険を検討した方が良いでしょう。
他社の保険も検討してみたい人は、保険料の安さでいえばZuttoRide少短、JCAの自転車保険を検討した方が良いでしょう。自転車事故よりは自転車の盗難等が気がかりならSBI日本少短の自転車保険、自転車ロードサービスが欲しい人はau損保等が検討候補になります。