トータルアシストからだの保険を比較・評価

東京海上日動火災 トータルアシストからだの保険(サイクル)ネットde保険@さいくる
オススメ度:
2
保険会社:
東京海上日動火災保険
名称:
トータルアシストからだの保険
補償内容:
主に自転車事故
補償期間:
1年間
個人賠償:
1億円
特徴:
自転車事故への備えは大丈夫ですか

トータルアシストからだの保険(サイクル)は、東京海上が2025年10月から募集・販売している自転車保険です。2025年9月まではeサイクル保険という自転車保険を販売していましたが、それをリニューアルして補償内容・保険料が変更されています。

それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自転車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険には「お手軽プラン」「基本プラン」「充実プラン」の3つがありますが、基本的な補償内容は同じで各保険金額が異なるだけです。どのコースでも自転車事故を含む交通事故で死亡・後遺傷害になると、死亡・後遺傷害保険金が受け取れます。お手軽プランなら保険金額は100万円ですが、基本プランなら300万円、充実プランなら500万円に増額されます。

トータルアシストからだの保険(サイクル)の補償内容(出典:東京海上日動公式HP「からだの保険」)

さらに事故でケガをして入院すると入院保険金、手術をすると手術保険金が受け取れます。入院保険金は入院1日あたりプランにより1500~3000円が受け取れます。どのコースでも入院中に手術をすると入院保険金の10倍、外来での手術だと入院保険金の5倍の手術保険金が受け取れます。ケガで通院すると通院保険金が受け取れますが、どのプランでも保険金額は1日あたり1000円となっています。

さらに自転車事故等で自分が加害者となり損害賠償を起こされた場合に、どのコースでも個人賠償責任補償保険金として1億円まで補償されます。その際には示談代行サービスも利用でき、保険加入者に代わって東京海上が示談交渉をしてくれます。

▲ページの一番上に戻る

保険料を他社と比較

この保険の保険料は選択したプラン(お手軽・基本・充実)と個人賠償責任補償の有無によって異なります。保険料が最も安いお手軽プランの保険料は月額360円で、一括払いなら年間4120円で200円ほど安くなります。基本プランだと保険料は月額440円で一括払いなら年間5010円、充実プランだと保険料は月額520円で一括払いなら年間6010円となっています。

個人賠償責任補償を外すと、各プラン共通で保険料は月額200円ほど安くなります。一括払いだと一段と安くなり年間2500円ほど安くなります。お手軽プランで個人賠償責任補償を外せば保険料は月額140円、充実プランでも保険料は月額300円まで下がります。

トータルアシストからだの保険(サイクル)の補償内容(出典:東京海上日動公式HP「からだの保険」)

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自転車保険と一覧表で比較しました。各社の最も安いコースをエコノミーコース、中間のコースをスタンダードコース、最も高いコースをプレミアムコースとして統一して保険料を記載しました。また、保険料が一時払いの保険は月額換算し、参考までに家族型のスタンダードコースの保険料も比較しました。

自転車保険の保険料の比較一覧表(au損保・JCA・PayPayほけん・コープ団体保険・ジャパン少額短期保険・セブンイレブン自転車保険・ソフトバンク自転車あんしん保険・ドコモサイクル保険・楽天損保・共栄火災・三井住友海上・損保ジャパン・東京海上・日新火災・あんしん少短・ZuttoRide少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、保険料は平均値に近いため他社よりも高くも安くもありません。ただ、個人賠償責任補償を外せば保険料は最安値圏に近づけることができます。とはいえ個人賠償責任補償は自転車保険の要ともいえるため、外すかは慎重な判断が必要となります。保険料以外でメリットがあるのか、続いてメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは個人賠償責任補償が外せる点が挙げられます。他社は自動的に付帯していますが、この保険なら補償を外して保険料を引き下げられます。個人賠償責任補償は自転車事故で加害者となった場合の補償ですが、他の保険にも付いていることが多い補償でもあります。

個人賠償責任補償は自動車保険・火災保険に付いていることが多く、それらと補償が重複しているなら自転車保険には付けなくても問題ありません。かつ、それらの保険の方が補償額が大きければ余計に自転車保険には不要といえます。さらにクレジットカードに自動付帯されているケースもあるため、自分のクレジットカードを確認してみても良いでしょう。

その上で補償内容を考えると、補償内容のわりに保険料は非常に安いといえます。他社の保険料が安い自転車保険は個人賠償責任補償があるためか、死亡保険金のみ、もしくは死亡保険金+入院保険金というケースが多いです。さらに保険金額も少額できます。この保険ならお手軽プランでも死亡保険金・入院保険金に加えて、手術保険金・通院保険金も付いてきます。

トータルアシストからだの保険(サイクル)の補償内容(出典:東京海上日動公式HP「からだの保険」)

ちなみに保険加入者は東京海上のメディカルアシストとデイリーサポートが無料で利用できます。無料相談は珍しいサービスではありませんが、相談相手が専門家のため信頼度が段違いです。メディカルアシストでは救急科の専門医か看護師が相談に答えてくれます。デイリーサポートでは法律相談は弁護士、公的年金等の社会保険については社会保険労務士が相談に答えてくれます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険料が安くない点が挙げられます。前述したように個人賠償責任補償を外せば保険料は最安値圏になりますが、そうでなければ平凡な保険料です。保険料面でのメリットはあるようで、人によっては無いといえます。

また、なぜか公式HPには家族型が存在していないのも気がかりです。個人賠償責任補償は個人だけではなく家族にも及びますが、死亡・ケガの補償は保険加入者のみに適用されます。家族全員がケガの補償を受けるには個別に加入するしかない可能性があります。

補償面ではプランに関係なく通院保険金が1日あたり一律1000円、という点もデメリットです。他社では数千円は受け取れるプランがありますが、この保険は1000円と交通費になるか否かというレベルで、意味があるのか首をかしげる金額です。個人賠償責任補償が一律1億円という点も見逃せません。現在まで自転車事故の高額賠償事例は1億円以下(9000万円台)ですが、今後は上昇する可能性もあるため若干不安のある金額です。

さらに他社にはある弁護士費用・法律相談費用・自転車ロードサービス等が無い点がデメリットです。事故時の弁護士費用は他社の多くの自転車保険で付けられます。自転車ロードサービスもau損保・損保ジャパンにはあり、自転車で遠方まで出かける人には欠かせない補償でしょう。

評判・苦情・口コミ

東京海上日動の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の2.41兆円から2.51兆円になり4%増と堅調でした。自転車保険を含む傷害保険の正味収入保険料も1995億円で前年度から2%増と堅調なため、契約数からすると評判は悪くありません。

さらに契約数でいうと保険市場の「2025年9月版 自転車保険人気ランキング(申込数)」では、リニューアル前のeサイクル保険が1位でした。価格.comの「2025年10月更新 自転車保険の人気ランキング(契約数)」では、トータルアシストからだの保険(サイクル)の価格.com専用プランが1位になっており、非常に人気が高いのが分かります。

価格コムの自転車保険人気ランキング(出典:価格.com公式HP「2025年10月更新 自転車保険人気ランキング」)

価格.com専用プランの場合、全てのプランの個人賠償責任補償が1億円ではなく無制限となっています。その反面、お手軽プランは入院保険金・通院保険金が無くなり、基本プランでも通院保険金が無くなっています。保険料は通常よりも補償内容が薄くなった分だけ、月額で数十円ほど安くなっています。

また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、東京海上全体に寄せられた苦情数は35845件(2024年度累計)でした。苦情の中身は「保険金」が最多で保険金の遅れ・支払いの有無等の苦情が多かったようです。次いで「契約の管理・保全」が多く、住所変更や解約手続きといった手続きへの苦情が多かったようです。

さらにオリコンの自転車保険 総合ランキング2025では、東京海上は9社中2位とトップ3に入っていました。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・事故対応・調査認定結果・受取額と支払いスピードです。項目別のランキングでは、全ての項目でトップ3に入っており優秀です。特に事故対応・受取額と支払いスピードは1位と最も評価が高かったです。

2025年の自転車保険の顧客満足度ランキング(出典:オリコン公式HP「【2025年】自転車保険 オリコン顧客満足度ランキング|おすすめ・口コミ比較」)

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「補償内容が薄い」「保険料に割高感がある」「補償内容が分かりにくい」「手続きが面倒」等の意見がありました。とはいえ総合順位で2位のため、個別の意見はあれど総合的に見れば顧客満足度が高いのは間違いありません。

以上のデータから考えると、東京海上の評判もトータルアシストからだの保険(サイクル)の評判も良さそうです。東京海上の評判については契約数が伸びており、同じ大手の保険会社と比べて苦情数も多くはないため評判は悪くはないでしょう。トータルアシストからだの保険(サイクル)の評判については、保険比較サイトでの申し込み数がトップで、オリコンの顧客満足度でも上位のため評判は良さそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、トータルアシストからだの保険(サイクル)は微妙な保険です。主なメリットは個人賠償責任補償を削った場合の保険料の安さ、もしくは専用プランによる保険料の安さで、それ以外の補償面では特筆すべき点はありません。保険料重視ではないなら他社の保険も検討した方が良いでしょう。

他社の保険も検討したい人は、保険料の安さでいえばZuttoRide少短、JCAの自転車保険を検討した方が良いでしょう。自転車事故よりは自転車の盗難等が気がかりならSBI日本少短の自転車保険、自転車ロードサービスが欲しい人はau損保等が検討候補になります。