サイクル安心保険を比較・評価

JTSA 損保ジャパン サイクル安心保険
オススメ度:
3
保険会社:
JTSA(損保ジャパン)
名称:
サイクル安心保険
補償内容:
主に自転車事故
補償期間:
1年間
個人賠償:
1~3億円
特徴:
1ヶ月あたり150円からはじめる安心

サイクル安心保険は財団法人全日本交通安全協会(Japan Traffic Safety Association 略称:JTSA)が、2017年3月から会員向けに販売している保険です。JTSAは昭和25年に交通事故の防止や交通安全運動のために設立されました。この保険に加入するにはJTSAの会員になる必要があり、年会費は年間30円(保険料に含まれる)が必要となります。

また、保険の引受会社は損保ジャパンであり、会員が団体保険に加入する形式で保険料が団体割引30%が適用されています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自転車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険には自転車事故補償コースと交通傷害ワイドコースがあります。自転車事故補償コースだとケガの補償が自転車事故に限られますが、交通傷害ワイドコースならケガの補償が自転車事故に限らず交通事故全般に広がります。各コースには個人向けベーシックプラン、個人向けスタンダードプラン、家族向けプランがあります。

自転車事故補償コースは、プランA(個人向けベーシックプラン)だと自転車事故で死亡・後遺傷害になると50万円が受け取れます。プランB(個人向けスタンダードプラン)だと死亡・後遺傷害で1000万円が受け取れ、さらに入院1日おきに3000円の入院保険金、手術で手術保険金が1.5~3万円が受け取れます。プランC(家族向けプラン)だと家族まで補償が及びます。どのプランも事故で加害者となった場合の賠償額が1億円まで補償されます。

自転車事故補償コースの補償内容と保険金額(出典:全日本交通安全協会 自転車会員入会のご案内2025年10月改定版)

交通傷害ワイドコースは、プランD(個人向けベーシックプラン)だと死亡保険金のみ、プランE(個人向けスタンダードプラン)なら死亡保険金に入院保険金・手術保険金が付いています。プランF(家族向けプラン)だとプランEの補償が家族全員に補償が及びます。

交通傷害ワイドコースの補償内容と保険金額(出典:全日本交通安全協会 自転車会員入会のご案内2025年10月改定版)

どのコース・プランでも自分が被害者ではなく加害者となる事故を起こして、相手方から損害賠償をされた場合には賠償額が補償されます。自転車事故補償コースなら上限1億円まで、交通傷害ワイドコースなら上限3億円まで補償されます。その際には示談代行サービスも利用でき、保険加入者に代わって損保ジャパンが示談交渉をしてくれます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は補償コース・プラン・申込方法によって異なります。補償コースによって保険料は1.2~1.5倍ほどの差があり、プランによって保険料は1.5~2倍ほどの差があります。保険の申込方法がWeb申込みなら郵送申込みより5~10%ほど保険料が安くなります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自転車保険と一覧表で比較しました。各社の最も安いコースをエコノミーコース、中間のコースをスタンダードコース、最も高いコースをプレミアムコースとして統一して保険料を記載しました。また、保険料が一時払いの保険は月額換算し、参考までに家族型のスタンダードコースの保険料も比較しました。

自転車保険の保険料の比較一覧表(au損保・JCA・PayPayほけん・コープ団体保険・ジャパン少額短期保険・セブンイレブン自転車保険・ソフトバンク自転車あんしん保険・ドコモサイクル保険・楽天損保・共栄火災・三井住友海上・損保ジャパン・東京海上・日新火災・あんしん少短・ZuttoRide少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると最安値であるのが分かります。この保険のプランBの保険料をスタンダードプランではなくエコノミープランとして比較しても、やはり保険料は最安値圏にあります。保険料面で優位性があるのは間違いなく、保険料だけで加入する理由になりますが、保険料以外でメリットがあるのか続いて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは自転車事故補償コースと交通傷害ワイドコースがある点が挙げられます。他社の保険は自転車事故のみ補償か、交通事故全般を補償するかを選択できません。この保険なら補償範囲を重視するか保険料の安さを重視するかコースによって選べます。

自転車事故補償コースと交通傷害ワイドコースの補償の違い(出典:全日本交通安全協会 自転車会員入会のご案内2025年10月改定版)

さらに各コースには補償内容が個人賠償責任補償と死亡補償のみ、というシンプルなプランがあります。どちらのコースにせよ選択したプランによって保険料を安くできます。交通傷害ワイドコースの保険料が最安値のプランでも保険料は年間2000円(月額166円)のため、保険料は他社と比較して最安値圏にあります。

また、地味に会員の条件に年齢が含まれていない点も見逃せません。他社には自転車保険に加入するには70歳未満という条件が付いている保険があります。もしくは補償内容が明らかに薄いプランのみ加入できるケースがあり、年齢が大きな障害となるケースがあります。この保険なら年齢による制限なく保険を選べます。

ちなみに申込方法がWeb申込みと郵送申込みの2つがあるのもメリットです。他社にはインターネットでのみ申込可能、もしくは対面でのみ申込可能という保険があります。この保険なら自分に都合の良い申込方法で保険に加入できます。スマホ操作に不安がある高齢者でも加入できます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値のプランは補償が薄いという点が挙げられます。補償内容は自転車事故限定の死亡・後遺傷害で50万円と、加害者になった場合の個人賠償1億円のみです。他社は死亡保険金が数百万円で入院保険金も付いているケースが多いため、明らかに保険料分だけ補償は薄いです。

さらに保険料を最安値にするには自転車会員になるのはもちろん、郵送ではなくWeb申込みが必要となります。自転車会員は年会費が30円と格安で、保険料に既に含まれているため問題はありません。ただ、申込方法は5~10%ほど保険料に差が出てくるため、保険料を最大限安くするにはWeb申込が必須です。高齢者等でWeb申込が難しいようだと保険料の安さを活かし切れません。

また、メリットで加入するのに上限年齢が無い点を挙げましたが、その逆に下限年齢が16歳である点に注意が必要です。16歳未満は自転車会員になれないため、子供が加入する場合には親権者が自転車会員になる必要があります。親が家族プランに加入して子供を被保険者にする形式となり、子供だけを補償の対象にはできず保険料も家族プランにする分だけ高くなります。

自転車会員について(出典:サイクル安心保険公式HP「よくあるご質問-自転車会員について」)

補償面では、どのプランにしても通院保険金・弁護士費用補償・自転車ロードサービスが付けられない点がデメリットです。弁護士費用は他社の多くの自転車保険で付けられ、保険会社の示談交渉から弁護士へ依頼して裁判まで発展した場合に役に立ちます。自転車ロードサービスはau損保の他、損保ジャパンの別の自転車保険(UGOKU)にもあります。

評判・苦情・口コミ

損保ジャパンの2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の2.17兆円から2.22兆円になり2%増と堅調でした。その中で自転車保険を含む傷害保険の正味収入保険料は1535億円で前年度から横ばいのため、契約数からすると評判は良くはありません。

ただ、契約数でいうと保険市場の「2025年9月版 自転車保険人気ランキング(申込数)」では、サイクル安心保険は同率2位に入っていました。価格.comの自転車保険の人気ランキングではランキング外でしたが、申込数から考えて一定の人気はありそうです。

保険市場の自転車保険人気ランキング(出典:保険市場公式HP「2025年9月版 自転車保険おすすめ人気ランキング」)

また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、損保ジャパン全体に寄せられた苦情数は37598件(2024年度累計)でした。苦情の中身は「保険金支払」が最多で保険金の支払い遅れの苦情が多かったようです。次いで「契約の管理等」の苦情が多く、契約内容の変更手続きや解約手続き等への苦情が多かったようです。苦情数自体が他社の大手損保より多めなのも気がかりです。

さらにオリコンの自転車保険 総合ランキング2025では、損保ジャパンは9社中5位で東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイよりも下でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・事故対応・調査認定結果・受取額と支払いスピードです。項目別のランキングでは、いずれの項目も5位と順位は振るいませんでした。

2025年の自転車保険の顧客満足度ランキング(出典:オリコン公式HP「【2025年】自転車保険 オリコン顧客満足度ランキング|おすすめ・口コミ比較」)

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「メールでやりとりができない」「担当者とのやり取りに時間を要した」「中高年はスマホより郵送の方が安心」等の意見がありました。この保険なら損保ジャパンの別の自動車とは異なり郵送での申し込みも可能なため最後の口コミは当てはまりません。

以上のデータから考えると損保ジャパンの評判は少し悪そうですが、サイクル安心保険の評判は悪くなさそうです。損保ジャパンの評判については契約数・業績は伸びていますが、同じ大手の保険会社よりも苦情数が多めで、顧客満足度も低めのため評判は少し悪そうです。その一方でサイクル安心保険の評判は契約数からして一定の人気があるため、評判は悪くなさそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、サイクル安心保険は悪くない保険です。デメリットもあるにはありますが、それよりは圧倒的な保険料の安さというメリットがあるからです。補償が薄いから保険料が安いという点を把握してから加入するなら問題はないでしょう。

他社の保険も検討してみたい人は、保険料の安さでいえばZuttoRide少短、JCAの自転車保険も検討した方が良いでしょう。自転車事故よりは自転車の盗難等が気がかりならSBI日本少短の自転車保険、自転車ロードサービスが欲しい人はau損保等が検討候補になります。