アフラック ツミタスを比較・評価

アフラック ツミタス
オススメ度:
4
保険会社:
アフラック
名称:
ツミタス
加入年齢:
18~65歳
年金期間:
5年10年または終身
返戻率:
105~132%
特徴:
資産形成と保障のハイブリッド

資産形成と保障のハイブリッド ツミタス(以下、ツミタス)は、アフラックが2024年6月から販売を開始した保険です。それまでにも資産を形成する保険としてウェイズがありましたが、ツミタスは確実に資金を増やしつつ必要な保障を選択できるようになりました。

また、ツミタスでは保険料を支払った後にコースを選択できる仕組みで、どのコースが良いか自分で判断する必要があります。どのコースが良いかと併せて保障内容・保険料・返戻率・評判等を解説し、他社の保険と比較していきます。

保障内容

この保険は保険料を毎月支払って、支払い終えると保障内容(保障コース)を変更できます。保険料を支払っている最中は要介護2以上になると介護保険金、死亡すると死亡保険金が受け取れます。どちらか一方の保険金が受け取れ、保険金額は既に支払った保険料の合計額(既払込保険料相当額)となります。災害で死亡すると死亡保険金は1.1倍に増額されます。解約すると既払込保険料相当額の70~90%程度の解約返戻金が受け取れます。

ツミタスの仕組み(出典:アフラック プレスリリース「<資産形成と保障のハイブリッド ツミタス>の発売について」2024年5月17日)

保険料を支払い終えると、介護保険金・死亡保険金・解約返戻金は契約時に定めた金額に増額され、既払込保険料相当額を上回る金額となります。この時点で保障移行が可能となり、介護と死亡保障を継続するなら「介護・死亡同額保障コース」となり、コースを変更するなら介護重点保障コース・死亡保障コース・医療保障コース・確定年金コース・終身年金コース」が選択できます。

介護重点保障コースにすると死亡保険金が解約返戻金と同額になる一方で、要介護2以上になった場合の介護保険金が増額されます。30歳契約・60歳払い済みなら介護保険金は少なくとも支払った保険料の1.5倍(返戻率150%)以上になります。その逆に死亡保障コースにすると介護保険金が消滅し、死亡保険金が増額されます。

ツミタスで選択できる各コースの保障内容(出典:アフラック「資産形成と保障のハイブリッド ツミタス」商品パンフレット 2024年6月版)

医療保障コースにすると、病気やケガで入院・手術・放射線治療・先進医療を受けると給付金が受け取れます。入院給付金は入院日数に応じて受け取れ、手術給付金は手術の程度によって金額が変わります。さらに入院給付金を受け取らずに健康を維持すると健康祝い金が受け取れます。

確定年金コースにすると一定額の年金が5~10年間受け取れ、終身年金コースにすると死亡するまで年金が受け取れます。確定年金コースで年金受取中に死亡すると、残りの年金は一括で遺族が受け取れます。終身年金コースでは10年間の保証期間があり、その間に死亡すると残りの年数分を遺族が受け取れ、年金開始から10年経過後に死亡すると遺族は何も受けとれません。

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保険料・返戻率を他社と比較

この保険の保険料は保険金建(希望する保険金額から逆算)だと、年齢・性別・保険料払込期間によって変動します。保険料建て(保険料は年齢に関わらず一定)だと、契約する年齢と保険料払済の年齢によって保険金額が変動します。どちらも条件によって返戻率は変わります。

ツミタスの保険料一覧表(出典:アフラック プレスリリース「<資産形成と保障のハイブリッド ツミタス>の発売について」2024年5月17日)

保険金建てでも保険料建てでも、年齢が若い(≒保険料払込期間が長い)ほど返戻率が高くなります。上図の20歳・60歳払済の返戻率が129.9%と最も高く、次いで30歳の120%、40歳の111.7%となります。年齢が高めで返戻率を高めるには毎月の保険料の額を上げるか、保険料を払い込む期間を長くする(65歳払済や70歳払済)することが必要です。

次に返戻率は他社より高いのか低いのか、下図で他社の定額年金保険と一覧表で比較しました。契約年齢は30歳・40歳・50歳に分け年金開始は65歳として、年金受取期間は10年(一部の保険は15年か終身)で比較しました。

定額年金保険の30歳と40歳と50歳の返戻率の比較一覧表(かんぽ生命・太陽生命・第一生命・住友生命・JA共済・明治安田生命・日本生命・大同生命・三井住友海上あいおい生命・フコク生命(富国生命)・アフラック・T&Dフィナンシャル生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の返戻率を他社と比較すると、どの年齢層でも他社よりも返戻率は高いです。この保険の場合は解約返戻金をベースにした返戻率のため、確定年金で受け取るなら実際には返戻率は上ブレする可能性もあります。また、この保険よりも返戻率が高い保険も上図にありますが、多くは終身年金型で90歳や95歳まで長生きした場合、もしくは保険料を一時払いする保険の返戻率です。

この保険と実質的に返戻率で拮抗するのはフコク生命ぐらいで、その他の保険よりは確実に返戻率は上です。これだけ高い返戻率でデメリットは無いのか、メリットに続いてデメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずはコースを選択できる点が挙げられます。老後資金を考えるなら確定年金か終身年金コースの二択です。返戻率を考えれば確定年金で決まりですが、長生きする可能性が心配なら終身年金コースも選択肢になります。どちらにせよ選択肢が無い(終身年金が選択できない)保険よりも良いです。

老後資金を目的に加入しても、数十年後に自分の環境が変わった場合に他のコースを選択できるのも良いです。他のコースでいえば、介護重点コースも悪くありません。介護状態になったら介護施設に入所すれば良いと考えている人が多いでしょうが、介護施設に入所するにもまとまった金額が必要です。介護期間が長引いた時に家族の負担を減らすためにも老後年金から介護費用にシフトするのも1つの手です。

ツミタスの目的別のコース選択について(出典:アフラック「資産形成と保障のハイブリッド ツミタス」商品パンフレット 2024年6月版)

また、自分の年金・介護目的から子供の教育資金のために変更する手もあります。例えば自分が42歳の時に子供が生まれた場合、自分が60歳の時に子供が18歳で大学入学となります。この保険なら40歳からの加入で解約しても、解約返戻金の返戻率は110%程度はあります。解約ではなく5年確定年金で受け取る手もありますが、入学金等を考えると解約返戻金なら一気に学費を賄えます。このように、とにかく使い勝手が良いのはメリットでしょう。

ちなみにアフラックのツミタス・介護保険・ウェイズの契約者は「くらしと介護サポート」が利用できます。介護について電話・オンライン面談で相談でき、家事代行・訪問介護・通院つきそい等の優待割引も利用できます。さらに介護旅行や訪問美容・訪問理容の紹介もあります。

くらしと介護サポートのサービス内容(出典:アフラック プレスリリース「<資産形成と保障のハイブリッド ツミタス>の発売について」2024年5月17日)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずはコースを選択する必要がある点が挙げられます。どのコースにしても注意点や欠点が存在します。介護・死亡同額保障コース・介護重点保障コースでは、介護保険金は要介護2以上が必要で条件が厳しいです。介護重点保障コースでは介護保険金を受け取れず解約返戻金と同額の死亡保険金となる可能性が高いです。資産形成が目的ではない介護保険では、要介護の手前の要支援の認定で保険金が受け取れる保険があります。

公的介護保険制度にもとづく要介護度の目安(出典:アフラック「資産形成と保障のハイブリッド ツミタス」商品パンフレット 2024年6月版)

そういった心配は死亡保障コースにはありませんが、このコースを選ぶなら始めから終身保険に加入した方が返戻率は高いです。医療保障コースも医療保険・がん保険と比べれば保障内容は乏しく、そもそも入院給付金等を受け取って返戻率で100%を超えるのは至難の業でしょう。

確定年金コースは5~10年で年金が終了した後の生活費が確保できるかが問題となります。終身年金コースでは死亡するまで年金が受け取れるため心配ありませんが、長生きせずに10年の保証期間中に死亡してしまうと、返戻率が50~70%程度になってしまいます。1回あたりの年金額も確定年金よりは減額されるため、減額された額で十分かを試算する必要もあります。何にせよ選択肢があるほど迷いが生じるというデメリットに繋がります。

また、保険料払込期間中に解約すると損失が出る点に注意が必要です。他社の低解約返戻金型ほどではありませんが、解約返戻金は契約からの経過時間によって支払った保険料合計額の70~90%になります。保険料払込期間中に死亡・介護状態になっても、受け取れるのは支払った保険料相当額でプラスマイナスゼロです。

また、保険料控除は一般生命保険料控除となる点に注意が必要です。この保険は確定年金・終身年金コースなら個人年金保険になりますが、個人年金保険料控除は利用できません。他の保険で一般生命保険料控除を利用している場合、この保険に加入しても生命保険料控除が利用できません。保険料控除は所得税4万円・住民税2.8万円の税軽減効果になります。

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評判・苦情

アフラックの2023年の決算資料によると、個人保険全体の新契約数は83万件で前年度の80万件から3%増と堅調でした。ツミタス単体の新契約数も気になるところですが、2024年6月販売開始のため決算資料には反映されていません。とはいえ一応、契約数からすると評判は悪くはありません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、アフラック全体に寄せられた苦情数は61356件(2023年度実績)でした。総顧客数の1411万件で割った苦情率は0.4%で、契約者1000人のうち4件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は少し多めで、苦情面で考えると評判は少し悪いです。

その一方で調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査」では、アフラックは保険代理店部門で5位、ダイレクト部門で4位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、トップではないものの上位のため顧客満足度は平均よりは高いといえます。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 ダイレクト部門(出典:JDパワー公式HP)

アフラックはオリコン生命保険 顧客満足度ランキング2024でも、29社中3位と上位に入っています。個別の口コミでは「代理店もコールセンターも対応が丁寧」「手続きが分かりやすかった」「給付金の受け取りがスムーズだった」等のポジティブな意見がありました。その一方で、「自分に合う保険が無い」「担当者と連絡がつかない」「説明に納得できないまま加入させられた」といったネガティブな意見もありました。

以上のデータから考えるとアフラックの評判は少し良さそうですが、ツミタスの評判は不透明です。アフラックの評判は苦情面が気がかりですが、JDパワー・オリコンの調査では特に悪くはなく、むしろ評判は良さそうです。ツミタスは契約数が不明ですが、アフラック全体の数字は伸びているため、この保険も堅調な新契約数が見込まれます。今後、評判が一段と明らかになるでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アフラックのツミタスはオススメできる保険です。返戻率が高めでコース選択も基本的にはメリットだからです。老後資金が目的の場合のデメリットは保険料控除以外は他社も同様のため、諦めるしかない面があります。

その一方で他社の保険も検討してみたい人は、返戻率の高さならフコク生命・第一生命あたりが候補になります。保険料を一時払いすることが可能なら、T&Dフィナンシャルあたりも検討しても良いかもしれません。