&LIFE 個人年金保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 三井住友海上あいおい生命
- 名称:
- &LIFE 個人年金保険
- 加入年齢:
- 16~60歳
- 年金期間:
- 5年~終身
- 返戻率:
- 44~103%
- 特徴:
- 資金を計画的に準備できます
三井住友海上あいおい生命は&LIFEという冠が付いた個人年金保険を募集・販売しています。販売開始から10年以上が経過していますが、基本的に保障内容は変わっていません。
それでは以下で保障内容・保険料・返戻率・評判等を解説し、他社の保険と比較していきます。
保障内容
この保険は保険料を毎月支払って、保険料払込期間が満了すると年金が受け取れます。保険料を支払い終える前(保険料払込期間中)に死亡すると支払った保険料相当額の死亡給付金、解約すると支払った保険料相当額の70~90%程度の解約返戻金が受け取れます。
年金原資は保険料払込期間中の5年ごと積立配当金が増額年金として加算され、さらに年金支払期間中の積立配当金が増加年金として加算されます。配当金は5年ごとのため保険料払込期間が35年なら6回、30年なら5回・・・10年なら1回となります。年金支払期間中の配当金も10年なら1回、15年なら2回となります。
年金の受取方法は5~15年の確定年金と、保証期間10年が付いた終身年金があります。5~15年の確定年金だと年金原資(積立金+配当金)を5~15年分に分割して受け取れます。年金支払期間中も10年なら1回、15年なら2回の増加年金(配当金)があります。年金受取中に死亡すると残りの年数分は遺族が受け取れます。
10年保証期間付終身年金にすると、死亡するまで年金が受け取れます。年金の受取開始から10年以内に死亡しても、受取期間が10年に達するまでは遺族が年金を受け取れます。ただし、確定年金よりも1回あたりの年金額が小額になっているため、返戻率は年金を10年間受け取るだけでは100%には届きません。65歳受け取り開始なら少なくとも87歳まで長生きしないと返戻率は100%を超えません。
特約には個人年金保険料税制適格特約があります。この特約を付加すると、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除とは別枠で個人年金保険料控除が利用できます。個人年金保険料控除によって所得税・住民税が軽減されます。
保険料・返戻率を他社と比較
この保険の保険料・返戻率は性別・年齢・年金の額・保険料払込期間・年金の受取方法等によって変動します。30歳男性・65歳払込完了・年金額30万円・10年確定年金の場合、保険料は月額7074円となります。払込保険料が297万円に対して300万円を受け取るため、返戻率は101%となります。
他の条件は同じで10年保証期間付終身年金にすると、保険料は月額15597円となります。保証期間の10年だけ年金を受け取ると返戻率は45%で、87歳まで生存していると返戻率は100%を超えます。その後は長生きするほど返戻率は上昇し、90歳で115%、95歳で137%に上昇します。
次に返戻率は他社より高いのか低いのか、下図で他社の定額年金保険と一覧表で比較しました。契約年齢は30歳・40歳・50歳に分け年金開始は65歳として、年金受取期間は10年(一部の保険は15年か終身)で比較しました。
この保険の返戻率を他社と比較すると、10年確定年金の返戻率101.4%は他社よりも低いです。10年保証期間付終身年金なら他社よりも高い数字になる可能性はありますが、その逆に年金保証期間内に死亡すると45%に落ちてしまいます。
同じ長寿に備える太陽生命・日本生命と比べると、年金保証期間中に死亡した際の下限の返戻率は三井住友の方が高いものの、逆に長生きした場合の返戻率は2社よりも低いです。この保険はトンチン型になっていない分が響いていそうです。そのため加入する側としては、返戻率以外で他社に無いメリットが欲しいところです。
メリット
この保険のメリットは、まずは10年の年金保証期間がある点が挙げられます。最近では終身年金が設定できる保険が減り、終身年金で保証期間があっても5年であるケースが多いです。確定年金にしても5年10年の二択か10年15年の二択が多い中で、5・10・15年の三択のため選択肢が広めになっています。
その間に5年ごと積立配当金があるのもメリットです。前述の返戻率は今現在に想定されている配当金で、今後の経済情勢(主に金利情勢)によっては上ブレがあるかもしれません。終身年金にしても87歳よりも前の時点で返戻率が100%を超える可能性があります。
個人年金保険料税制適格特約があるのもメリットです。1年間の保険料の合計額が8万円を超えると、保険料控除で所得税4万円と住民税2.8万円が控除されます。軽減される税金額は世帯の家族構成と年収によって変動しますが、年収600万円の独身者で6800円、年収800万円なら約1万円が年末調整(自営業なら確定申告)で税金が還付されます。
ちなみに契約者向けサービス「MSAケア」も人によってはメリットかもしれません。他社と比べてサービスが豊富で多岐に渡っています。がん・認知症・生活習慣病の予防や早期発見に繋がるサポートから、医療や介護についての施設の紹介もあります。自分のために使うサービスではなく、両親のために使うサービス(自分が保険を契約して両親が介護サービスを使う等)と考えると使い道はありそうです。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは10年保証期間付終身年金の存在が挙げられます。10年の年金保証というと長く感じますが、年金を10年だけ受け取った場合の返戻率は僅か45%です。想定通りに長生きしても、年金受取開始が65歳だと返戻率が100%を超えるのは87歳です。現在の平均寿命(男性81歳・女性87歳)が多少延びたとしてもハードルは低くはありません。
確定年金なら年金受取期間中に死亡しても遺族が残った年金を受け取れるため、返戻率が100%を切る心配はありません。しかし、この保険の返戻率は前述したように他社よりも低いです。確定年金にするなら他社の返戻率が高い保険の方が年金を最大かするのに効率が良いでしょう。
また、この保険の保障内容は年金の受け取りと死亡保障のみです。他社には医療保障を追加したり、保険料払込免除特約が付けられる個人年金保険があります。日本生命・太陽生命などの保険料払込免除特約は、三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)になると保険料の支払いが免除されます。悪性新生物と診断確定されるだけで保険料が免除されるなら、50~60代で保険料が免除される可能性があります。
ちなみに個人年金保険料控除を利用するには「年金受取人は契約者または配偶者」「年金受取人と被保険者は同一人物」「年金受取開始年齢は60歳以上」「年金受取期間が10年以上」「保険料払込期間が10年以上」という5つの条件を満たす必要があります。早期退職を視野に入れて年金受取開始年齢を55歳にしたりすると控除が受けられません。
評判・苦情
三井住友海上あいおい生命の2023年の決算資料によると、個人保険の新契約数は20.9万件で前年度の22.8万件から8%減で、個人年金保険の新契約件数は1000件以下でした。個人年金保険の新契約件数は2021年に1000件を切ってから減少を続けており、保有契約数でも15.3万件で前年度から4%減少しています。契約数からすると個人年金保険の評判は悪いです。
さらに保険情報サイトの保険市場の資料請求ランキングでも、&LIFE個人年金保険は6位以下でした。1位が明治安田生命の年金かけはし、2位が太陽生命、3位がマニュライフ生命の個人年金保険でした。契約前の資料請求されている段階から三井住友海上あいおい生命は候補にすら入ってない可能性があります。
個人年金保険の評判が芳しくない一方で、生命保険協会の苦情数のデータでは三井住友海上あいおい生命全体に寄せられた苦情数は2175件(2023年度実績)と少なめでした。総顧客数の403万件で割った苦情率は0.04%で、契約者10000人のうち4件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は非常に少なく、苦情面で考えると評判は良いです。
さらにオリコン生命保険 顧客満足度ランキング2024でも29社中7位とトップ10に入っています。個別の口コミでは「担当者の説明が丁寧」「提案と手続きがスピーディー」「保険料と保障のバランスがまぁまぁ良い」等のポジティブな意見がありました。その一方で、「手続きが担当者が言うより時間を食った」「アフターフォローが無い」「担当者が説明不足」といったネガティブな意見もありました。
さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険金請求対応満足度調査」では、三井住友海上あいおい生命は27社中17位と中途半端な順位でした。この調査は直近1年内に保険金・給付金を請求した人が対象の調査で、顧客対応・請求手続き・保険金支払の迅速さ等が評価項目です。三井住友海上あいおい生命は平均以下で、満足度は下の上といったところです。
以上のデータから考えると三井住友海上あいおい生命の評判は普通そうですが、個人年金保険の評判は悪そうです。三井住友海上あいおい生命の評判は苦情・オリコン調査では良さそうですが、保険金請求時の顧客満足度が低めのため保険の最後の段階でストレスがあるかもしれません。個人年金保険は契約数が非常に少なく、保険サイトでの資料請求数も少なく人気が無いのは明白です。評判が悪いというより、存在を認識すらされていない可能性もあります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、三井住友海上あいおい生命の個人年金保険はイマイチな保険です。メリットは探せばありますが、それよりは他社と比べた時の物足りなさとデメリットの方が大きいです。確定年金にしろ終身年金にしろ他社の返戻率が高い保険を検討した方が良いでしょう。
その一方で他社の保険も検討してみたい人は、返戻率の高さなら富国生命・アフラック・第一生命あたりが候補になります。保険料を一時払いすることが可能なら、同じグループですが、T&Dフィナンシャルあたりも検討しても良いかもしれません。