朝日生命 収入サポート保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 朝日生命
- 名称:
- 収入サポート保険
- 加入年齢:
- 15~60歳
- 保障期間:
- ~65歳満了
- 保障内容:
- 身体障害・精神疾患等での就業不能
- 特徴:
- 働けなくなったときの収入減少をカバー!
朝日生命の収入サポート保険は、2017年4月から販売を開始した収入保障保険です。販売当時は数少ない精神疾患まで保障する保険でしたが、2023年現在は他社にも精神疾患まで保障する保険があり優位性は薄くなりました。
また、朝日生命には療養サポートという保険を2022年に販売開始しており、それより古い収入サポート保険の影が薄くなっています。とはいえ収入サポート保険は販売を継続しており現在でも通じるメリットがあるかもしれません。以下で保障内容・保険料・返戻率・評判等を解説し、他社の保険と比較していきます。
保障内容・保障範囲
この保険は収入サポート年金・死亡給付金・満了祝金の3つの基本保障で構成され、それ以外にメンタル疾患特約を付加できます。まず、収入サポート年金は身体障害者手帳1~3級の交付を受けるか、公的介護保険の要介護1以上になると受け取れます。条件に一度でも合致すれば自分が設定した保険期間(50~65歳)まで受け取れます。
収入サポート年金は条件に一度でも合致すれば保険期間(50~65歳)が満了するまで受け取れます。もしも年金を5回受け取る前に保険期間が満了しても5回は年金が受け取れます。例えば65歳満期で契約して64歳と11ヶ月で要介護1となると年金は1ヶ月分しか受け取れなそうですが、65歳4ヶ月(計5ヶ月分)までは受け取れます。ただし、年金を受け取るには生存が条件で、年金受け取り中に死亡すると年金は消滅し遺族も受け取れません。
死亡給付金は死亡時に受け取れ、満了祝金は保険が満了する際に受け取れます。いずれも収入サポート年金を受け取っていない場合に限り受け取れます。金額も死亡給付金は年金額1ヶ月分で、満了祝金に至っては年金額の10%分のため非常に少額でオマケに過ぎません。
この保険でポイントとなるメンタル疾患特約特約ですが、うつ病等の精神疾患により入院が60日継続すると一時金が受け取れます。金額は自分で設定できますが、一時金は1回限りとなります。仮に精神疾患が再発して再入院しても再び一時金は受け取れません。
ちなみに所定の高度障害、災害によって身体障害状態になると以後の保険料が免除されます。それ以外の場合には保険料は支払い続ける必要があります。
保険料・返戻率を他社と比較
この保険の保険料は給付金を月額10万円・60歳満了・メンタル疾患特約ありにすると、25歳男性は4467円、30歳は4655円、40歳は5796円となります。30歳の保険料を例にとると、保険料のうちメンタル疾患特約が占めるのは191円で、残りの4464円は収入サポート年金分の保険料のため、保険料からするとメンタル疾患特約を付けない手は無いでしょう。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の収入保障保険と一覧表で比較しました。給付金は月額10万円で、返戻率は保険料を20年間支払い続けて死亡・高度障害ないしは身体障害等になり、保険期間満了まで給付金を受け取った場合で計算しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、相対的に高い部類に入るのが分かります。返戻率で見てもトップクラスの保険とは2倍以上の開きがあります。死亡・高度障害等による就業不能を考えると他社よりも不利で、保険料に割安感はありません。
保険料が高いのは精神疾患の保障がある分だとも考えられますが、同じく精神疾患までカバーするSOMPOひまわり・三井住友あいおいよりも保険料が高いです。そのため収入サポート保険には保険料・返戻率では優位性が無いといえそうです。
メリット
この保険のメリットは、まずは精神疾患までカバーしている点が挙げられます。他社には精神疾患をカバーしてない収入保障保険が多々あります。就業不能保険でも精神疾患が継続する間だけ給付金が受け取れるパターンが大半です。前者は論外として、後者だと3~4ヶ月の入院だと給付金は3~4ヶ月(30~40万円)で止まりますが、この保険なら100万円のため10ヶ月分になります。
死亡給付金と満期祝金があるのもメリットでしょう。死亡給付金があれば就業不能にならずに死亡しても返戻率はゼロにならず、保険料の全てが無駄にはなりません。就業不能・死亡せず満期を迎えると受け取れる満期祝金も同様です。両者とも小額ですが、保険料の全てが無駄になることを防いでくれます。
細かい点でいえば、収入サポート年金が受け取れる条件に障害等級3級と要介護1があるのもメリットです。他社の障害等級1~2級ですが、それより緩い3級があるため給付金が受け取りやすくなります。要介護1は保険金の条件に入っていない保険が多く、要介護1より厳しい要介護2とする保険もあります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは死亡時の返戻率が低い点が挙げられます。メリットである精神疾患の保障でも同様で、SBI生命の就業不能保険で月額20万円にしても、収入サポート保険よりは保険料は安いです。この設定なら5ヶ月の入院をすれば、収入サポート保険で一時金100万円を受け取るのと同じになります。保険料を倍にせず月額10万円でも、そもそも精神疾患による入院が10ヶ月以上になれば、SBI生命の方が多額の給付金が受け取れます。
さらに、他社の就業不能保険では保険金の条件に入院があるのに対して、この保険は障害等級1~3級と要介護1だけという点もデメリットです。この保険では脳卒中で60日の入院をしても身体障害にならなければ給付金は受け取れませんが、他社の全ての病気をカバーする就業不能保険なら60日の入院の時点で給付金が受け取れます。この点については後追いの就業不能保険に抜かれた感があります。
また、この保険は死亡保障はオマケ程度の扱いで、他社の収入保障保険の死亡保障よりも保障が薄いという弱点があります。他社には死亡すると数百万円の死亡保険金が受け取れたり、就業不能状態から数ヶ月後に死亡しても残りの5~10年分を遺族が受け取れたりします。その上で精神疾患・要介護・身体障害・入院保障まで兼ね備えている保険もあります。
上図の保険には死亡給付金・満了祝金が無い保険もありますが、これらの給付金もメリットとは言い難い面もあります。その分だけ保険料が高くなっており、受け取れる金額も小額だからです。満了祝金を受け取るよりは、保険料が半額の保険の方がトータルで支払う保険料が安い可能性大です。
ちなみにメンタル疾患特約については、収入サポート年金を受け取ると消滅する点にも注意が必要です。病気・ケガで障害等級1~3級になり、その後に精神疾患になっても年金は受け取れません。その逆のパターンなら年金は受け取れます。
評判・苦情
朝日生命の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、全体での個人向け保険の保有契約数は前年度から7%減でした。横ばい・大幅増となった保険会社もあるため苦戦している印象です。この保険が含まれるであろう障害保障の保険の保有件数も5%ほど減少しているため、契約数からすると収入サポート保険の評判は良くはありません。
生命保険協会の苦情数のデータでは、朝日生命全体に寄せられた苦情数は1.6万件(2021年度累計実績)で、総顧客数の255万件で割った苦情率は0.6%です。契約者1000人のうち6件で苦情が発生している計算で、他社の苦情率は0.1~0.2%台が多いため苦情数で考えると評判は悪いです。保全関係の苦情(変更手続き・解約関連)・その他の苦情(職員の態度等)の比率が高めです。
さらに調査会社のJ.D.パワーの「2023年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員チャネル」では12社中11位と最下位に近いです。2手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも顧客満足度は低いと考えられます。
その一方で「2023年 生命保険金請求対応満足度調査」では、朝日生命は25社中で8位と上位にいます。諸々の手続き等には不満があっても、とりあえず保険金を請求した時の対応は悪くないようです。この調査は保険を新規購入・更新した約7000人を対象としており、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。
もう1つのオリコンの「生命保険 総合ランキング2022」は1万人が対象の調査ですが、朝日生命は28社中で27位で同じような順位です。28位のはなさく生命がデータ不足によるランク外だとすると、実質は最下位といってもいいかもしれません。この調査には加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローが評価項目ですが、いずれでも低い評価を受けています。
以上のデータから考えると、朝日生命全体の評判は悪そうで、収入サポート保険の評判も良くはないでしょう。全体の評判は数千人を各調査・苦情面から明らかで、保険金請求以外で良い点を探す方が難しそうです。過去を振り返っても2017年時点でも26社中25位、2020年時点でも27社中24位と順位に変動がなく改善する気配がありません。もはや定着した評判と言ってもいいかもしれません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、収入サポート保険はイマイチな保険です。メリットはあるにはありますが、どうしてもデメリット・注意点の方が大きく感じます。他社の就業不能保険が新しく保障を拡充しているため止むを得ないのかもしれません。
この保険を検討している人は、保障・保険料の両面で優れているSOMPOひまわりの収入保障保険も検討すべきでしょう。死亡保障は不要で精神疾患をカバーしたい人は、保険料が安いSBI生命等の就業不能保険も確認するのが賢明です。精神疾患が不要なら、三大疾病の保障が手厚いT&Dフィナンシャルの収入保障保険を検討しても良いでしょう。