ZuttoRide バイク車両・盗難保険を比較・評価

ZuttoRide少額短期保険(ズットライド少額短期保険)
オススメ度:
2
保険会社:
ZuttoRide少額短期保険
名称:
ずっとバイク車両保険・盗難保険
免許の色:
割引なし
走行距離:
割引なし
オリコン:
対象外 / 9社中
特徴:
バイクの車両損傷に備える

ずっとバイク車両保険は、ZuttoRide少額短期保険が2019年から募集・販売しているバイク保険です。バイク保険という名称ですが、バイクの損傷のみ補償されるため実質は車両保険ともいえます。同社には盗難のみ補償する盗難保険もあります。

ZuttoRideは各バイクメーカーと提携しており、メーカーによって保険の名称が変わります。ホンダでは「ホンダドリーム車両保険・盗難補償」、ヤマハでは「クラブヤマハモーターサイクル会員」、スズキでは「スズキバイクショップメンバーズ」、カワサキでは「カワサキプラザロードサービス」となります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社のバイク保険と比較していきます。

補償内容・特約

ずっとバイク車両保険は事故全損特約と事故分損特約で構成されます。事故全損特約はバイクが全損時(修理費が保険金の80%超)に保険金が受け取れます。事故分損特約はワイド・ミドル・スリムの3つに分かれ、ワイドなら修理費が保険金の20~80%未満になれば保険金が受け取れます。ミドルなら40~80%、スリムなら60~80%になり修理費の下限が厳しくなります。

ずっとバイク車両保険のプランと補償内容(出典:ZuttoRide少額短期保険公式HP「ZuttoRideのずっとバイク車両保険」)

仮に保険金を100万円に設定した場合、100%全損であれば100万円が受け取れ、20%分損であれば20万円が受け取れます。また、補償されるのはバイク本体だけではなく、購入時に取り付けたパーツ・アクセサリーも対象となります。購入時にETCやカーナビを付けていれば補償されます。

盗難補償保険は車両保険とは別保険で、盗難補償プラン・ロードサービスプラン・フルサポートプランがあります。盗難補償プランはバイク盗難保険(最大300万円まで)・パーツ盗難保険(最大20万円まで)・カギ穴いたずら補償(最大5万円まで)があります。バイクが丸ごと盗難されればバイク盗難保険、パーツのみならパーツ盗難保険、盗難未遂でカギが壊されただけならカギ穴いたずら補償で補償されます。

ZuttoRide盗難保険プランとロードサービスの補償内容(出典:ロードサービス・バイク盗難保険・パーツ盗難保険「ZuttoRide Club」パンフレット)

ロードサービスプランは事故・故障時のレッカーサービスから、現場応急対応・カギ開け・ガス欠時の給油サービスまで付いています。プレミアムロードサービスならレッカーの搬送距離が無制限となり、ケガ・死亡すると保険金が受け取れる傷害保険も付いてきます。

以上の車両保険・盗難補償・ロードサービスの組み合わせが各バイクメーカーに提供されています。スズキバイクショップメンバーズは車両保険(2年のみ)・盗難補償・ロードサービスの3つともありますが、ホンダドリームだと車両保険・盗難補償のみです。クラブヤマハモーターサイクル会員では盗難補償とロードサービスのみ、カワサキプラザロードサービスはロードサービスのみとなっています。

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保険料を他社と比較

ずっとバイク車両保険の保険料は保険金額・補償内容・車種によって異なります。保険金額を大きくすると保険料は高くなり、補償内容を広げると保険料は高くなります。車種は同条件(250cc以下・保険金額100万・全損分損ワイド)でもメーカーで微妙に異なります。ハーレー・BMWが最も高い95083円で、次いでカワサキ(82807円)、スズキ(78108円)、ヤマハ(77423円)、ホンダ(77355円)となっています。

それに対して盗難保険の保険料はシンプルで、バイクの金額によって保険料が決まります。最低上限額5万円から最高上限額300万円まで設定でき、保険金額を上げるとパーツ盗難保険・カギ穴補償の上限も上昇します。とはいえ保険金額100万円以降はパーツ盗難は20万円で据え置き、カギ穴補償は5万円で据え置きとなります。

ZuttoRide盗難保険プランの保険料一覧(出典:ZuttoRide少額短期保険公式HP「盗難保険プラン」)

次に保険料は他社より安いのか否か確認していきます。ZuttoRideが提供するメーカー系の保険も併せて、いずれも保険金額100万円で一覧で比較しました。また、参考までに対人・対物賠償があるバイク保険(6等級・ホンダのレブル250・搭乗者傷害300万円・車両保険なし・走行距離5000キロ未満)の保険料も入れてあります。

車両保険と盗難補償がある保険の全損・半損・盗難・ロードサービスの保険料の比較一覧表(アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・日新火災・ホンダドリーム・ヤマハモーターサイクル会員・スズキバイクショップメンバーズ・カワサキプラザロードサービス・ずっとバイク車両保険・みんなのバイク保険・HARLEY車両盗難保険・TRIUMPH車両盗難保険・YSP車両保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の年間保険料は、盗難補償のみで考えると他社よりも高めです。同じく盗難補償を提供しているSBI日本少額短期保険よりも高いです。また、同じZuttoRideが提供しているメーカー系の盗難補償よりも高い点も見逃せません。可能なら各メーカー専用の保険に加入した方が得といえます。

盗難のみと同様に全損・半損の場合でもSBIより高いです。ちなみにSBIよりもチューリッヒで車両保険(盗難は補償外)を付けた場合の方が安いです。保険料は事故の補償1.7万円と車両補償1.7万円で計3.4万円で、単独事故が補償外で時価での補償(詳細は後述)ですが保険料は抑えられます。

以上を踏まえると、ずっとバイク車両保険の保険料は高めで、盗難補償だけでも高めです。ただし、全損・半損の保険料が高いのはチューリッヒ等のバイク保険に車両保険を付けるよりメリットがあるからです。続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは契約何年目でも契約時の保険金額(協定保険価額)が補償される点が挙げられます。保険金を100万円に設定すれば、いつでも事故でバイクが全損すれば100万円が受け取れます。前述のチューリッヒ等の一般的な車両保険では年数経過(車両の劣化)と共に保険金が減額されます。

ずっとバイク車両保険の保険金の仕組み(出典:ZuttoRide少額短期保険公式HP「ZuttoRideのずっとバイク車両保険」)

さらに一般的な車両保険と異なり、パーツ・アクセサリーも補償の対象なのもメリットです。バイクをカスタマイズして車両価格が通常よりも高い人は、車両本体の保険金額を上げずにパーツ分を見込んで保険金額を設定しても良いでしょう。また、バイク本体の損傷は軽微でもパーツと合算すると20%の損傷に到達する可能性もあります。全損時には全損諸費用保険が廃車やバイクの買換え時の諸費用として受け取れるのも見逃せません。

盗難補償については、バイクそのものだけではなくパーツ・かぎ穴まで補償されるのもメリットです。他社の盗難補償では日新火災のようにパーツだけの盗難は補償外、盗難未遂であろうカギ穴いたずらも補償外というケースもあります。

ロードサービスは対人・対物賠償補償のあるバイク保険(アクサや東京海上等々)で十分ともいえますが、この保険のロードサービスは一味違います。一般的なロードサービスは事故現場から保険会社指定の修理工場までの搬送は無料ですが、自宅や自分が指定したバイクショップだと上限距離・上限金額があるのが大半です。この保険なら自宅でも自宅から近いバイクショップを指定しても搬送料金は無料です。

ロードサービスプランの内容と年会費(出典:ZuttoRide少額短期保険公式HP「ロードサービスプラン」)

ちなみに車両保険・盗難補償に加入してZuttoRide Clubに入会すると、バイク関連のプレゼント抽選が毎月あり、ライディングスクールや走行会のイベントが会員向けにあります。イベントはキャンプミーティングやサーキット体験ツーリングがあり、場所も北は北海道から南は熊本まであります。

デメリット・注意点

ずっとバイク車両保険のデメリットには、まずは加入できるのが購入から90日以内のバイクに限られる点が挙げられます。ホンダドリーム車両保険も同様で、かつ契約はホンダドリームの店頭限定のため購入時に加入しないと機会を逃します。パーツもバイク購入時につけたパーツに限られるため、購入後にカスタイマイズしたパーツは補償外となります。

また、補償金額が契約時から変わらないのはメリットですが、その分だけ保険料が高いのはデメリットです。この保険で全損半損ワイドプランで保険金額100万円だと、1年間の保険料は7.7万円です。10年加入すると77万円となるため、100万円のバイクの80%近くが保険料で消えます。保険に加入せず10年無事に過ごせば、ほぼバイクを買い換えられる金額です。この点はSBI日本少短も同様です。

そう考えると盗難補償だけにするのも手ですが、スマートキーやセキュリティ強化等で近年は盗難が減少しています。警察庁「犯罪統計 令和4年(確定値)」によると、盗難件数は2018年の1.5万件から2022年の7913件まで4年で半減しています。バイクの販売台数・保有台数が減少傾向にあるとはいえ、さすがに半減はしていないため盗難が減少しているのは間違いありません。

オートバイ盗みの認知件数と検挙件数(出典:警察庁刑事局捜査支援分析管理官「令和4年1~12月犯罪統計 確定値」)

それでも盗難が心配で盗難補償を付けたとしても、盗難補償は完全ではない点に注意が必要です。パーツ盗難は最大20万円のため、高額なパーツや複数のパーツが盗難されると上限額が超える可能性があります。さらに盗難補償には5%の自己負担があり、保険金が100万円なら5%の5万円が自己負担となります。同じ盗難を補償するSBI日本少短には自己負担はありません。

ちなみにZuttoRide少短は少額短期保険業者である点に注意が必要です。少額短期保険業者は契約者保護機構に加入しておらず、経営破綻すると法務局に預けた供託金が契約者等で分配するだけです。経営破綻すると保険金が遅れたり受け取れない可能性があります。一応は留意しておいた方が良いでしょう。

評判・苦情

ZuttoRide少短の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の2.0億円から2.7億円になり33%増でした。2020年度にコロナ・緊急事態宣言等々で大幅に減少してから堅調に回復しています。売上(契約数)からすると評判は良いといえます。

純利益も2020年度には1.3万円まで減り赤字転落の瀬戸際でしたが、2021年度には447万円、2022年度には3989万円まで回復しています。その意味ではデメリットの箇所で記述したような経営危機からは遠く安心感があります。保険金の支払能力を示すソルベンシー・マージン比率も583%と十分な水準です。

ZuttoRide少短の正味収入保険料・純利益の額(出典:ZuttoRide少額短期保険 2022年度ディスクロジャー資料 業務及び財産の状況に関する説明書類)

その他にオリコンのバイク保険 総合ランキング2023やJDパワーの顧客満足度調査を参考にしたいところですが、この保険は調査の対象外でした。満足度は不明ではありますが、車両保険・盗難補償だけの保険は事故の相手方は無関係で示談交渉もありません。修理費に対して保険金が支払われるか否かというだけなら、事故対応等は問題ではないともいえます。

以上のデータから考えると、ZuttoRideの保険の評判は悪くなさそうです。全体の評判は業績面だけでの判断ですが、契約者が増加しているなら悪い評判が広まっている可能性は低いです。とはいえ各種調査で調査対象外のため、一応は過信せず加入・契約した方が良いでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、ずっとバイク車両保険・盗難補償プランは微妙な保険です。車両保険は破損が気がかりだとしても保険料が高いからです。その点、盗難保険は車両保険より保険料は安めですが、SBI日本少短と比べると保険料が高めです。ロードサービスだけはバイク保険に加入していない人なら、年会費6000円程度のため検討しても良いかもしれません。

車両保険・盗難保険とは別に対人・対物補償があるバイク保険も検討したい人は、保険料の安さなら初加入の人はチューリッヒ・アクサダイレクト、他社からの乗り換えの人は三井ダイレクトが候補になります。事故対応と保険料をバランス良くなら、三井住友海上あたりを検討しても良いかもしれません。