共栄火災の自動車保険と自転車特約を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 共栄火災海上保険
- 名称:
- KAPくるまる
- 自転車特約:
- 自転車傷害補償特約等
- 個人賠償:
- 2億円
- 示談交渉:
- あり
- 特徴:
- 3つの安心をお届け
共栄火災の自動車保険「KAPくるまる」では、自転車傷害補償特約・日常生活個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約などを組み合わせて自転車事故に備えられます。さらに基本保障の人身傷害保険に他車搭乗中および車外自動車事故補償特約を付けることでも、自動車と自転車の事故によるケガに備えられます。
それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。
補償内容・特約
共栄火災のKAPくるまるに自転車傷害補償特約を付けると、自転車に乗っている時に転倒してケガしたり、他人の自転車と接触・衝突してケガをすると保険金が受け取れます。死亡すると300万円の死亡保険金、後遺障害になると程度によって12~300万円の後遺障害保険金が受け取れます。ケガで5日以上の入院をすると、ケガの部位と症状によって10~100万円の医療保険金が受け取れます。
また、自転車傷害補償特約は日常生活個人賠償責任補償特約とセットで付ける必要があります。この特約を付けると自転車に乗っていて他人にケガをさせたり物を壊して加害者となった場合に、相手からの損害賠償の額が2億円まで補償されます。自転車事故だけではなく日常生活全般が補償の対象で、子供が他人のクルマを傷つけたりしても賠償額が補償されます。
さらに人身傷害保険は通常は契約したクルマに搭乗中のケガのみ補償されますが、「人身傷害の他車搭乗中および車外自動車事故補償特約」を付けると、自転車に乗っている時や歩行中に他人のクルマと接触してケガをしても保険金が受け取れます。相手がクルマだった場合のみ補償される点で自転車傷害補償特約と異なり、保険金額も3000万~無制限まで設定でき高額になっています。
人身傷害保険には傷害定額払特約(傷害一時金)や傷害定額払特約(死亡・後遺障害)も付けられます。前者を付けると入院または通院を1日以上すると1万円の一時金が受け取れ、入院・通院が5日以上になると10万円の一時金が受け取れます。後者を付けると死亡時には保険金額の全額、後遺障害なら保険金額の4~100%分が受け取れます。
その他に弁護士費用等補償特約を付けると、もらい事故などで保険会社が示談交渉できない場合に弁護士に依頼する料金が補償されます。例えば自転車に乗っていてクルマに後方から追突された場合などが考えられ、弁護士・司法書士への相談料・依頼料・訴訟費用が300万円まで補償されます。
保険料を他社と比較
共栄火災の自動車保険に自転車向け特約(自転車傷害補償特約・日常生活個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約)を付けて、人身傷害補償保険に人身傷害車外補償特約を付けると、30歳男性・6等級・アクアの人は保険料が年間で約1.2万円の上昇となります。
これらの特約の中で、弁護士特約(自動車・日常生活事故型)の保険料が約4800円と最も高くなっています。自転車傷害補償特約は日常生活個人賠償責任補償特約とセットで約4600円と同程度の金額です。日常生活個人賠償責任補償特約単体なら約2000円ほどで済みます。人身傷害保険に人身傷害車外補償特約を付けると約2600円ほど高くなります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・走行距離9000km以下で算出しました。
この保険の特約分の保険料は他社と比べて高くも安くもありません。既に契約済みの人は特約を付けても他社と同等に近い負担感となります。ただ、自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料は他社よりも高めで、トータルで考えれば保険料負担は重いでしょう。この保険に保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。
メリット
共栄火災にある一連の自転車向けの特約の中では、まずは自転車傷害補償特約がある点がメリットに挙げられます。この特約を付けると、人身傷害保険では補償されない自転車と自転車の事故、自転車の単独事故でケガをしても保険金が受け取れます。ケガでの保険金額も他社のように一律5~10万円ではなく、ケガの部位・症状によって10~100万円が受け取れるのも良いです。
さらに人身傷害保険については、特約を付けることで契約したクルマに乗っている時以外でも、自動車事故によるケガが補償されます。それに加えて人身傷害定額払特約で補償を手厚くできます。特約を付けると5日未満の入院でも保険金が受け取れ、入院せずに通院しても保険金が受け取れます。死亡・後遺障害となった場合も、相手方の自賠責保険や対人賠償責任保険とは関係なく、自分が設定した保険金額が全額受け取れます。
また、日常生活賠償特約の補償額が他社の1億円を上限とする保険よりも2億円と高いのもメリットです。自転車事故の高額賠償事例は9000万円台のため1億円でも事足りますが、今後の事例では1億円を越える可能性は否定できません。それが自分となる可能性も否定できないため、余裕がある2億円に設定されているのはメリットです。
ちなみに共栄火災は農業・船舶関連の保険も販売しているため、これらの保険も検討したい人は自動車保険に自転車向け特約を付けるついでに相談できます。特に北海道・東北・北陸・九州に支店が多めで、代理店も相当数あるため人によってはメリットになります。
デメリット・弱点・落とし穴
共栄火災で自転車向け特約を付けるデメリットとしては、まずは保険料が高い点が挙げられます。前述した通り、特約分の保険料は高くはないのですが、元々の自動車保険の保険料が高いです。自動車保険トータルの保険料で考えると家計への負担は大きいです。
さらに新規での契約となると、対面で契約する必要がある点もデメリットでしょう。対面契約の手間・時間調整に加えて基本は紙で契約をする煩わしさもあります。それも支店は北海道・東北・北陸・九州では多めですが、他の地域では支店が多くはない地域もあるため自宅から相当離れた場所まで行く時間も必要となるかもしれません。
補償面では自転車傷害補償特約のケガの補償が薄い点も見逃せません。ケガで入院・通院を5日以上で10~100万円のため他社よりも補償は厚めではありますが、いかんせん5日未満だと医療保険金は受け取れません。死亡保険金にしても増額はできず、他社の500~1000万円の死亡保険金には見劣りします。
人身傷害定額払特約を付けると入院・通院が1~5日でも1万円の保険金が受け取れますが、この1万円が受け取れるのは1回限りです。入院・通院日数が2日でも3日でも1万円が1回受け取れるだけです。本家の自転車保険なら自転車に乗っている時のケガ全般が補償され、入院・通院すれば入院日数・通院日数に応じて保険金が受け取れます。それでも保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)で、この保険に特約を付けるより保険料が節約できます。
評判・苦情・口コミ
共栄火災の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の1746億円から1849億円になり6%増と好調でした。その中で自動車保険の正味収入保険料も673億円で前年度から5%増のため、契約数から考えると評判は悪くなさそうです。
ただ、契約数でいうと価格.comの「自動車保険の満足度ランキング2025」では、共栄火災は対象企業であるものの10位以下でランキング外でした。総合ランキング以外に保険料・補償内容・顧客対応・事故対応の項目別のランキングもありますが、唯一事故対応で10位に入っているだけでした。
その一方でオリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(代理店型)では、共栄火災は7社中で5位とランキング外ほど悪くない順位でした。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位がありますが、加入更新手続きと事故対応で2位と高い満足度でした。やはり事故対応については一定の評価を得ているようです。その一方で商品内容・保険料・ロードサービスは7位で最下位の満足度でした。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「事故時にすべきことの説明が分かりにくかった」「ロードサービスが結構待たされた」「経過報告が小まめに来ない」「更新時期の連絡がギリギリに来る」「交渉力が無いのか10対0で一方的に悪いことにされた」等の意見がありました。事故対応は悪くはないはずですが、一定数の不満が見受けられました。
以上のデータから考えると、共栄火災の自動車保険の評判は少し悪そうです。契約数・申し込み数は伸びているものの、各種調査での顧客満足度が下位だからです。あくまで上述の評判は自動車保険本体の話しですが、とりあえず自転車事故向けの特約を付けるにしては評判面で一抹の不安はあります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、共栄火災の自動車保険に自転車向け特約を付けるのは、あまりオススメはできません。自転車事故に備えるには補償内容は微妙に物足りず、保険料も決して安くないからです。これから新規で契約する人は契約する手間もあり、そこまでする保険かは疑問符が付きます。
他社の自動車保険を検討したい人は、保険料を重視するならチューリッヒのスーパー自動車保険、補償内容なら東京海上日動の自動車保険あたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。