確定申告/所得税の申告の概要と仕組み(税率・控除・計算など)

会社員で確定申告が必要になるケースは6パターンある!?

確定申告は収入から経費などを差し引いた所得から、諸々の控除を差し引いた額を申告して所得税(+住民税)を納める手続きだ。サラリーマンと呼ばれる会社員は、勤め先の企業が年末調整をしてくれるため、基本的に確定申告は不要だ。ただし、たとえ会社員であっても確定申告が必要になるケースは6パターンある。

①年収2000万円以上の人(手取りで1200万円程度の人)
年収とは税金や各種控除を差し引く前の額で、源泉徴収票で支払い金額と記載されている額と考えていい。年収2000万円に届いていないつもりでも、税金諸々を差し引いて手取りで年間1200万円ぐらい受け取っていると年収2000万円になる可能性がある。手取りで1200万円となると、ボーナスなしの年俸制なら手取りの月収100万円、年2回のボーナスが各々3ヶ月分なら手取りの月収67万円ぐらいで1200万円に到達する。年収2000万円!という響きよりもハードルは低い感があるため注意したいところだ。

②1ヶ所から給与を受け取り給与以外に20万円超の所得がある人
こちらは①とは異なり、年収額に関係なく確定申告が必要になる。株式・投信等の売買益であれば特定口座(源泉徴収アリ)を選択すれば確定申告は不要だが、先物・FX・ワラントでの売買益で20万円を超えると、確定申告が必要になる(詳細は株式等と税金FX等と税金を参照)

注意したいのは、FXで11万円、ワラントで10万円で金融商品が異なった場合でも、同じ「先物取引に係る雑所得」で合算して20万円であれば確定申告が必要になる。また、一時所得で11万円、雑所得で10万円といった場合でも、給与所得以外の所得の合計額が20万円を超えているため確定申告が必要になる。

③2ヶ所以上から給与等の支払いを受けている人
正確な条件は、2ヶ所から給与を受け取っている(副業で給与を受け取っている)人で、サブの給与すなわち額が少ないほうの給与が、20万円を超えると確定申告が必要になる。この条件には②の条件も絡んでおり、仮に副業の給与が10万円であっても、FXなどで11万円の利益があり合計20万円を超えると確定申告が必要になる。

注意したいのは、給与を2ヶ所から受け取っているが、社会保険料控除・配偶者控除などを差し引いた金額が150万円以下だと確定申告は不要という例外規定がある点だ。例えば、コンビニでバイトして年間100万円の所得があり、週末だけ働く交通整理のバイトで年間30万円の所得があったとしよう。この場合、原則としては副収入の方が20万円を超えているため確定申告が必要になるが、例外として扱われて確定申告は不要とされている。

④源泉徴収の規定が適用されない給与の支払いを受けている人
所得税の源泉徴収を受けてない給与等を得ている人も確定申告が必要になる。具体例は少ないが、常時2人以下の家事使用人を雇っている雇い主からの給与や、在日外国公館からの給与、国外で支払いを受けた給与など(海外赴任の給与も参照)が該当する。

⑤災害減免法で源泉徴収の猶予を受けた人
災害減免法は火事・地震などの災害によって住宅・家財が被害を受けると、所得額に応じて所得税が25~100%免除される。かなり有利な規定だが、確定申告をすることで初めて受けられる措置となっている。

⑥同族会社の役員等
①~⑤までと比較して特殊なケースだが、同族会社の役員ないしは役員と特殊な関係にある人が、給与の他に事業資金を貸し付けた利子や資産の賃貸料を同族会社から受け取っていると確定申告が必要になる。これは同族会社内で収入・経費をグルグルと回して納税額を減らす行為を抑制するためだ。特殊な関係にある人は、役員の親族・内縁関係にある人は元より、役員からの金銭で生計を立てている人(愛人?など)が挙げられる。ちなみに、親族だったor内縁関係だったといった過去形でも該当する点に注意が必要だ。

以上が確定申告が必要になる人(会社員編)だが、どうしても確定申告が必要か迷うことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で直接確認してみたり、税理士の無料相談を利用するのも手だろう。