確定申告/所得税の申告の概要と仕組み(税率・控除・計算など)

支払調書・源泉徴収票・給与支払報告書の違いは何か!?

支払調書と源泉徴収票と給与支払報告書は、どれも何かを支払った者が税務署長か市区町村に提出しなければならない書類だ。ただ、何かを支払ったという事実は共通しているが、完全に似て非なるものだ。それでは如何なる差があるのか?

まず支払調書は、日本居住者(+法人)に利子・配当・報酬・料金等を支払った場合に、報酬等を支払った人が税務署長宛に提出しなければいけない書類だ。その中には報酬として支払った金額や源泉徴収額などが記載されている。例えば、デザイナー・フリーライターなどが報酬を受け取った場合、依頼者(クライアント)が税務署宛に提出しなければならない。

支払調書のサンプルイメージ

注意したいのは、支払調書は報酬を受け取った側(デザイナー・フリーライター)にも送られるが、あくまで確認の意味であって特に意味は無い。あくまで支払う側は税務署に提出するのが義務であって、報酬を受け取る側に支払調書を送る義務はない。

報酬を受け取る側は、支払調書で源泉徴収されている税額を確認し、1年の総所得(課税所得)を計算して確定申告し、税金に過不足があれば還付なりがあるだけだ。支払調書は参考資料にしかならない(原稿料・デザイン料は10%の税金が引かれているも参照)

一方の源泉徴収票は、同じ支払うでも料金・報酬ではなく、給与を支払った場合に税務署に提出する書類だ。正確には年間500万円以上(役員であれば150万円以上)の給与を支払った場合に提出する必要がある。支払調書と同じく支払った額(給与額)と源泉徴収額が記載されている。

最後に給与支払報告書だが、見た目・様式は源泉徴収票とほぼ同じであることが多い。源泉徴収票と異なるのは、提出先が税務署ではなく市区町村である点だ。所得には所得税と住民税が課税されるが、税務署(国税庁)が所得税を課すのに対して、自分が住む市区町村が住民税を課す。そのため、住民税のために別途で市区町村に報告をしなければならず、そのための書類といえる。

給与の支払い者(勤め先の企業)は給与支払報告書を元にして、住民税を給与から天引きして市区町村に支払う。これを特別徴収というが、その反対に自分で住民税を支払う形式を普通徴収といい、確定申告で住民税の支払方法の「自分で納付」の箇所に丸を記入すればいい。

支払報告書で注意すべきは、副業などで他に所得がある場合(株式等で特定口座を利用している場合を除く)に、普通徴収を選択しないと勤め先に住民税の徴収がいってしまう。さらに普通徴収は副業が給与・年金だと適用されないため、コンビニ・スーパーなどで土日だけ働くといった場合の給与は普通徴収は利用できない(そもそも給与を2箇所以上から受け取っていると確定申告が必要だが)点に注意が必要だ。

以上が支払調書・源泉徴収票・給与支払書についてだが、何かしらの理由で確定申告することになり迷むことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)や、税理士の無料相談を利用するのも手だ。弥生などの青色申告の計算ソフトも、手順簡略化と計算ミス予防の一助となるだろう。