確定申告/所得税の申告の概要と仕組み(税率・控除・計算など)

確定申告で税金が還付される6つのケースとは!?

確定申告は収入から経費などを差し引いた所得から、諸々の控除を差し引いた額を申告して所得税(+住民税)を納める手続きだ。ただし、以下の6つのケースにおいては、確定申告をすることによって逆に税金が還ってくる(還付される)ことがある。

①所得が少ないが原稿料・デザイン料などの所得があり源泉徴収されている場合
例えば、元デザイナーの専業主婦で元同僚に頼まれてデザインを作成し、対価として10万円を受け取ったとしよう。この場合、口座に振り込まれるのは10万円よりも10%少ない9万円となっているはずだ。これは所得税が10%差し引かれているためで、確定申告で源泉徴収された10%分の税金が還付される。1回の支払額が100万円を超えていると、源泉徴収で徴収されるのは20%(20万円)になるため、確定申告をしないと随分と損になる(原稿料・デザイン料は10%の税金が引かれているも参照)

②給与所得者が雑損控除・医療費控除・住宅ローン控除・災害減免法を受ける場合
上述の所得控除によって課税される所得額が減り、日々の給料から源泉徴収として天引きされていた税金が過納となり税金が還付される。これらの所得控除は勤め先などは関係なく、そもそも確定申告をしないと受けられない控除のため注意したい。災害減免法は課税される所得が減るのではなく所得税が直接減免されるが、同じく確定申告は必須だ。

③年の途中で退職して就職せず年末調整されなかった場合
この場合、年の途中までは給与があり所得税が源泉徴収されていたが、その年は以後の所得が無かったことになる。源泉徴収は年間の所得額に見合った額で徴収されるのだが、結果的に年間の所得額が減っているため、確定申告で所得税が還付されることになる。例えば年収600万円の想定で税金が差し引かれていたのが、年後半は所得が無かったため年収300万円だった場合などが考えられる。

④退職所得で「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合
退職所得の受給に関する申告書を退職する勤め先に提出すれば、面倒な確定申告の手続きをしなくて済む。だが、申告書を提出せずに確定申告をすることで、給与所得で引ききれなかった控除を、退職所得から差し引くことができる。それにより退職所得から源泉徴収された税金が還付される(確定申告 退職・年金編も参照)

⑤他の所得で赤字のため損益通算ができる場合
例えば、給与所得がある一方で別に事業を営んでおり、事業で赤字が発生していれば給与所得と合算することで所得が減り、給与から源泉徴収されていた税金が確定申告で還付される。注意すべきは、この手法で脱税となった会社員が何人もいた点だ。これは事業が事業の体をなしておらず、給与所得を減税させるためだけの確定申告だったためだ。そのため、事業として収益が見込めるが、単年度で赤字が発生した場合などの限定的な利用方法と考えるべきだ。

⑥予定納税しているが、前年より大きく所得が減った人
予定納税とは、納税者の負担軽減を考えて所得税の支払いを一括払いではなく、前年度の税額をベースに分割払いできる制度だ。ただ、前年度に比べて当年度の所得が大きく減った場合には予定納税していた税金は過度な税金納付ということになる。そのため、確定申告で税金が還付されることになる。逆に当年度の所得が前年度よりも大きくなれば、確定申告で予定納税した税額にプラスαで税金を支払うことになる。

以上が確定申告で税金が還付される6つのケースだが、確定申告が必要か否か、確定申告で税還付があるのか迷うことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で直接確認してみたり、税理士の無料相談を利用するのも手だろう。