財形貯蓄と税金

財形のメリット・デメリットと税金を解説!

財形(財形貯蓄)は、勤務先が提携している金融機関に毎月の給料やボーナスが天引きされて積み立てる金融商品だ。財形といっても一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄など、いくつかの種類があり、各々メリット・デメリット・課税関係が異なる。

まず一般財形貯蓄だが、これは原則として3年以上の積立期間となっており、いくら預けても何の目的で貯めて使おうと問題はない。限りなく銀行での積立(定期積金)に近いものの、引き出し(払い出し)は自由で自由度は高い。また、金融機関によって差はあれど金利が年利0.1%は付いてくるが、源泉徴収として利子収入のうちの約20%が受け取る前に差し引かれる。確定申告などは不要だが税金が有利ということはない。また、勤務先を経由して積み立てるため転職したら解約になり引き出されるが、転職先に財形の仕組みがあれば移管できる。

デメリットとしては定期積金・定期預金よりは高金利だが、国債・地方債・社債よりも金利は低い点がある。そのため一定額が貯まったなら移して、ほぼ元本保証で利子の高さを追求した方が効率的だ。また、引き出しが自由といえど預け入れから1年が経過していないと、全額または一部が引き出せない。突如として資金が必要となった場合を考えると、デメリットといえなくもない。

一般貯蓄財形・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の比較表(年齢・積立方法・積立期間・目的用途・金利・払い出し・中途解約・税金・税率)

次いで財形住宅貯蓄だが、その名の通りマイホームの取得が目的の財形で、一般財形貯蓄よりも制限が厳しい。まず年齢が55歳未満に制限され、積立期間も5年以上となっている。さらに積立中断するには2年未満である必要があり、それ以上が経過すると基本的に中途解約ができない。もちろん、住宅取得が早まってしまったなら中途解約ができる。

それでは、これだけの制約がありながら得られるメリットは何か? 最大のメリットは利息込みの元金が550万円までは非課税となる点だ。仮に年利0.1%で300万円まで貯まっている場合、利息が年間3000円は入ってくる。一般財形だと600円は税金で徴収されるが、それが免除される。たかが3000円と侮るなかれ、残りの550万円まで貯めるのに5年を要すれば非課税額は単純計算で15000円、元金増と複利を踏まえれば15000円超は確実だ。

しかし、住宅以外の用途で払い出されると、遡って約20%の税金が課税されるため注意が必要だ。仮に住宅が目的だとしても床面積が基準に該当しなかったり、所定の書類を期限内に提出しなければ同じく遡って課税されるため注意が必要だ。

最後に財形年金貯蓄は、財形住宅貯蓄の目的が年金に変わったものだ。年齢は55歳未満・5年以上の積立期間・550万円までは非課税で年金以外の用途だとペナルティが発生と、財形住宅貯蓄と非常に似ている。そして、積み立てたお金は自分が望む年齢から5~20年のうち設定した期間受け取れる。例えば600万円が貯まった場合、60歳から毎年120万円(毎月10万円)を5年間受け取るといった具合だ。退職から年金受け取りが開始する65歳までの、空白の5年を埋めたい人に向いている受け取り方法だ。65歳まで働くなら、75歳まで毎年60万円(毎月5万円)を10年間受け取って公的年金の補完にする手もある。

以上が財形のメリット・デメリットだが、何より非課税枠が財形の最大のメリットで、金利が低いのと財形住宅・年金だと条件が厳しいのがデメリットといえよう。課される税金は源泉徴収で事前に徴収されるため手間取らないが、他の所得で確定申告が必要で不安があるなら、税理士の無料相談や自治体主催の無料の税金相談会を利用するのも手だ。