不動産の証券化と証券化投資

Jリートのメリットとデメリットを抑えることが重要!?

Jリートは不動産に投資する手法の1つで、不動産そのものに投資する現物投資や投資資金を小口化した小口化投資とは異なり、不動産を証券化した証券化投資の1つとしてカテゴライズされる。それではJリートには如何なるメリットがあり、如何なるデメリットが潜んでいるのか?

まず、メリットとしては「少額での投資」が挙げられる。上場Jリートであれば10万円程度から、投資信託であれば1万円から投資ができる。少額投資そのものにメリットはなく、少額投資によって分散投資ができるのがメリットといえる。預金だけの人も少額ながら資産増加の1つの手として利用でき、既に株式・債券に投資している人は不動産に投資してリスク分散ができる。また、さらに細かい分散投資の意味もあり、オフィス中心のリート、賃貸マンション中心のリート、商業施設が中心のリートと分けていけば、現物投資では考えられない不動産投資の中での分散投資が可能になる。

ただ、注意したいのは分散投資をしてもブラックマンデーやリーマンショックといった経済危機・金融危機では、証券として株価と同じように下落するということだ。これはメリットに相対するデメリットといえる。分散投資による価格の相関性の低減を狙うなら、Jリートではなく貴金属(金やプラチナ)や穀物(コーンや大豆)への投資も考える必要がある。

また、Jリートの仕組みでも記述したように、投資家は利益を受け取るだけで、不動産については不動産会社・外部委託の専門企業が行うため、現物投資のような賃貸管理に伴う手間は一切要しない。投資に対する手間を省けるというメリットがあるわけだが、その反面、後述する価格変動リスクに対しての手間(経済情勢に神経を削ぐ)が発生する。必ずしも不動産へ現物投資するよりも手間が純減するわけではない点は忘れずにおきたい。

Jリートの仕組み(投資法人・不動産・外部委託会社・金融機関・投資家の相関関係)

さらに、Jリートで証券取引所に上場しているものは株式と同様に売買が可能で、現物不動産のように買い手を募集したりする必要が無い。つまりは流動性が高く、いつでも買えて売れるメリットがあるといえる。ただし、価格変動が激しく、株式との値動きの相関性ガ高い点がネックとなる。現物の不動産が値下がりしていないと思われるときも、経済情勢次第でJリートの価格は値下がりする。そのため、いつでも売買できるとはいえ、タイミングを見誤れば損失になる可能性がある。

Jリートに限らないが、不動産投資にはインフレ対策になるというメリットも挙げられる。インフレによって通貨の価値が年々下落すると、預金の価値は目減りすることになる。極端な話し、1万円の貯金で100個買えたキャベツが、10年後に90個しか買えなくなるようなものだ。他方でインフレによって不動産価格は上昇し、賃料も上昇することが多いためインフレに備えられる。とはいえインフレでなくスタグフレーションでの物価上昇だと物件によっては空室率の上昇が懸念される。他方で不動産投資のデメリットとして、天災で不動産が滅失すると利益が出なくなる(分配金)が無くなるデメリットもある。当然ながら個人よりも豊富な保険を掛けているだろうが、それでも万全とは言い難い。

また、Jリートの純然たるデメリットとして現物投資・小口化投資のように相続税の軽減が無い点がある。たとえ含み損があるとしても相続の際には資産としてカウントされる。分配金には株式の配当と同じく所得税が課税される点も見逃せない。以上を一覧にまとめると下図のようになる。

Jリートの特性ごとのメリットとデメリット

以上がJリートのメリット・デメリットだが、メリットに反してデメリットも存在するため一元的に特性をメリットと考えない方が賢明だ。また、海外のリートに投資する場合には、為替リスク(円安でプラス・円高でマイナス)がある点も注意したい。もしも、どの方法による不動産投資が妥当か迷っているなら、ネットや書籍だけでなくFP・銀行・証券会社などの専門家への相談や、都道府県主催の不動産相談会(不動産投資セミナー)や相続相談会なども利用するのも1つの手だ。