住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)と税金
住宅ローンを組んでいる人は住宅ローン控除で節税を!
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン等を利用して自分の居住用の住宅を新築・取得・増改築した場合に利用できる節税方法だ。住宅ローンの年末段階での残高の1%分を所得税から控除できる税額控除だ。噛み砕いた言い方をすれば、普段の給料から天引きされている所得税が、住宅ローンの残高の1%分を限度に返ってくる(還付される)節税方法と考えればいい(税額控除って何?も参照)
会社員の場合、税金に関しては年末調整で申告書に記載して、配偶者控除・保険料控除などをすれば済む。しかし、住宅ローン控除を利用するには年末調整だけでなく、確定申告が必要になる。面倒に感じてやめるのも手だが、単純計算で年収700万円で3000万円の住宅ローンを組んでいれば、25~30万円ほどの税金の還付が10年間受けられる。確定申告の税還付は1~3月のボーナスの無い時期にあり、税還付が楽しみの1つになる可能性すらある。
さて、住宅ローン控除についてだが、住宅ローン等と記載されているものの実際には住宅ローンでしか利用できないと考えていい。また、新しく家を建てたのなら新築となるが、中古住宅を取得した場合や、既に建てた家を増改築する場合に住宅ローンを組んだ場合も、住宅ローン控除は利用できる。また、勤務先の銀行でのローンやフラット35などの住宅金融支援機構や社内融資などでも利用できる。ただし、住宅ローンの期間は10年以上である必要がある。
住宅ローン控除を利用する条件は他にもあり、それは控除の対象とされる住宅にも及ぶ。まずは新築・取得した日から6ヶ月以内に居住を開始し、居住日から12/31まで住んでいることが必要となる。他にも細かい条件は多々あり新築・既存(中古)・増改築で条件が異なる。下図の住宅に対する条件の一覧を参照してほしい。

かなり当たり前の条件(既存で使用されたことがある住居など)もあるが、その中でも注意すべきは、既存住宅の条件では、耐火建築物は取得の日以前から25年以内に建築されたものであること、耐火建築物以外だと20年以内という条件が挙げられる。かなり古い建物だがリノベーションして中古物件として売り出された物件など、25年以内という条件をクリアできない可能性があるため注意が必要だ。
また、住宅ローン控除を受ける人は総所得額が3000万円以下、居住用でなくなったら住宅ローン控除は以後は受けられないといった注意点もある。さらに他の住宅に関する控除を利用していると住宅ローン控除は受けられない。ただ、居住用財産を譲渡した時の軽減税率など、譲渡・買い替え・交換が多いため、この点はあまり気にする必要はない。
かなり条件が長くなったが、住宅ローン控除の中身は条件をクリアすることに匹敵する節税効果がある。控除額は前述したように、年末時点での住宅ローンの残高に控除率1%を掛けた額が控除額となる。ただし、2014~2019年までは年末残高が4000万円以下が限度とされており、住宅ローン残高が5000万円以上だと1000万円は無視される。4000万円なら10年かけて約400万円の節税(税の還付)が受けられることになる。もちろん、ローン残高は年々減少するため丸々400万円が還付されるわけではないが。
以上が住宅ローン控除についてだが、常に廃止が迫っていることを忘れずにおきたい。今のところ2019年(平成31年)までは継続が決定しているが、それ以後については継続するかは決定していない。もしも数年後には一軒家かマンションを購入したいと考えている人は、少なくとも2019年までには目星を付けておいた方がいい。2017年の消費増税も考えれば、増税前に購入するか、増税後の不動産市場が冷え込んで価格が下落したタイミングを狙って購入するというのもありかもしれない。また、確定申告については住宅ローン控除単体であれば難しくはないが、もしも不安があるようなら無料の税理士相談や、自治体主催の無料の税金セミナーなどを利用するのも手だ。