かんぽ生命 新ながいきくん(ばらんす型 2倍)/ 終身保険の返戻率・利回り・保険料・保障を評価 レビュー
- オススメ度:
- 保険会社:
- かんぽ生命
- 名称:
- 新ながいきくん(ばらんす型 2倍)
- 契約年齢:
- 20~60歳
- 返戻率:
- 114.7% ※30歳契約
- 利回り:
- 0.30%
- 特徴:
- 必要な時までしっかり保障。老後の保障を2分の1に抑え保険料もお手頃に
かんぽ生命 新ながいきくん(ばらんす型 2倍)は2倍というより2分の1!
※この記事は2014年当時に執筆した記事です。最新の2019年版については「新ながいきくん(定額型)」か「新ながいきくん(ばらんす型 5倍)」か「新ながいきくん(おたのしみ型)」を閲覧して下さい。
新ながいきくん(ばらんす型 2倍)はかんぽ生命の終身保険で、郵便局などで募集・販売されている。2倍型ではなく定額型・5倍型・おたのしみ型もある。定額型は死亡保険金が定額、2倍・5倍は保険料の払い込み期間中の死亡保険金が2倍・5倍になり、おたのしみ型は一時金がある。以下、新ながいきくん(ばらんす型 2倍)の概要を記載し他社の終身保険と比較する。
この保険は他社のスタンダードな終身保険と異なり、保険料の払い込み完了を境に死亡保険金の金額が変動する特徴を持つ。これが2倍という名称の由来であり、保険料の払い込んでいる最中は、払い込み完了後の死亡保険金の2倍受け取れる。例えば、30歳時に1,000万円の60歳で払い込み完了で契約すると、60歳までに死亡すれば1,000万円で、60歳以降に死亡すれば500万円になるという仕組みだ。ただし、基本的に60歳以降で死亡する可能性の方が高いことを考えれば、2倍というよりは2分の1と言った方が正確かもしれない。
また、倍額保障という事故で死亡すると保険金が上乗せされる保障がある。他社では事故と災害を同一にして保険金を2倍にしている点を考えれば、かんぽ生命のように災害での死亡は、災害特約がなければ保険金の上乗せが無い点はイマイチといえる。さらに入院費・治療費をカバーする「かんぽ生命 入院特約 その日から」があるが、日帰り手術や通院治療が対象外となり、特約を付加すると保険料も上昇するため、付加するのはオススメできない。
次に下図では各社の終身保険を、加入できる年齢・選択できる保険料の払い込み完了時期で比較し、さらに死亡保険金の増減・5年ごと利差配当の有無・付加できる特約などで比較した。参考までに苦情率(苦情数÷契約数 ※生命保険協会公表)を算出し、自分が苦情を言う可能性があるかも考慮した。
さらに1,000万円(一部は500万円)契約した場合の保険料と、支払った保険料が何%で戻るかを示す「返戻率」を比較した。解約返戻金で利益を出すなら低解約返戻金型が妥当なため、今回は死亡保険金と保険料から返戻率を算出した。契約者は30・40・50歳に分け、保険料の払込完了を60歳とした。また、他の金融商品(定期預金・国債・社債など)より得かを計るため、40歳契約で平均寿命の80歳で死亡保険金を受け取った場合の利回り(保険料を何%で運用したか)でお得さを比較した。
名称 | かんぽ ながいき |
かんぽ 2倍 |
住友生命 終身 |
ソニー 有期払込 |
アフラック 終身 |
ジブラルタ 終身 |
AIG富士 終身 |
オリックス 終身 |
コープ共済 ずっと |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
契約年齢 | 20~65歳 | 20~60歳 | 15~70歳 | 0~85歳 | 3~80歳 | 20~50歳 | 6~75歳 | 0~70歳 | 0~70歳 |
払込年齢 | 60~75歳 | 60~70歳 | 55~70歳 | 3年~ | 60~70歳 | 5歳刻み | 10年以上 | 5歳刻み | 60~70歳 |
保険金 増減 |
一定 | 2倍 ※1/2 |
一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 |
5年ごと 利差配当 |
○ | ○ | ○ | - | - | - | - | - | - |
特約 | 災害/傷害 疾病 |
災害/傷害 疾病 |
沢山 | 沢山 | - | 死亡/介護 年金 |
災害/傷害 三大疾病 |
災害/傷害 リビング |
リビング |
苦情率 | 0.64% | 0.64% | 0.83% | 0.57% | 1.08% | 1.35% | 0.24% | 0.42% | - |
保険料 返戻率 30歳 |
\21,100 131.6% |
\12,100 114.7% |
\23,630 117.5% |
\19,620 141.5% |
\7,810※ 106.7% |
\21,940 126.6% |
\10,695※ 129.8% |
\21,760 127.6% |
\21,200 131.0% |
保険料 返戻率 40歳 |
\33,000 126.2% |
\18,600 112.0% |
\30,410 109.6% |
\31,260 133.2% |
\10,070※ 103.4% |
\34,090 122.2% |
\16,760※ 124.3% |
\33,800 123.2% |
\33,500 124.3% |
保険料 返戻率 50歳 |
\67,500 123.4% |
\36,700 113.5% |
\41,090 101.4% |
- | \13,625※ 101.9% |
\72,370 115.1% |
\34,435※ 121.0% |
\70,250 118.6% |
\69,800 119.3% |
利回り | 0.66% | 0.30% | 0.24% | 0.83% | 0.09% | 0.56% | 0.58% | 0.58% | 0.61% |
上図で左から2番目のかんぽ生命 新ながいきくん(ばらんす型 2倍)だが、契約できる上限年齢は定額型よりも低い60歳で、これは他社よりも低い。併せて保険料の払い込み完了の年齢も75歳が存在しないため併せて注意したい。また、前述した通り他社のように死亡保険金が一定ではなく、年齢(保険料の払い込み年齢)を境に減額される。5年ごと利差配当がある点はプラスで、返戻率で差がある他社との差を埋める可能性も無くはない。
保険料は他社と比較して安いが、お得さを表す返戻率は他社と比較して低い部類に入り、定額型と比較しても大きく落ちる。上図の数字はあくまで60歳以降(80歳)で死亡した場合のため、60歳前に死亡すれば返戻率は高くなるとも考えられる。ただし、それでは長生きするほどに損をすることになり、保険として如何なものか。。。また、利回りに換算すると定期預金・個人向け国債などに近い数字で微妙なところだ。
結論としては、保険料は安いが返戻率が低いため特にオススメしない保険だ。仮に保険料の払い込み完了を最長の70歳にするという手もあるが、また、70歳まで保険料を負担するというのは年金が主力となる老後生活の家計を考えれば得策とはいえない。そもそも一定期間だけ手厚い保障が欲しいなら終身保険に定期保険を追加すればいいだけだ。返戻率を追求するにしても、何らかの利便性を求めるにしても、この保険には出番が無さそうだ。