各所得の概要と課税額の計算(税率・控除・非課税制度等)
不動産所得と他所得との区分と計算方法とは!?
不動産所得とは不動産・不動産の権利による所得で、この不動産の中には土地・建物以外にも船舶・航空機なども含まれ、これらの貸付による所得も不動産所得になる。それでは、不動産所得とは具体的に何が該当するのか? そして、どのようにして不動産所得は計算されるのか?
まず不動産所得に含まれるものには、不動産を貸し付けによる賃貸料、建物を賃貸する場合の権利金などが、一般的にもよく知られている。後者の権利金には、礼金・名義書換料などが該当する。敷金については、返還しないことが確定した時点で所得とカウントされる。また、借地権の更新料も不動産所得となる他、不動産の一部を広告(看板など)のために貸し付けた場合の対価も不動産所得となる。
注意したいのは、土地を賃貸する場合の権利金、下宿・駐車場等の所得、土地信託の信託配当の3つだ。まず「土地を賃貸する場合の権利金」だが、前述したように借地権・地役権の対価として受け取る金銭は一般的には不動産所得となる。ただし、その金額が土地の価格の2分の1を超えるようだと譲渡所得として課税される。これは借地権とはいえ実質は土地の売却に近いとみなされるためだろう。ちなみに、この借地権が営利目的であれば事業所得ないしは雑所得となるため注意が必要だ。
下宿・駐車場等については、別ページの不動産所得でも記述したように、食事の提供や駐車場の駐車料、従業員に自社の宿舎を提供した場合などは不動産所得はならない。
そして土地信託についてだが、これは不動産カテゴリの配当所得でも記載したが、土地信託の配当金という名称であっても配当所得ではない。土地信託は土地の所有者が、信託会社・信託銀行に土地を預けて運用してもらう金融商品だ。信託会社・信託銀行が土地を第三者に賃貸して賃貸収入を得れば、その利益の一部を配当として受け取る。この場合、実質は信託会社・信託銀行を介しているとはいえ、ほぼ土地所有者が土地を賃貸しているといえるため不動産所得になる。
次に不動産所得の金額の計算方法だが、その年の不動産による収入から必要経費を差し引いた額が不動産所得となる。
総収入の箇所は前述した内容が該当し、必要経費には建物の取得費・減価償却費の他に、総収入を得るために直接要した費用が必要経費となる(不動産カテゴリの必要経費も参照)その際には、5棟1室基準で事業的規模か否かによって必要経費に算入できる費用・範囲が異なるため注意が必要だ。
以上が不動産所得と計算式についてだが、特に不動産所得の収入になるか否かは前述の3点さえ抑えておけば問題ないだろう。経費については経費に算入できる項目か、さらに事業的規模か否かさえクリアできれば確定申告でも悩む・迷うことはないだろう。それでも、税金や確定申告で悩む・迷うことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも1つの手だ。