不動産の有効活用と賃貸借

資金調達なしで土地活用できる等価交換方式とは!?

土地活用を検討するうえでは、土地に建物を建築して賃貸に回して収益性を発生させるのが手っ取り早い。その際に最もベーシックな方法が自己建設方式事業受託方式だが、それ以外にも等価交換方式という手もある。それでは、どのような仕組みで収益をあげ、如何なるメリット・デメリットがあるのか?

まず等価交換方式では幾つかのパターンがあるが、最もベーシックな部分譲渡方式を主にして記述していく。

さて仕組みについてだが、基本的には土地所有者とデベロッパーによる土地活用法で、土地所有者は土地を、デベロッパーは土地の上に建てるマンションの建築費を出資して、共同でマンションを建築する。その際に、土地の一部と建物の一部の権利(所有権)は等価で交換される。つまりは、土地所有者は土地の一部の所有権をデベロッパーに渡して、代わりに建物の一部の所有権を得るということだ。下図のようなイメージとなる。

等価交換方式の仕組み及び土地所有者・デベロッパーの所有分と比率

名称に等価交換とあるように、建物と土地で交換する所有分は等価でなければならない。仮に4億円の土地に6億円の賃貸マンションを建て、総事業費が10億円のプランだとしよう。その場合、土地所有者は4億÷10億=0.4となり、事業(土地・建物)の40%分を保有することになる。他方のデベロッパーは6億÷10億=0.6となり、土地・建物の60%分を保有することになる。結果として土地の60%(4億×0.6=2.4億円)と建物の40%(6億×0.4=2.4億円)を交換したことになる。もちろん、土地と建物の建設費の額が逆転すれば、その保有比率は逆転することになる。

この等価交換方式による土地所有者のメリットは、まずは借入金資金負担(資金調達)ないしは手元資金が不要という点が大きい。さらには個人で建物を建設する場合と比較して、デベロッパーのノウハウも利用でき、かつ事業に伴う煩雑な作業をデベロッパーに任せられるのも大きなメリットだ。もちろん、自己建設方式などと同じく、相続するのが単なる自用地ではなく貸家・貸家付き敷地となるため相続税の評価額が減額され、相続税対策の一環となる。

さらに所有地に住んでいる場合、土地を売却すれば他の土地への転居が必要になるが、等価交換なら建てたマンションに住むことができる。また、土地を部分的に売却した場合には建物を売ることで部分売却と同等の対価が得られる。極端な話し、小額であればマンションの一室を売却して資金を捻出することもできる。

ただし、この換金性・譲渡性という面ではデメリットもある。それは土地の用途の転用が制限される点にある。土地を売却して他の用途(駐車場など)に転用しようとしても、土地の上の建物があり困難で、土地は共有物のためデベロッパーの了承もいる。さらに、大規模な建物のため土地所有者が複数に跨ることもあるが、その場合には更に複雑さを増すことになる。

以上が等価交換方式の仕組みとメリット・デメリットだが、そもそもデベロッパーが乗り出してくるような土地でなければならない点は忘れずにおきたい。また、土地活用で何か不安・疑問があるならネット・本だけでなく、ファイナンシャルプランナーや銀行や不動産会社、各都道府県が主催する無料の不動産投資セミナー・相談会なども利用して専門家の意見を仰ぐのも1つの手だ。