不動産の有効活用と賃貸借

事業計画・資金調達が面倒でないなら自己建設方式!?

土地活用においては、基本的に売却するか土地の収益性を最大化するかの2つの考え方が存在する。どちらを選択するかは、各々が置かれた状況(資産構成・地価や周辺の動向・相続など)によって異なる。ただ、売却すると単純に収益を得る機会の損失になるため、収益性を追求する人が多い。また、土地活用によって相続対策・固定資産税の軽減になる場合もあり、土地の収益性の向上を目指す人が多い。ただし、土地活用を考えるうえでは、如何なる建物を建てるか云々の前に、どういった方式で事業として成立させるかが最初の分岐点になる。

土地活用でのベーシックな事業方式に、自己建設方式と事業受託方式がある(詳細は一覧比較を参照)。そのうち自己建設方式は、事業計画・資金調達を自分で行うことになるが、賃貸アパート・マンションであれば、自分で行うことも比較的容易なため自己建設方式でも十分だ。また、事業受託方式の場合は事業受託者(デベロッパー)に利益の一定分を持っていかれるため、自己建設方式で収益の最大化を図るのは理に適っている。それでは、自己建設方式の仕組みは如何なるものなのか?

自己建築方式の仕組み(テナント・建設会社・土地の所有者・金融機関の相関関係)

上図は自己建設方式のイメージだが、土地所有者を中心になっているのが分かる。順番としては建設会社(+建築士)と建物の利用用途と費用を固めつつ、銀行などの金融機関と資金計画を詰めていくことになる。そしてテナントの募集・建物の明け渡し・借入金を受けて、賃料収入を得ながら、利息・元金の返済をしていくことになる。この流れとは別に、不動産管理会社を利用して、テナント募集や日々の清掃業務を委託することもあるだろう。

全てが土地オーナーの主導となるため、建設会社・金融機関(+不動産管理会社)の選定から、建設会社との建設計画、金融機関との折衝(資金調達計画・返済計画など)を準備することになる。相当の手間を要するが、前述したようにテナントとの間に第三者を介在しない分だけ、賃料収入による収益は最大化できる。本業として不動産経営・土地活用を考えているなら今後のノウハウの蓄積のためにも、自己建設方式が妥当だ。

その反面、他に本業があったり、事業計画・資金調達が煩雑だと思うなら、事業受託方式でデベロッパーを介した方が賢明だ。ただ、土地が狭ければ借家・アパートを建てる(建設費に対して対価が見合うか?)か駐車場にする程度しか利用法がなく、優秀なデベロッパーが土地活用法を自主的に提案してくることも無い。また、結果的に建設費だけが負担になり、ろくな賃料収入が得られない可能性も考慮すべきだ。

以上が自己建設方式での土地活用だが、ケースバイケースで土地の有効活用(収益を得る)ことは諦めて、売却するというのも1つの手だ。どうしても土地活用による不動産経営を考えているなら、その売却代金で他の土地か建物のみを購入するという手もある。ファイナンシャルプランナーや、各都道府県が主催する無料の不動産投資セミナー・相談会なども利用しつつ、自分に合った有効な方法を探すのが結果的に最高の土地活用方法となるだろう。