アクサ生命 スマート・ケア ウィズユーを比較・評価

アクサ生命 スマート・ケア ウィズユー
オススメ度:
1
保険会社:
アクサ生命
名称:
スマート・ケア ウィズユー
加入年齢:
20~80歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等
特徴:
入院・手術を一生涯保障します

スマート・ケア ウィズユー(スマート・ケア with You)は2018年8月からアクサ生命が募集・販売している持病・既往歴がある人向けの医療保険です。それまでのOKメディカルという医療保険には無かった3つの特約が付加できるようになりました。

ちなみにアクサダイレクト生命保険の「はいりやすい医療」という医療保険もありますが、保障内容が大きく異なるため注意が必要です。今回はスマートケアウィズユーの保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の引受基準緩和型(限定告知型)の医療保険と比較していきます。

告知・保障内容

医療保険は通常は告知項目が7~8項目はありますが、この保険は3つの告知項目で済みます。告知項目の数だけではなく内容についても緩和されており、過去に病気になっていても加入しやすくなっています。

アクサ生命 スマート・ケア ウィズユーの告知項目(出典:アクサ生命 スマート・ケア ウィズユー公式HP)

3つの告知項目をみていくと、まずは「2年内に病気で入院・手術をしたか」という項目があります。通常の医療保険は「5年内に入院・手術をしたか」となっており、入院・手術が3年前であれば加入できるよう緩和されています。「現在、がん等で医師の診察等を受けたか」も通常は「2年内に~」のため緩和されています。さすがに「3ヶ月以内の診察・入院・手術」は通常の医療保険と同じですが、加入の条件が緩いのは確かです。

告知が緩くなったとはいえ、保障内容は通常の医療保険と比較しても遜色ありません。入院すれば入院日数に応じて入院給付金が受け取れ、手術をすれば手術給付金が受け取れます。先進医療を受ければ、技術料に対して先進医療給付金が受け取れ、療養費として先進医療一時金が受け取れます。

アクサ生命 スマート・ケア ウィズユーの保障内容(出典:アクサ生命プレスリリース20180710「スマート・ケア with Youを新発売」)

リニューアルして新設されたのが入院治療一時金・手術補完給付金・3大疾病保険料免除の3つの特約です。入院治療一時金は入院給付金とは別に、1回の入院ごとに受け取れる給付金です。手術補完給付金は手術給付金で対象とならない手術を受けても受け取れる給付金です。最後の3大疾病免除特約はがん・心筋梗塞・脳卒中になると、それ以後の保険料の支払いが免除される特約です。

高度障害で保険料が免除される特約もありますが、高度障害より三大疾病になる可能性の方が高いでしょう。さらに限定告知型終身保険特約もあります。この特約は病気・ケガで死亡すると死亡保険金が受け取れます。医療保険と同時に加入できるため、他の保険に加入するために再度の告知や申込をする必要がありません。

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保険料・返戻率を他社と比較

この保険は30歳で入院日額5000円で手術給付金・先進医療があるライトプランだと、保険料は月額3054円となります。入院一時金を付加したスタンダードプランなら保険料は月額4154円となります。仮に30歳で契約して50歳でがんになったとします。17日間の入院(厚労省 患者調査のがんの平均入院日数)と手術をすると、入院給付金8.5万円と手術給付金の5万円で計13.5万円が受け取れます。

30~50歳までの20年間で支払った保険料は73.2万円となるため、返戻率にすると18%と極めて低い数字になります。40歳でがんになり50歳で再発しても返戻率は36%のため数字が低い点は変わりませんが、三大疾病保険料免除特約を付加していれば話は別です。40歳で保険料が免除されるため、支払った保険料の36万円に対して2回の入院・手術で27万円が受け取れ返戻率は75%に上昇します。

また、先進医療を受ければ1回あたり数百万円の治療費となるため、当然ながら返戻率は軽く100%を超えてきます。その一方で他社の引受基準緩和型の医療保険と比較して、この保険の保険料は高いのでしょうか。下図で他社の医療保険と保険料等で一覧表で比較しました。

引受基準緩和型医療保険の苦情率・30歳と40歳と50歳の保険料の比較一覧表(SOMPOひまわり生命・FWD生命・ネオファースト生命・メディケア生命・はなさく生命・アフラック・アクサダイレクト生命・オリックス生命・太陽生命・楽天生命・アクサ生命・明治安田生命・AIG損保・メットライフ生命・JA共済・なないろ生命・東京海上日動あんしん生命・大樹生命・Chunn損保・住友生命・朝日生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、僅かに他社の医療保険の保険料よりも高いのが分かります。他社には同じ保障内容で30歳だと保険料が2000円台の保険が散見されます。同じアクサのアクサダイレクトも2000円台、オリックス生命・楽天生命等も2000円台です。

30歳なら数百円の差ですが、50歳になると他社との保険料の差は1000円以上に広がります。この保険のメリットについては後述しますが、そこで決定的な要因が見つからないようなら、単に保険料が割高な保険となりそうです。

メリット

この保険のメリットには、まずは告知内容が緩和されている点が挙げられます。既往歴や持病によって通常の医療保険に加入できない人でも加入できる可能性があります。この点は他社も同様ですが、この保険は告知項目に5年内の項目が無いのが特徴です。

引受基準緩和型医療保険の現在・過去3ヶ月・過去2年・過去5年についての告知項目の比較一覧表(SOMPOひまわり生命・FWD生命・ネオファースト生命・メディケア生命・はなさく生命・アフラック・アクサダイレクト生命・オリックス生命・太陽生命・楽天生命・アクサ生命・明治安田生命・AIG損保・メットライフ生命・JA共済・なないろ生命・東京海上日動あんしん生命・大樹生命・Chunn損保・住友生命・朝日生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

通常の引受基準緩和型の医療保険は現在・3ヶ月以内・2年内に加えて、過去5年内に「がん等の治療を受けたか?」ないしは「入院・手術をしたか?」という項目があります。この保険には過去5年内の告知項目がなく、過去2年内に「入院・手術を受けたか?」が最長です。

そのため3~4年前にがん等になり現在は完治している人でも加入でき、非常に大きいメリットといえます。がんの再発が気になる人からすると、入院・手術した2年後から加入できれば金銭的な不安を払拭できます。

また、限定告知型3大疾病保険料払込免除特約が付加できるのもメリットです。他社の医療保険では三大疾病になると保険料が免除される特約が付加できないケースもあるからです。この特約は保険料の項目で既述したように返戻率が高まるポイントで利用価値があります。ただ、告知項目が追加される点に注意が必要です。

アクサ生命 スマート・ケア ウィズユーで3大疾病保険料払込免除特約を付加する場合の別途告知の内容(出典:アクサ生命 スマート・ケア ウィズユー公式HP)

その告知項目は2年内に「がん・心疾患・脳卒中・ポリープ・不整脈等で診察・治療を受けたか?」というものです。2年内という条件は従来の告知項目と同じですが、診察・検査・投薬も含まれる点が異なります。そのため2年内に入院・手術をせずとも診察・投薬を受けただけでも特約は付加できません。とはいえ2年内という条件は緩いため厳しい条件とは言い難いです。

さらに死亡時に保険金が受け取れる限定告知型終身保険特約もメリットです。告知を1回で済ませられ、加入の手間を省けます。死亡時の保障があれば治療費だけではなく、万一死亡した場合の遺族の生活費にも備えられます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは前述したように保険料が他社より高い点です。メリットとして5年内の告知等を挙げましたが、保険料の高さに見合うメリットだと感じなければ保険料は割高といえます。告知についていえば、そもそも5年前に完治している人にとっては無関係ともいえます。

手術給付金の対象となるのが約款に定められた88種類の手術に限られる点もデメリットです。一応、手術の種類が1000種まで増加する手術補完給付特約がありますが、特約を付加することで保険料が上昇します。他社では特約なしでも1000種の手術をカバーするものが大半です。

さらに三大疾病払込免除特約は2年内の治療等のため年数としては緩いのですが、病気が幅広いのが気がかりです。2年内の三大疾病に加えてポリープ、不整脈といった一般的には命に関わるとはいえない病気まで対象となっています。さらに特約を付加すれば保険料が一段と上昇します。ただでさえ他社の保険よりも高めの保険料が一段と高くなるなら、必ずしもメリットといえない感もあります。

また、支払削減期間があるのもデメリットです。加入から1年間は給付金の対象となる入院等をしても受け取れる金額は半額になります。多くの他社の医療保険も同様の削減期間ですが、加入から90日間は対象外とする保険もあります。ネオファースト生命に至っては削減期間なしを謳っています。

アクサ生命 スマート・ケア ウィズユーの支払削減期間(出典:アクサ生命 スマート・ケア ウィズユー公式HP)

評判・苦情

アクサ生命の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、医療保険を含む個人保険全体の新契約件数は43.9万件で、前年度比100%と横ばいでした。保有契約高でも入院保障の保険は前年度比でほぼ横ばいでした。契約件数から考えると、評判は普通か少なくとも悪くはないでしょう。

生命保険協会の苦情数のデータでは、アクサ生命全体に寄せられている苦情数は1.1万件(2021年度第3四半期実績)で、総顧客数の274万件で割った苦情率は0.42%です。1000契約のうち4.2件で苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.2~0.3%台が多いため、苦情数は多めのため評判は良くはないと考えられます。

契約数・苦情数ではどっちつかずですが、調査会社のJ.D.パワーの「2022年 生命保険契約満足度調査」では、アクサ生命は22社中で9位と悪くありません。部門平均も上回っているため、業界内では平均的な満足度ともいえます。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としており、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。

JDパワー 2022年生命保険契約満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

さらにオリコンの2022年の医療保険ランキング(8000人対象の調査)でも、25社中で9位と中位に位置します。この調査は、加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額とスピードの5つが評価項目です。どれも平均的な数字ですが、アフターフォローの評価が特に低いのが気がかりです。

また、30人のFP(ファイナンシャル・プランナー)を調査対象にしたオリコンの「引受基準緩和型医療保険ランキング2021」ではアクサ生命のスマートケア・ウィズユーは10位と最下位です。この調査では保険料・保障内容の独自性・商品内容の充実度が評価項目となっています。

オリコン 引受基準緩和型医療保険総合ランキング 2022年(出典:オリコン公式HP)

以上のデータから考えると、アクサ生命全体の評判は普通か悪くないといえます。ただ、保険の加入後の対応については一抹の不安がありそうです。スマートケア・ウィズユーについては、契約件数から考えると悪くなさそうですが、専門家から見ると評価は低めです。保障内容は他社に劣るものの、アクサの営業員が頑張っているだけとも取れます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アクサ生命のスマートケア・ウィズユーはあまりオススメできません。病気が完治してから5年経過していない人には魅力的かもしれませんが、それだけです。今現在で完治から2年が経過しているなら、残り3年待てば他社の医療保険も検討できます。

残り3年待てる人ないしは5年内の病気で該当しない人は、この保険以外の医療保険も検討すべきでしょう。保険料の安さならネオファースト生命・メディケア生命あたりが候補になります。充実した保障内容を求めるならメットライフ・アフラックあたりが候補になります。メットライフなら認知症までカバーできます。