各所得の概要と課税額の計算(税率・控除・非課税制度等)
譲渡で利益を得ても非課税になる譲渡所得がある!?
譲渡所得は資産の譲渡による所得を意味するが、譲渡する物は株式等・土地建物等・一般の資産の3つに分かれる。株式・土地建物は自分で所得を申告して他の所得と別に課税される申告分離課税(株式等は特定口座なら申告の必要なし)で、一般の資産は他の所得と合算して課税される総合課税となる。
いずれにせよ課税されるわけだが、一般の資産には50万円の特別控除があるため何かしらを譲渡して50万円の利益を得ても実質は非課税(確定申告も不要)となる。ただし、この特別控除以外にも非課税となる譲渡所得がある。
その1つが、生活用動産の譲渡による所得がある。この生活用動産には洋服・靴・本・パソコン等々が含まれる。例えば、フリーマーケットで本を2~3冊ほど売却して利益を得ても譲渡所得にはならない。そもそもフリーマーケットだと直接現金をやりとりするため、税務署が実態を掴むことは相当困難だが。。。
ただ、生活用動産といえど書画・骨董品・貴金属などで30万円を超えるものは生活用動産に含まれない点に注意したい。また、この中には腕時計なども含まれると考えられ、前述のパソコンだとしても高スペックで30万円以上のものだと怪しくなってくる。とはいえ、前述したように50万円の特別控除があるため、譲渡による利益が50万円を超えなければ実質は非課税という点は変わらない。
ちなみに金投資口座・金貯蓄口座などの、金地金(ゴールドバーなど)やプラチナなどの貴金属に類する物品の売買口座による差益は、約20%の税金があらかじめ差し引かれる源泉徴収が行われる。
さらに、国・地方自治体などに財産の寄付をしたり、重要文化財を譲渡した場合の対価も譲渡所得にはならない。これに類するものに、相続税を国(国税庁)に物納した場合の所得も譲渡所得にはならない。相続税が支払えない、相続税を分割払い(延納)にしても支払えない場合には相続した不動産を国に買い取ってもらえるのが物納だ。
また、自己破産などで破産手続きをして資産を強制換価(強制的に没収&売却)された場合の所得も譲渡所得にはならない。ただし、この場合には譲渡所得が全て債務・借金の返済に充てられた場合に限られる。仮に自己破産で資産の売却をして返済をしたが、それでも金銭が余ったなら譲渡所得となり課税対象となる。
ちなみに、かつては国債・地方債などの公社債、MMFやMRFなどの公社債型投資信託の譲渡や受益権の譲渡は譲渡所得になっていなかった。ただ、2017年の税制改正から譲渡所得としてカウントされ、他の株式等の譲渡所得とも損益通算が可能になった(詳細は2016年からの税制改正を参照)
以上が非課税となる譲渡所得についてだが、生活用動産以外は特殊なケースともいえるが覚えておいて損はない内容ともいえる。基本的に譲渡所得と給与所得だけというケースが多いだろうが、それであれば確定申告などで困る・迷う可能性も低いだろう。それでも悩む or 迷うことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも1つの手だ。