イオン銀行のイデコでおすすめ商品とは!
イオン銀行の商品は合計24個で、SBI証券の37個や楽天証券の32個よりは少なめです。少なめとはいえハイイールド債以外の全てのカテゴリで1個以上の商品があるため、あらゆる資産配分に対応できます。ハイイールド債型の商品を組み入れたいなら、同商品を扱うのは楽天証券のみのため金融機関を変更しかありません。
今回はイオン銀行の各カテゴリの商品の中で、どれが良い商品なのかを解説していきます。初心者の人(イデコで初めて投資を始める人)にも分かりやすいように、可能な限り平易な言葉で進めていきます。
おすすめの商品
イオン銀行のイデコでおすすめの商品は、国内株式型は「ひふみ年金」、外国株式型は「フィデリティ欧州株」、先進国債券型は「たわらノーロード先進国債券」、複合資産型は「マイバランス30」です。
また、国内債券型は「たわらノーロード国内債券」のみのため選択の余地がありません。同様に新興国株式型も「DIAM新興国株式インデックスファンド」のみで、新興国債券型も「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」のみです。リート型も国内不動産なら「たわらノーロード国内リート」で、海外不動産なら「たわらノーロード先進国リート」に決まりです。
イオン銀行は商品数が絞られている分だけ商品選びは少し楽といえるかもしれません。複合資産型の商品は8個と多めですが、シリーズものがあるため実質は4個ですから絞りやすいといえます。
国内株式型
国内株式型の商品は、日本企業の株価上昇と配当で利益が出ます。商品によって組み入れている企業が異なるため、各商品によって上昇・下落の度合いが異なります。ただ、基本的には日本国内の景気が良く円安であれば株価が上昇し、配当が増配されるのは間違いありません。
イオン銀行の国内株式型は3個です。指数に連動するパッシブ型は「One DC国内株式インデックスファンド」で、独自に運用するアクティブ型が「ひふみ年金」と「フィデリティ日本成長株ファンド」です。また、One DC国内株式インデックスは大型株が投資対象なのに対して、他の2つは中型株まで投資対象にします。
投資家から多額の資金を集めるほど純資産額が大きくなるため、純資産額は投資家間での人気の目安となります。その純資産額が最も大きいのはフィデリティ日本成長株で、最も人気を集めていることになります。信託報酬は投資家が支払うコストですが、パッシブ型のOne DC国内株式インデックスファンドが最も安い0.15%です。
次に2020年3月時点での運用成績を比較します。ひふみ年金が最も良い時期が直近3年間では長いのですが、フィデリティが迫る時期もあります。1番ふがいないのはOne 国内株式インデックスですが、この商品が連動する指数が日経平均ではなくTOPIX(東証株価指数)である点が大きいです。日経平均なら状況は変わるのですが、残念ながらイオン銀行には日経平均に連動する商品がありません。
運用成績からするとフィデリティ・ひふみで迷うところですが、新型コロナウィルスによる厳しい下落局面ではひふみの方が下落を抑えているのがポイントです。同じような高値からの下落のため、ひふみの方が下落相場では下落率は小さいことになります。ひふみ年金の方がおすすめの商品といえるでしょう。
ちなみに、ひふみ年金は市場価値が割安な銘柄に投資する独自方針で運用しています。常に資金を株式に100%振り分けるのではなく、危ないと判断としたら現金の比率を高められる点が特徴です。先程の下落局面でも2月25日時点で現金比率を30%まで高めており、現金比率の上昇が運用成績の下落を抑えたといえます。
とはいえ交付目論見書によると現金比率は50%まで上げられるため、今回はほぼベストな対応でしたが完璧な対応だったとはいえません。また、ひふみ年金は国内株式型のカテゴリに属していますが、組み入れ銘柄には海外株式も10%ほど含まれています。2020年2月末時点ではドミノピザ社やビデオ会議のズーム社が組み入れられています。
資産配分で国内株式型を何%と厳然と決めている人は、ひふみ年金を組み入れる際に海外株式型が少し高くなる点には注意しましょう。必要とあらば資産配分の調整も考えましょう。
国内債券型
国内債券型の商品は、日本の国債・社債等の利息と売買益で利益が出ます。ただ、大半の日本の債券がゼロ金利近辺かマイナス金利のため高い利回りは見込めません。マイナス金利でも債券価格は変動するため売買益は出ます。
イオン銀行の国内債券型は「たわらノーロード国内債券」のみです。この商品はパッシブ型で指数(NOMURA-BPI総合)に連動しています。この指数は野村證券が開発した日本の公募債券全体の動向を表しています。
外国株式型(先進国)
外国株式型(先進国)の商品は、先進国の企業の株価上昇と配当で利益が出ます。先進国にはアメリカ・イギリス・フランス・カナダ等々が含まれます。日本も先進国に含まれますが、商品によっては日本を除いています。日本を除くと資産配分で日本の株式を組み入れている人が重複を避けられるからです。
イオン銀行の外国株式型(先進国)は「たわらノーロード先進国株式」「ピクテグローバルインカム株式」「フィデリティ米国優良株」「フィデリティ欧州株」の4個です。指数に連動するパッシブ型が1個で、残りは独自運用するアクティブ型です。このうちピクテのみ日本を含み、その他は日本を投資対象から除いています。また、たわら・ピクテは複数の先進国に投資しますが、あとの2つは投資対象の中心がアメリカ企業かヨーロッパ企業となっています。
純資産額の大きさは人気を測る目安ですが、その意味で最も人気が高いのはたわらノーロード先進国株式で、次いでフィデリティの2つの商品です。これらと比べてピクテの純資産学派100分の1程度しかありません。コストとなる信託報酬はパッシブ型のたわらノーロードが最も安い0.11%です。
直近3年の運用成績(トータルリターン)はフィデリティ欧州株が最も良いです。ヨーロッパ株の方がアメリカ株より良い点に違和感を感じるかもしれませんが、これは円に対する為替変動の影響があるのかもしれません。とりあえず少なくとも過去3年間では欧州株の方が良いです。
また、どの商品も新型コロナウィルスによって大幅下落していますが、たわらノーロードがパッシブ型にしては下落幅は大きめです。さらにピクテの下げ幅がフィデリティ米国優良株・たわらノーロードよりも小さい点は注目に値するかもしれません。
以上のことから、おすすめ商品は「フィデリティ欧州株」といえそうです。多少の運用成績を犠牲にして下落を抑えたいなら「ピクテ・グローバルインカム」も検討に値するかもしれません。
ちなみに2020年3月時点でフィデリティ欧州株が組み入れているのはイギリス企業が最も多く、次いでドイツ・フランス・スイス・オランダです。日本人にも知名度のある企業はIT企業のSAPを始め、製薬会社のロシュやタバコ会社のブリティッシュアメリカンタバコ等があります。2019年末まではルイヴィトンで知られるLVMHも上位銘柄でしたが、今は上位銘柄からは消えています。
外国株式型(新興国・エマージング)
外国株式型(新興国)の商品は、新興国の企業の株価上昇と配当で利益が出ます。新興国の企業は設備投資等に積極的なため配当は期待できませんが、大幅な株価の上昇は見込めます。ただ、新興国通貨は政情不安や自然災害による倒産リスクが高く、新興国通貨安・円高と相まって損失も出がちです。
イオン銀行の外国株式型(新興国)はDIAM新興国株式インデックスファンドのみです。この商品はMSCIエマージング株式(MSCIエマージング・マーケット・インデックス)に連動するパッシブ型です。
この指数に影響が大きい企業は中国のアリババ・テンセント・台湾セミコン・韓国サムスン等で、国別比率でも中国・台湾・韓国・インド等のアジアへの投資比率が高いです。国別比率ではアジアに次いで、ブラジル・南アフリカ・ロシア・サウジアラビアの比率が高いです。
現段階で同指数は中国を新興国と扱っていますが、いずれ中国が新興国扱いでなくなれば国別比率・構成銘柄は変化するでしょう。
外国債券型(先進国)
外国債券型(先進国)の商品は、先進国の国債・社債の利子と売買益で利益が出ます。多くの先進国が低金利かマイナス金利政策をとっていますが、年限の長い10年・30年ものはマイナス金利ではないため利子があります。また、債券価格の変動による売買益は見込めます。
イオン銀行の外国債券型(先進国)は、たわらノーロード先進国債券の為替ヘッジあり・為替ヘッジなしの2個だけです。人気の目安となる純資産額は「為替ヘッジなし」の方が大きいです。信託報酬は為替ヘッジをする分だけ「為替ヘッジあり」の方が高くなっています。
直近3年の運用成績は「為替ヘッジなし」の方が優秀にも見えますが、近々は似たような運用成績です。そのため他の資産で為替ヘッジなしが多いなら円高に備えて「為替ヘッジあり」にして、その逆なら「為替ヘッジなし」にするのが賢明です。国内株式型の商品自体に為替リスクはありませんが、円高で株価が下落する傾向にあるため為替ヘッジなしの資産として扱いましょう。
ちなみに「たわらノーロード先進国債券」は、FTSE世界国債インデックスに連動するパッシブ型の商品です。この指数は日本を除く先進国23ヶ国の国債で構成されています。その中にはアメリカ・イギリス・ヨーロッパ各国・オーストラリア等が含まれ、アジアではマレーシア・シンガポールが含まれています。
外国債券型(新興国・エマージング)
外国債券型(新興国)の商品は、新興国の国債・社債の利子と売買益で利益が出ます。新興国は先進国よりも信用力が乏しいため高い利回りが得られますが、債務不履行(デフォルト)の可能性があります。
イオン銀行の外国債券型(新興国)商品は「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」のみです。この商品はJPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ダイバーシファイド(GBI-EM)という指数に連動するパッシブ型の商品です。
この指数はブラジル・メキシコ・コロンビア・ペルー・チリといった中南米の他に、ロシア・ポーランド・南アフリカ・エジプト・トルコ・マレーシア・ハンガリー・タイ・インドネシア等の新興国で構成されています。2020年2月末より中国も対象に加わる予定です。
複合資産型
複合資産型の商品は、株式・債券・不動産等を組み合わせた商品です。基本的に株式・不動産が上昇する好景気時には債券価格は下落しますが、景気後退・不景気の時期には逆になります。そのため1つの資産に固めるよりも大幅な下落を抑えられると考えられています。
イオン銀行の複合資産型は計8個ですが、8個のうち3個はマイバランスというシリーズの商品です。残り5個のうち3個は投資のソムリエ(ターゲットイヤー)というシリーズの商品です。そのため複合資産型は実質は4種類ともいえます。マイバランスはマイバランス30・50・70があり、数字は株式の比率を指します。例えばマイバランス30なら国内株式20%・海外株式10%で残りが債券ですが、マイバランス50だと国内株式30%・海外株式20%で残りが債券です。
純資産額はマイバランス50が最も大きいです。株式・債券を半々という分かりやすさで投資家の人気を集めているのかもしれません。直近3年の運用成績は株式比率が高いマイバランス70が最も良い時期が長いです。ただ、新型コロナによる大幅下落の局面では、債券比率が最も高いマイバランス30が最も下落を抑えています。急落局面を考えるとマイバランス30が良く、リターン重視ならマイバランス70となります。
もう1つのターゲットイヤーシリーズはターゲットイヤー2030・2040・2050があり、末尾の数字の年に向けて株式の比率を下げて債券の比率を高めます。2030だと残りの年数が短いため2050が妥当でしょう。ターゲットイヤー2050にマイバランス30・70を加えて、残りのイオンバランス戦略ファンド・たわらノーロードバランスと比較していきます。
まず純資産額ですが、マイバランス30・70が同じくらい大きく、投資のソムリエ(2050)は最も小さいです。信託報酬でもマイバランスシリーズが最も安い0.15%で、たわらノーロードも同じく0.15%と安いです。
直近3年の運用成績は投資のソムリエが最も良い時期もあれば、たわらノーロード・マイバランス70が最も良い時期もあります。ただ、複合資産型は下落を抑えるのが主目的だとすれば、最も下落を抑えているイオン・バランス戦略ファンドか、マイバランス30が妥当といえます。両者のうち信託報酬はマイバランス30の方が安いため、おすすめはマイバランス30となります。
ちなみにマイバランス30はパッシブ型で、各資産が各々の指数に連動する仕組みになっています。国内株式は東証株価指数(TOPIX)で、外国株式はMSCI-KOKUSAI指数、国内債券はNOMURA BPI総合、外国債券はFTSE世界国債インデックスに連動しています。外国債券・外国株式は為替ヘッジなしのため円高でマイナスになり、国内株式も日本企業は円高で利益圧迫されてマイナスです。複合型といえど円高によるマイナスの影響が相応にありそうです。
リート型
リート型(不動産投資信託)の商品は、不動産の賃料収入と売買益で利益が出ます。賃料収入も不動産価格も株式と同様に好景気時に上昇し、景気後退・不景気で下落します。そのため株式と完全に同じ動きはしませんが、概ね同じ方向に動くと考えて良いです。
イオン銀行のリート型商品は、日本の不動産を対象とした「たわらノーロード国内リート」と、海外の不動産を対象とした「たわらノーロード先進国リート」の2つです。国内リートか海外リートかを既に決めているなら、それぞれ1個ずつですから選択の余地はありません。どちらにするか迷っているなら、まずは純資産額と信託報酬をチェックしましょう。
純資産額は投資家からの人気のバロメーターですが、ほぼ差はありません。信託報酬も0.02%ほど国内リートの方が安いのですが大差はありません。直近3年の運用成績は先進国リートが良い時期も国内リートが良い時期もあり、判断が非常に難しいです。ただ、新型コロナウィルスによる大幅下落では国内リートの方が下落率は大きめです。他の資産も日本に偏りがちなら先進国リートの方がおすすめといえそうです。
ちなみに、たわら先進国リートはパッシブ型でS&P先進国リートインデックスに連動します。国別比率ではアメリカが70%以上を占め、次いでオーストラリア・イギリスの比率が高いです。先進国という名目の商品ですが、アメリカの不動産市況の影響を最も受ける点は覚えておいて損は無いでしょう。
その他
イオン銀行には他に金(ゴールド)に投資する「iシェアーズゴールドインデックス」と定期預金があります。それぞれ1個ずつですから比較・選択の余地はありません。これらの商品を自分の資産配分に組み入れるか否かが焦点となります。
まとめ
おすすめ商品は以上ですが、過去の運用成績が将来も継続するとは限りません。経済情勢は刻一刻と変化し、相場は常に変動し変質するからです。また、商品間での運用成績の差は、資産配分の違いほど結果に大きな差は生み出しません。商品選びで迷ったなら、資産配分にマッチしているかに焦点を当てて考えるのも手です。
このページを参考にすることで、少しは商品選びが楽になったなら幸いです。