投信・預金/資産運用 解説・用語集

投資信託にも流動性リスクはあるか?

流動性リスクとは、自分が望んだ時に、望んだ量だけ取引ができないリスクを意味する。投信を運用するファンドにとっては、主に売却時に発生しやすい。例えば株式市場であれば、とある企業が突発的な不祥事で株価が売り込まれる時がある。その際には、売り注文が殺到して気配値だけ下落していき、ストップ安の価格まで売買が成立しないことがある。

さらに、ストップ安の価格で売り切れば良いが、売り注文が多く買い注文が少ない場合には、全ての売り注文が成立しないことがある。この場合には売り切れずに、翌日まで持ち越すことになる。また、そもそも売買が活発ではない株式銘柄の場合には、板が薄い(売り手の売値の値幅が大きい)ため、売りたい株価で売れない場合もある。ただし、投信のファンドマネージャーは相応に流動性のある銘柄を選ぶため、この場面での流動性リスクは発生しにくい。

以上のように、主に取引上で支障となる流動性リスクだが、投信を購入する投資家にとっては、あまり考慮しなくていいリスクでもある。もちろん投信には流動性リスクが内包されているため、購入した個人投資家も流動性リスクは負ってはいる。とはいえ、こればかりは運用するファンドマネージャーに任せるしかない面もある。中小型株ファンドであれば流動性リスクによる損失は発生しやすいが、前述した通り、投信は一定の流動性が確保された銘柄しか購入しない。株式型投信でも流動性リスクよりは価格変動リスクの方が大きいといえる。

また、投信が投資している投資対象ではなく、投信自体に流動性リスクはあるかと問われれば、それは無いと言って過言ではない。もちろん、私募投信であれば話しは別だが、銀行・証券会社が販売している公募投信なら、まず解約したい時に売れる。投信も、理論上は純資産が減少してくれば流動性は損なわれるはずだが、一定の純資産を下回れば信託期間中でも償還が行われることもあり、売れないということはあり得ない。個人投資家としては、投信に関しては流動性リスクを過度に気にすることはないだろう。