投信・預金/資産運用 解説・用語集
ドル・コスト平均法は気休めにしかならない!?
ドル・コスト平均法とは、一定の間隔で一定の金額だけ、同一の金融商品を購入する方法を意味する。本来は為替レートの上下幅を低減させるための手法だが、為替以外の値動きがある金融商品の購入でも利用できる方法だ。また、ドルコスト平均法以外に「等金額投資」などとも呼ばれる。
同じ量だけ一定の間隔で購入するという発想自体は古くからある投資手法で、金額ではなく同じ口数だけ購入する等口数投資や等株数投資という手法もある。価格が変動する中で同じ口数だけ投資する方が購入価格が平均化される分だけ、総体的には購入価格価格を下落させることができるため、一般的には有利な投資手法と言われている。例えば2003~2012年の直近10年で、毎年12月1日に10万円ずつ日経平均連動の投信を購入したとする。その合計の購入金額は100万円で、口数は89口となる。これが2013年8月の日経平均13,000円なら、投信の資産価値は約115万円となり利益が出ていることになる。一番高いときには約17,000円で購入したにも関わらず、2013年現在は利益が出ている計算だ。
ただし、これは2013年に株価が上昇したのが寄与しただけとも言える。実際、2011年の購入前でも10%(10万円)の含み損を抱えており、2012年の購入前には20%分の含み損が広がっている。投資を始めてから8~9年目まで損をしているのは、普通の人なら諦めて投資を止めて解約してもおかしくない状況だ。
つまり、確実に有利な投資手法ではないということだ。あくまで値動きが上下している場合、あるいは下落したあとで上昇が見込める場合には有利なだけで、長期的に下落している場面、上昇局面から下落した場合は半永久的に損失を膨らませる投資手法でもある。そのため、ドルコスト平均法は有利でも不利でもない投資手法というのが真実だ。
それを知ってか知らずか、もしくは不勉強なだけか、説明しやすいだけなのか、現在でもFPや一部の証券会社が同手法を薦めている。彼らを擁護するわけでもないが、ドルコスト平均法には数字よりも行動ファイナンス面でのメリットがある。例えば、人間は株価がピークの時に高値掴みをしてしまうと、後悔と損失の挽回に向けて他のハイリスクな商品に手を出してしまう傾向にある。それが、次は安値で購入して平均化するんだという予定があれば、後悔も薄れて精神衛生上も安定した運用が継続できる可能性があるのだ。それでも前述した日経平均のパターンの場合には効能があるのか疑問だが。。。
個人投資家としては、ドルコスト平均法はテクニックの1つでしかなく、それも数字よりは精神面での効能がある手法だと認識するといいだろう。それもメリットだけでなく、前述したように損失が膨らみ続ける危険性に加え、同じ投資対象に投資し続けるため1つの投資対象にリスクが集中してしまうデメリットもある。テクニックに過信しすぎず、頼りっきりにならないようにした方が賢明だ。