おすすめの公社債投資信託はこれ!

公社債投資信託は公社債(債券)に投資し、金利・債券価格の値上がり益等で利益を出す投信です。代表的なのはMMFとMRFで、元本保証ではありませんが非常に手堅く運用するため損失を出すことは稀です。ただ、MMFは野村證券・みずほ証券で新規の購入が停止されています。

一方のMRFで募集が継続されているのは、証券会社に資金を入れると自動的にMRFで移されることが多いからです。ただ、MRFの利益(リターン)は各社でほぼ同じか小数点以下の僅かな差しかありません。これは日銀の超低金利政策・マイナス金利政策が転換するまでは変わらないでしょう。

その一方でMMF・MRF以外にも手堅い公社債投信は存在します。MMF・MRFのように短期の債券ではなく、中長期の国債を組み入れている投信です。そういった投信は大別すると「①日本国債のみに投資」「②日本国債と日本企業の社債に投資」「③日本国債と日本企業の外貨建て社債に投資」の3つになります。

リスクは①が最も低く②~③の順に高くなり、リターンへの期待は逆の順番になります。いずれにせよ株式型ほどのリスク・リターンは見込めませんから、ローリスク・ローリターンといえます。以下では3つのタイプの投信の中で、おすすめの公社債投資信託を解説していきます。

日本国債のみの公社債投信

モーニングスターは5000本以上の投資信託が比較できるサイトで、独自にレーティング(格付け)もつけています。あくまで格付けに過ぎませんから、高い格付けでも必ず利益が出るわけではありません。ミシュランガイドで星がある店でも、さほど自分は美味しく感じないことがあるのと似ています。

そのため格付けの高い投信の中から、さらに自分に合う投信を探す必要があります。国内債券のみを投資対象とする公社債投信の中で、9本の投信がモーニングスターで2019年時点で最高の格付けがされています。その中で日本国債のみを投資対象とするのは「三菱UFJ日本国債ファンド」「日本超長期国債ファンド」「ダイワ 日本国債15-20年ラダー型ファンド」の3本です。

モーニングスターで高格付けの公社債投信のうち日本国債のみを投資対象とする投信(出典:モーニングスター公式サイト)

この3つの中で最も堅実なのは「三菱UFJ日本国債ファンド」です。なぜなら標準偏差(変動率のようなものと考えて下さい)が1.59と他の2本よりも低いからです。下落しても下落幅は他の2本よりも小さいといえます。その分だけリターンも0.76%と低いのですが、純資産額が他の2本の3倍近いことから購入者も多いと考えられます。そのため預金・MRFよりも僅かでも利益が乗れば良いと考えるなら、この投信がおすすめです。

日本国債というだけでリスクは低いから、可能な限り高いリターンが欲しい人もいるでしょう。そういった人は「日本超長期国債ファンド」がおすすめです。「ダイワ 日本国債15-20年ラダー型ファンド」の方がリターンは高いのですが、その分だけ経費として差し引かれる信託報酬が高めです。信託報酬は固定費みたいなもので、引き下げられることはありません。

それも過去3年は他の2本よりも高いリターンでしたが、今後も高いとは限りません。そのため多少のリターンを犠牲にしてでも信託報酬の低い「日本超長期国債ファンド」を選んだ方が賢明です。

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日本国債+社債の公社債投信

日本国債に加えて日本企業の社債まで投資対象とする公社債投信もあります。日本国債は日本が債務不履行になれば紙切れになりますが、社債は発行した日本企業が債務不履行(倒産)すれば紙切れになります。不安になるかもしれませんが、大企業か知名度の高い企業のみが投資対象ですから安心して下さい。

モーニングスターで最高の格付けで、日本国債と日本企業の社債まで投資対象とするのは「明治安田 日本債券オープン 愛称:しあわせ宣言」「DLIBJ 公社債オープン」「エス・ビー・日本債券ファンド 愛称:ベガ」「明治安田 日本債券ファンド 愛称:ホワイトウィング」の4本です。

モーニングスターで高格付けの公社債投信のうち日本国債と日本企業の社債を投資対象とする投信(出典:モーニングスター公式サイト)

ベガはモーニングスターの2018年の国内債券型最優秀賞を受賞していますから、おすすめの投信ではあります。ただ、不安が無いわけではありません。なぜなら格付けが低めの社債も組み入れているからです。債券の格付けはA3が最上格で、A2(高格付)・A1(投資適格)・B3(投資適格)・B2(投機的)・B1(投機的)まであります。ベガは格付けB3の債券にも約3%ほど投資しています。

B3の債券への投資比率は「ホワイトウィング」の約10%よりは低めですが、他の2本よりは投資比率は高めです。そのため購入前に、格付けがB3の債券は何かを確認しておくと安心です。2019年9月時点では近鉄グループHDの債券と楽天の劣後債が該当します。

ベガが組み入れている債券(出典:エス・ビー・日本債券ファンド 愛称:ベガの第43期運用報告書 決算日2019年9月9日)

2019年3月時点では兼松の社債も組み入れられていましたが、2019年3月で無事に償還(満期)を迎えています。それに対して近鉄グループHDの債券の償還は2024年と2029年です。楽天の劣後債に至っては2053年が償還のため、相当先の話しになります。また、追加で何の債券が入るかも注目しておくと良いでしょう。

日本国債+外貨建て公社債の公社債投信

日本国債に加えて、アメリカ国債と日本企業の外貨建て社債も組み入れている投信があります。日本企業は海外へ投資したり海外子会社が必要とする資金のため、外貨建て社債を発行して外貨を調達しています。このタイプの投信は「三井住友・DC年金バランスゼロ 愛称:マイパッケージZERO」「One ニッポン債券オープン」の2つです。

モーニングスターで高格付けの公社債投信のうち日本国債と日本企業の外貨建て社債も投資対象とする投信(出典:モーニングスター公式サイト)

両者を一目見て比較すると分かりますが、リターンは圧倒的に「One ニッポン債券オープン」の方が高いです。信託報酬も高いのですが、それを補って余りあるリターンの高さです。この差は債券の組み入れ比率の差で生じています。外貨建て公社債への投資比率がマイパッケージZEROの20%に対して、One ニッポン債券オープンは40%と2倍です。それもOne ニッポン債券オープンは国内債券も日本国債ではなく、ほぼ社債で占められています。

2019年10月末の組み入れ上位銘柄には、楽天・東京建物・武田薬品・大陽日酸等の劣後債があります。外貨建てには三井住友海上・日本生命・第一生命等の米ドル建ての劣後債があります。外貨建ての社債だと為替リスクが気になりますが、為替ヘッジしているため円高でも損失は発生しません。ただ、為替ヘッジにはコストが必要ですから、金利からヘッジコストを差し引いた額が投信の利益になります。

One ニッポン債券オープンの組み入れ上位銘柄の債券(出典:One ニッポン債券オープンの月次報告書2019年10月31日時点)

One ニッポン債券オープンのリスクは、為替ヘッジしているとはいえ今までの投信の中で最も高いといえます。それでも前述した企業が債務不履行・倒産しなければ良いため、株式型よりは一定の安心感はあります。リターン重視ならおすすめの投信といえるでしょう。リスクが高いと感じたならマイパッケージZEROを選ぶ手もありますが、リターンが日本国債+社債(円建て)の投信よりも低くなってしまいます。

まとめ

以上のことから、日本国債だけでガチガチに手堅く投資するなら「三菱UFJ日本国債ファンド」がおすすめです。日本国債だけでも可能な限りリターンを追求したいなら「日本超長期国債ファンド」がおすすめです。日本国債だけでなく日本企業の社債もOKなら「エス・ビー・日本債券ファンド 愛称:ベガ」、最大限のリターンを求めるなら「One ニッポン債券オープン」がおすすめとなります。

これ以上のリスクを債券で取るなら、日本以外の外国の債券や企業の社債が積極的に組み入れられた投信を検討すると良いでしょう。為替ヘッジなしにすれば円安になった分の利益も上乗せされるため、格段にリターンは大きくなります。

ただ、自分が許容できるリスクとリターンのバランスを取ることが重要ですから、過度なリスクを取ってリターンを求めることは必ずしも良いことではありません。