投信・預金/資産運用 解説・用語集
為替ヘッジの仕組みと3つのヘッジの選択肢!?
為替ヘッジとは、投信においては、為替変動の影響(為替変動リスク)による投信の基準価額の変動を、為替予約取引を通じて低減させることを意味する。特に為替変動は海外株式・海外債券・海外リートなどを投資対象とする投信で、各々の投資対象のパフォーマンス以上に大きなインパクトを与えることもある。
そのため、為替ヘッジの有無は投信を選択するうえで重要なファクターの1つといえる。為替予約取引とは、例えば、100万円を米ドルに交換すると、1ヵ月後に円価で幾らかは為替レート次第となるが、それを1ヵ月後に1ドル=101円で交換する契約を予め締結しておけば確実に利益が上がるといった取引を意味する。
さて、そもそも、なぜ為替ヘッジの有無が必要になるかというと、個人投資家が支払う金銭は"円"であるのに対して、投資対象が海外資産(株式等)である場合には、ファンドとしては円を一旦は海外通貨に交換する必要がある。さらに、個人投資家が解約した場合には交換した海外通貨を"円"に戻す必要がある。
さらに、投信の資産額は海外通貨で計算されるため、円高が進めば実際には増えている資産でも円換算した時点で目減りしてしまっていることもある。逆に円安が進めば資産増となる。そのため、為替変動は投信に大きな影響を及ぼすと言って過言ではない(実際にはユーロ円債のような日本以外で発行される円建て債券を利用した場合など、さらに複雑なケースも存在する)
その重要な要素である為替ヘッジは、概ね3つに分類される。1つが「フル・ヘッジ」で、投信が保有する全ての資産について為替予約を行って、為替レートを固定する手法がある。この場合、為替リスクを抑えられるが、円安局面では収益増が見込めなくなる。さらに、為替ヘッジにはコストを要するため収益が目減りする。
2つ目が「ヘッジ比率を変動させる」タイプで、円安局面では為替ヘッジを外し、円高局面では為替ヘッジの比率を高める。上手くいけば最高のパフォーマンスを発揮するが、為替変動と流れを掴むのはプロでも難しく、突発的な天変地異などによる為替変動には対応しきれないケースもある。その場合には、当然ながら基準価額が下落するなどの悪影響が出る。
3つ目が「為替ヘッジなし」で、この場合には円安なら為替差益で収益増、円高なら収益減となり、流れに身を任せることになる。個人投資家としては、リスクを抑えるならフルヘッジ、リターン重視ならヘッジなしを選択するのが基本となる。また、極端に円安の流れがあると確信がある場合には、ヘッジなしを選ぶのも手といえる。