NISSAN eシェアモビを比較・評価

日産 eシェアモビ(NISSAN e-share mobi)
オススメ度:
2
事業者:
日産自動車
名称:
eシェアモビ
初期費用:
0円
月額料金:
1000円or無料
利用料金:
200円※15分
特徴:
日産の電気自動車のカーシェアリング

eシェアモビは日産自動車が展開しているカーシェアリングで、自動車メーカー系の中では最も車両ステーション数・会員数が多いカーシェアリングです。トヨタ・ホンダと異なり、100%電気自動車のリーフと給油が必要な電気自動車のe-POWERノート・セレナの車種は3種だけというのが特徴的です。

電気自動車だけのためタイムズ等の一般的なカーシェアと異なり距離料金が一切発生しません。距離料金の有利さに加えて昨今の環境意識の高まりも相まってか、会員数は2019年から2020年で倍増しています。以下ではサービスの概要から2つの料金プランの違い、さらに他社のカーシェアリングと比較した際のメリット・デメリット等を解説していきます。

入会申込・利用方法

入会はWEB申込のみでアプリからは入会はできません。そもそもeシェアモビのアプリが2020年時点で存在せず、トヨタシェアのようにアプリからのみ入会可能というのと対照的です。eシェアモビは公式HPでメールアドレス・住所・氏名・クレジットカード情報等を入力して、免許証の画像をアップロードすれば入会が完了します。48時間以内に入会完了のお知らせのメールが来て、IDとパスワードでログインすれば自動車の予約・利用ができます。

会員登録画面(出典:日産eシェアモビ公式HP)

自動車の予約も公式HPからステーション・予約日時・車種等を選択して行います。利用日には運転免許証でドアロックが解除でき、車内にある運転キーでエンジンをかけて運転が開始できます。他社のように専用のICカードやSuica等は不要なため便利です。ノート・セレナは2分の1以下になったら給油する決まりですが、車内にある給油カードで支払うため自腹を切る必要はありません。それどころか20リットル以上の給油で15分の割引が受けられます。

リーフの場合は給油ではなく充電が必要になりますが、こちらも給油同様に無料です。充電は普通充電なら16時間も要しますが、急速充電なら40分で80%まで充電できます。充電スタンドは年々増加し現在は3万ヶ所(急速充電器7,800基と普通充電器22,500基の合算 2019年9月ゼンリン調べ)に迫ります。北は北海道の稚内市から、南は鹿児島・沖縄まで充電スタンドがあります。そのため充電スタンド探しや充電時間で苦労することは無くなりつつあります。

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車種・クラス

eシェアモビの車種は2020年時点でノート・セレナ・リーフの3種です。ノート e-POWERはガソリンで発電する電気自動車です。ちょっとした外出に向いているコンパクトカーと思われがちですが、トランク(ラゲッジ)はリヤシートを倒すとゴルフバッグを最多3個を積載できます。そのため2人で外出する際に多少荷物が多めでも大丈夫です。セレナ e-POWERはノートと同様の仕組みのミニバンで、定員7名のため家族での外出や友人達との外出に最適です。

NOTE E-POWERの外観とラゲッジスペース(出典:日産eシェアモビ公式HP)

ノート・セレナと異なりリーフは100%電気自動車でガソリン給油を必要としません。電気自動車というと航続距離・走行可能距離が気になるかもしれませんが、リーフの一充電走行距離(国交省審査値)は400kmです。東京~箱根間が片道で約100kmのため、往復しても十分に余裕がある計算です。車内のエアコンの使用等で電費は左右されますが、それでも多少の遠出には十分に耐えられるレベルです。

また、リーフには自動運転技術「プロパイロット」機能が搭載されており、高速道路での単調な渋滞走行等でドライバーに代わって自動でアクセル・ブレーキ・ステアリングを自動制御してくれます。前方にいる車を自動で追尾してくれる機能と考えれば良いでしょう。

さらにリーフには「プロパイロットパーキング」という自動で駐車できる機能があります。ドライバーはハンドル・アクセルを操作せず、オートPというボタンを押し続けるだけで駐車が完了します。充電するための前向き駐車だけではなく後ろ向き駐車や縦列駐車も可能です。たまにしか運転しない人や駐車が苦手な人には心強い機能です。

日産のプロパイロットパーキング機能の手順・フロー(出典:日産公式HP)

ベーシックプランと月額無料プランの違い

eシェアモビにはベーシックプランと月額無料プランがあります。両プランの違いは料金面で、ベーシックプランは月額料金があるものの、月額無料プランよりも利用料金が安くなっています。とはいえノート・リーフなら15分あたりの利用料金は同額で、セレナを使うか長時間パックを使う時だけ差があります。下図の両プランの料金表を見て下さい。

日産eシェアモビの料金表(出典:日産eシェアモビ公式HP)

セレナを使う場合はベーシックプランなら15分で300円ですが、月額無料プランなら15分で400円と100円高くなります。月額料金は1000円のため、セレナを利用する時間が毎月150分(2時間半)以上だとベーシックプランの方が得となります。

ただ、利用しない月があるようだと月額無料プランの方が得になる可能性があります。例えば隔月でセレナを180分利用する人は、ベーシックプランだと月額料金と合わせて2ヶ月で5600円(1000+1000+3600)となります。それに対して月額無料プランだと4800円になり800円ほど安くなります。このあたりは自分の利用頻度・利用時間に応じて判断するしかありません。

また、主に長時間パックを利用する人は月2回以上は利用するか否かがプラン選びの焦点となります。ノート・リーフを利用する場合、ベーシックと月額無料プランでは600円の差があります。月2回の利用で1200円となり月額料金を超えるため、月2回以上は利用するならベーシックプランの方が得となります。

ただ、こちらも利用しない月があるようだと月額無料プランの方が得になる可能性があります。例えば隔月で6時間パックを2回利用する人は、ベーシックプランだと月額料金と合わせて2ヶ月で9000円(1000+1000+7000)となります。それに対して月額無料プランでは8200円となります。

結局は利用頻度・時間等で判断する必要がありますが、その際には月額料金が他社のように利用料金に充当できない点に注意して下さい。eシェアモビの場合は月額料金は純粋な出費となります。

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料金を他社と比較

eシェアモビの2つのプランを他社のカーシェアと比較してみましょう。日本のカーシェアはステーション数・会員数(詳細は後述)ではタイムズ・オリックス・カレコが圧倒的なトップ3で、これらと差があるものの4番手はカリテコです。さらにドコモのdカーシェアはオリックス・カレコ・カリテコの3社を各社と契約せずに利用できます。この主要5社と初期費用・月額料金・利用料金を比較したのが下図です。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・トヨタシェア・eシェアモビ・エブリゴーの初期費用・月額料金・利用料金・パック料金・距離料金の比較表(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

まず初期費用・月額料金ですが、eシェアモビは運転免許証で解錠するため、タイムズ・オリックスのようにカード発行のための初期費用が不要です。また、タイムズは月会費が必要ですが、eシェアモビはオリックス・カレコ等と同様に月額無料プランがあります。

利用料金の最安値は15分あたり150円のトヨタシェアですが、eシェアモビは15分あたり200円のためトヨタ・カリテコに次ぐ安さともいえます。それも月額料金無料プランでもノート・セレナは15分あたり200円で利用できるため、月額無料プランの中では最安値ともいえます。

その一方で見かけよりも月額料金の分だけ割高という面もあります。なぜならeシェアモビの月額料金は利用料金に充当できず、月額料金は純粋な出費となるからです。例えば毎月120分の利用をする人は、タイムズなら月額料金880円に利用料金の1760円が発生しますが、1760円から880円が差し引かれるためトータルで1760円の出費となります。

それに対してeシェアモビの場合は月額料金の1000円に利用料金の1600円が発生して、トータルで2600円の出費となります。それもタイムズ・カレコ等も6時間以内の利用なら距離料金が不要なため、eシェアモビの距離料金が不要という点が料金の差に結びつきません。

そのため月額無料プランでは他社よりも安いのは確実ですが、小まめに毎月利用する人や長時間パックを毎月利用する人は他社よりも安いかはケースバイケースとなります。自分の利用時間・利用頻度に加えて、6時間以上のパックを利用する人は走行距離による距離料金も加味する必要があります。

ステーション数

「全国のカーシェアリング事例一覧2020(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)」によると、eシェアモビの車両ステーション数は409ヶ所です。2019年の514所から減少してしまいました。eシェアモビが開始した2018年は27ヶ所から1年でステーション数は急増したのですが、ここ1年はステーション数の増加が止まっています。

同じ自動車メーカー系のカーシェアではトヨタシェアが約200ヶ所、ホンダエブリゴーが100ヶ所程度です。これらと比較すれば十分に多い数ですが、最大手のタイムズは車両ステーション数が12969ヶ所で、毎年1000ヶ所のペースで増加しています。カレコ・オリックスも車両ステーション数は数千ヶ所で数百ヶ所ずつ毎年増加しています。下図の主要都市における車両ステーション数を見て下さい。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・トヨタシェア・eシェアモビ・エブリゴーの車両ステーションの合計及び東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の各県にある車両ステーション数(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県でタイムズの車両ステーション数は他社を圧倒しています。西日本の大阪・兵庫・愛知でも同様にタイムズが圧倒的に多く、愛知を地盤にしているカリテコが愛知県内では善戦している程度です。

ただ、オリックス・カレコ・カリテコの3つを利用できるドコモのdカーシェアなら、少なくとも東京においてはタイムズに迫るステーション数になります。タイムズのステーションが自宅から少し遠い人、いつも利用したい時にタイムズでは予約が空いてない人はdカーシェアを検討しても良いかもしれません。身近な場所に車両ステーションがあるかという点では、タイムズ・dカーシェアに優位性があります。

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メリット

eシェアモビのメリットは、まずは入会日に即日利用できる点が挙げられます。公式HPでは48時間以内とのことですが、特に問題(入会申込が殺到してる等)が無ければ入会日から利用できることが多いです。そのため急に自動車が必要になった場合や気まぐれでドライブしたくなっても大丈夫です。

また、他社のカーシェアでは専用カードかSuica等のICカードで開錠する必要があります。その点、eシェアモビなら免許証で開錠するためカードを忘れる心配がありません。運転免許証も忘れる可能性はありますが、運転免許証を忘れて運転すれば運転免許証不携帯で道路交通法により罰せられます。

平成29年の交通違反の取締り件数(出典:内閣府 平成30年交通安全白書)

車種は3種類と他社の数十種よりも少ないのですが、全て電気自動車で最新に近い機能が搭載されている点もメリットです。前述のプロパイロット機能の他、前方車両・歩行者を検知して衝突を回避するインテリジェントエマージェンシーブレーキ、先行車との距離とドライバーの車速に応じてシステムがアクセルとブレーキの操作を行うエマージェンシークルーズといった機能が搭載されています。さらにジュニアシートは全車種に配備されています。

その他には他社と異なりETCカードが車両に付属している点もメリットです。自家用車の無い人はETCカードを持っていない人が大半ですが、ETCカードが車両に付属しているためETCゲートを利用できます。ETC料金は利用月の翌々月にクレジットカードに請求されます。

料金面では月額無料プランなら他社よりも得で、距離料金も利用時間に関わらず不要な点がメリットです。特に利用しない月がある人、数ヶ月に1回のみ利用する人に向いています。さらにコロナウイルスの感染拡大を受けて、現在は平日定額サービスと一部料金の無償化が実施されています。

日産eシェアモビの通勤/通学/車内テレワーク支援 平日定額料金サービスキャンペーン(出典:日産eシェアモビ公式HP)

平日定額料金サービスは平日の朝6時から24時まで1回3000円で使えるサービスです。どこかに自動車で行って仕事をするのも良いでしょうし、どこかの駐車場に止めて車内で仕事をすることも可能です。もちろん電車の代わりに自動車での通勤に利用するのも手です。時間料金の一部無償化は、時間料金が最大1600円割引されるサービスです。どちらも終了時期は明記されていないキャンペーンですが、さすがに永続する可能性は低いでしょう。

デメリット

eシェアモビのデメリットは、まずは入会キャンペーン(入会特典)が散発的で短い点が挙げられます。キャンペーン中なら25%割引のクーポン等がプレゼントされますが、キャンペーン外であれば入会時の特典がありません。入会時期を見誤ると数千円の損をすることになります。

前述したように月額料金の1000円は利用料金には充てられません。そのため短時間利用を毎月するようなら他社の方が得になります。月額料金の金額も他社の月額料金よりも数百円高めです。

さらに100%電気自動車であるリーフについては充電・航続距離に対する不安があります。充電ステーションは3万ヶ所を超えたとはいえ、そのうち急速充電器があるのは7800基だけです。普通充電だと外出先で何時間も充電することになるため、宿泊以外の外出先では急速充電以外は選択肢になりません。その急速充電でも40分で80%のため15分の割引をしてもらっても不足感があります。

その一方で日本のガソリンスタンド数は全国に3万ヶ所はあり、給油も数分で完了します。リーフではなくノート・セレナなら充電のデメリットがありませんが、リーフのみ配備している車両ステーションもあります。そもそも車両ステーション数も多くはなく、タイムズのように自宅近くにステーションが複数あることもありません。そのため車種を選ぶことが難しい点もデメリットといえます。

その他にパックからショートに変更不可というデメリットもあります。野外イベントのために6時間パックを予約したのに、雨天中止となり1時間で帰ってきたとしても6時間の料金となります。こういった場合にタイムズ等は1時間の利用料金だけで済みます。また、どの車両にもチャイルドシートがなく、貸し出しも行っていない点でも子連れにとってはデメリットとなります。

評判・会員数

eシェアモビの会員数は2018年のサービス開始時は2000人程度でしたが、2019年に約5000人、2020年に約1万人と倍増してきました。評判が悪ければ会員数は減るか横ばいになるため、その意味で評判は良いといえます。ただ、最大手のタイムズの会員数は20万人ペース、カレコ・カリテコも数万人ペースで増加しています。ステーション数も関係するのでしょうが、会員数からすればタイムズ等の方が評判が良いともいえます。

会員数以外の側面で考えると、オリコンのカーシェアリング顧客満足度ランキング2020(調査対象は1058人)ではeシェアモビは4位以下となっています。総合ランキングで1位がタイムズで2位がオリックス3位がカレコで、eシェアモビは4位以下となります。

オリコンのカーシェアリングランキング(出典:オリコン カーシェアリング 顧客満足度調査2020)

個別の評価項目ごとのランキングでもeシェアモビが顔を出すことはありません。そのため大規模調査で考えても大手3社よりはeシェアモビの方が評判が悪い可能性がありそうです。

総合評価(おすすめか?)

月額無料プランは他社よりも得で、小まめに短時間利用を毎月するような人でもノート・セレナを15分あたり200円で利用できるため得です。長時間パックを数ヶ月おきに使う人も、12時間以上のパックを使うなら距離料金の分だけ他社より得になるためオススメです。キャンペーン中だけ1回3000円の長時間利用をするのも、他社では不可能なためお試しには最適でしょう。

その一方で料金だけではなくステーション数等を総合的に考えれば、タイムズの方がおすすめです。また、6ヶ月間で6万円分(毎月なら1万円程度)は乗るようならオリックスも悪くありません。豊富な車種と休めの料金ならカレコも選択肢となるでしょう。