カレコ・カーシェアリングを比較・評価

カレコ・カーシェアリングクラブ(careco car sharing)
オススメ度:
3
事業者:
三井不動産リアルティ
名称:
カレコ・カーシェアリングクラブ
初期費用:
0円
月額料金:
980円or無料
利用料金:
140円※10分
特徴:
三井のリパークでカーシェア

カレコは不動産業を手がける三井不動産リアルティのカーシェアリングで、タイムズ・オリックスカーシェアと並んで日本の三大カーシェアリングとされています。料金プランはベーシックプランと月会費無料プランの2つがあり、ベーシックプランは月会費が発生するものの利用料金が月会費無料プランよりも安くなります。

カレコはタイムズと異なり月会費無料プランがあり、車種が豊富なためキャンプ等でカーシェアを使いたい人や外車に乗ってみたい人には大きなメリットがあります。以下ではサービスの概要から2つの料金プランの違い、さらに他社のカーシェアリングと比較した際のメリット・デメリット等を解説していきます。

入会申込・利用方法

まず入会方法ですが、タイムズ・オリックスとは異なりWEB申込のみとなります。PCでもスマホでも良いのですが、カレコのアプリからは入会はできません。公式HPで住所・氏名・クレジットカード情報等を入力して、免許証の画像をアップロードすれば完了します。入会完了のお知らせのメールが来たら、webかアプリで運転者IDとパスワードでログインして自動車の予約・利用ができます。

カレコカーシェアの入会までの流れ・手順(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

カレコは即日利用も可能とされていますが、入会申込は15時以降だと審査が翌日になり即日利用ができません。また、審査は即日か翌日に済むことが大半ですが、新規入会が殺到した場合などは入会完了まで最大3日程度を要することもあるようです。即日利用可とはいえ利用する数日前に入会しておいた方が安心です。

入会後の自動車の予約はPC・スマホのブラウザを使うか、カレコのアプリを使います。アプリの場合は利用したい地域・場所(現在位置・住所等)を入力・表示して、予約日時・車種・チャイルドシートの有無などの条件を指定すると、予約ができる最寄のステーションと自動車が表示され「予約をする」をタップすれば完了です。

利用日には車両ステーションで会員ページの利用開始ボタンを押すか、Suica等のICカードでドアロックが解除できます。車内にある運転キーでエンジンをかけて運転が開始でき、利用時間の延長もWEBかアプリで手続きが可能です。ガソリンが2分の1以下になったら給油する決まりですが、車内にある給油カードで支払うため自腹を切る必要はありません。正確には給油代は月額料金・利用料金に含まれているということです。

給油はENEOS、コスモ、昭和シェル等で可能で、給油したらレシートを社内の給油レシート入れと書かれた透明のホルダーに入れればOKです。給油分だけ利用時間が削がれますが、次回以降に利用できる500円分のクーポンがプレゼントされます。ちなみにドコモのdカーシェアでカレコを利用して給油しても、クーポンはプレゼントされません。

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車種・クラス

カレコの車種は2020年時点で47種で、ベーシック・ミドル・プレミアム・プレミアムプラスの4つのクラスに分かれています。ベーシッククラスにはトヨタのタンク・日産のノート・ホンダのN-BOXといったコンパクトカーがあります。ホンダのフリードのような荷物・人が多めに入る中型の自動車もあります。

ミドルクラスにはセダン・ミニバン・SUVなどがあります。トヨタならRAV4・新型ハリアーといったSUVの他に、ヴォクシーやエスクァイアといったミニバン、新型プリウス・プリウスPHVといったセダンがラインナップに含まれます。RAV4なら4WDでアウトドアに最適でしょうし、ヴォクシーなら家族連れ友人間でのお出かけでも8人まで乗車可能です。あらかたの目的はミドルクラスで満たせるはずです。

カレコカーシェアのミドルクラスの車種・車両ラインナップ(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

カレコで特徴的なのはプレミアムとプレミアムプラスです。プレミアムにはベンツの他にジープ・ジャガー・ボルボといった外車が含まれます。トヨタのハチロク・ホンダS660・マツダのロードスターといったスポーツカーも含まれ、一度は乗ってみたかった車に乗ることができます。

カレコカーシェアの外国車・スポーツカーがあるプレミアムクラスとプレミアムプラスクラスの車種・車両ラインナップ(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

さらにトヨタのハイラックス(アメリカでは主流のピックアップトラック)なら荷物を悪路でも運べますし、ハイエースワゴンなら最大10人まで乗せて遠出をすることが可能です。プレミアムプラスになると外車でもランドローバー(レンジローバー)といった数百万円~1000万円クラスの車が追加されます。

ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコンの外観と内観(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

数多くの外車が用意されていますが、カレコのHPに全ての車両の車種別マニュアルがあります。外車で左ハンドルなら国産車とスイッチが逆(ワイパーとウィンカーが逆)になり、各ボタンの位置も日本車と異なることが多々ありますが、事前にマニュアルに目を通しておけば外車に慣れない人も安心です。他社ではオリックスカーシェアには外車はありませんし、タイムズはMINIのみです。

ベーシックプランと月会費無料プランの違い

カレコにはベーシックプランと月会費無料プランがありますが、基本的な利用方法には違いはありません。2つのプランの違いは料金のみで、月会費の有無と時間料金・距離料金が2つのプランでは異なります。まずは下図の両プランの料金表を見て下さい。

カレコのベーシックプランと月会費無料プランの料金の比較表(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

ベーシックプランだと月会費980円が発生しますが、月会費は時間料金に充当できます。利用料金は10分あたり140円のため、毎月70分利用すれば140×7=980円となり利用料金は月会費で相殺されます。一方で月会費無料プランの時間料金は170円のため、毎月70分の利用で170×7=1190円となります。毎月70分の利用をするならベーシックプランの方が得となります。

しかし、毎月の利用時間が50分ならベーシックプランは980円なのに対して、月会費無料プランは850円(170円×5)となります。小まめに毎月使う人でも、毎月の利用時間によっては月会費無料プランの方が得になるケースもあります。月会費無料プランは毎月60分以上の利用で月会費の980円を上回る1020円になりますから、毎月60分以上を使うかが両プランの境目になります。

さらに数ヶ月に1回だけ長時間利用する人は、両プランのどちらが得かケースバイケースとなります。例えば、2ヶ月に1回だけ6時間パックを利用する人は、ベーシックプランだと5060円、月会費無料プランだと4980円となります。そのため月会費無料プランの方が得となります。

その一方で2ヶ月に1回だけ12時間パックを利用する人は、利用時間が6時間を超えて距離料金が発生するため事情が異なります。仮に2ヶ月に1回だけ200キロ(東京~箱根間を往復)した場合は、ベーシックプランは5060円に距離料金(16円/km)の3200円が加わり8260円となります。月会費無料プランだと4980円に距離料金(18円/km)の3600円が加わり8580円で数百円ほど高くなります。

そのため基本的には毎月60分以上の利用をする人はベーシックプランの方が得ですが、数ヶ月に1回だけ長時間パックを利用する人は自分のライフスタイルに合わせてプラン選びをするのが賢明です。まずは月会費無料プランで加入しても良いのですが、その後は頻繁に利用する時間パックと距離料金から判断すると良いでしょう。

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料金を他社と比較

カレコの2つのプランを他社のカーシェアと比較してみましょう。日本のカーシェアはステーション数・会員数(詳細は後述)ではタイムズ・オリックス・カレコが圧倒的なトップ3で、これらと差があるもののカリテコが4番手です。さらにドコモのdカーシェアはオリックス・カレコ・カリテコの3社を各社と契約せずに利用できます。この主要5社の初期費用・月額料金・利用料金を比較したのが下図です。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェアの初期費用・月額料金・利用料金・パック料金・距離料金の比較表(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

まず初期費用・月会費ですが、カレコはスマホかSuica等のICカードで解錠するため、タイムズ・オリックスのようにカード発行のための初期費用が不要です。また、タイムズは月会費が必要ですが、カレコはオリックス・カリテコ等と同様に月会費無料のプランがあります。利用料金の最安値は15分あたり187円のカリテコですが、カレコはカリテコ以外の他社よりは安いです。

カレコとオリックスの利用料金は実質同額(カレコもオリックスも60分利用なら840円)ですが、オリックスは短時間利用でも距離料金が発生します。カレコは6時間未満なら距離料金は発生しませんから、短時間利用ならオリックスよりもカレコの方が安いといえます。一方で6時間以上のパック料金ではカレコも距離料金が発生するため、パック料金が安いオリックスの方が得となります。

ステーション数

「全国のカーシェアリング事例一覧2020(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)」によると、カレコの車両ステーション数は2408ヶ所です。2019年は2102所で2018年は1662ヶ所でしたから、毎年300~500ヶ所ほど増加していることになります。ステーション数の増加幅はオリックスよりも大きいため、2017年にオリックスを越すステーション数になりました。

とはいえカーシェアでトップのタイムズとの差は依然として大きいです。タイムズの車両ステーション数は12969ヶ所で、毎年1000ヶ所のペースで増加しています。そのため身近な場所に車両ステーションがあるかという点では、タイムズに圧倒的な優位性があります。下図の主要都市における車両ステーション数を見て下さい。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェアの車両ステーションの合計及び東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の各県にある車両ステーション数(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県でタイムズの車両ステーション数は他社を圧倒しています。西日本の大阪・兵庫・愛知でも同様にタイムズが圧倒的に多く、愛知を地盤にしているカリテコが愛知県内では善戦している程度です。

ただ、オリックス・カレコ・カリテコの3つを利用できるドコモのdカーシェアなら、少なくとも東京においてはタイムズに迫るステーション数になります。タイムズのステーションが自宅から少し遠い人、いつも利用したい時にタイムズでは予約が空いてない人はdカーシェアを検討しても良いかもしれません。

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メリット

カレコのメリットは、まずは入会日に即日利用できる点が挙げられます。15時以降の申込等の即日利用ができないこともあります、ふらっと自動車で外出したい時や急に自動車が必要になった時に便利です。

料金面ではタイムズと異なり月会費無料プランがある点は、数ヶ月に1回程度しか使わない人にはメリットです。小まめに利用する人にも利用料金が安く、かつ6時間以内の利用は距離料金が無料のためメリットがあります。例えば土日だけ駅まで送迎で使いたい人などが考えられます。

車種が他社よりも豊富な点もメリットといえます。それも車種が豊富なだけではなく、他社ではミドルクラスに該当する車もベーシッククラスに含まれている点も見逃せません。例えばホンダのフリードはタイムズ・オリックスはミドルクラスですが、カレコだとミドルではなくベーシッククラスに入っています。

カレコのベーシッククラスの一部車種(出典:カレコ カーシェアリングクラブの公式サイト)

さらにジュニアシートが全車種に配備され、チャイルドシートは一部の車両で配備され三井のリハウスで貸し出しもしています。ジュニアシートはシートベルトが締められる年齢まで子供が達していないと無意味です。その点、チャイルドシートは0~2歳から乗れますから、子供が生まれたことで自動車での移動に魅力を感じている人にはメリットといえます。

その他に三井不動産の各施設(ららぽーと・三井アウトレットパーク・ラゾーナ等)で駐車料金が1~2時間無料になる点、さらにTポイントが200円の利用毎に1ポイント貯まるのも地味にメリットです。

車両ステーション数はタイムズカーシェアには遠く及びませんが、カレコはタイムズに次いでステーション数は多いです。特に東京にあるステーション数は約1800ヶ所で、オリックスを700ヶ所ほど上回ります。神奈川でも275ヶ所でオリックスより50ヶ所ほどカレコの方が多くなっています。

デメリット

カレコのデメリットは、まずは入会キャンペーン(入会特典)が散発的で短い点が挙げられます。キャンペーン中なら入会時に3000円分の利用券がプレゼントされますが、キャンペーン外であれば入会時の特典がありません。カレコは初期費用が0円とはいえ、タイムズ・オリックスなら初期費用無料や2時間分の利用券がプレゼントされるため、入会時期を見誤ると数千円の損をすることになります。

また、月額料金が100円ほど他社よりも高いため、利用しない月があると損が少し大きくなります。基本的に毎月利用するが、たまに旅行や帰省で利用しない月があるようだと少し考え物です。

さらに料金面では小まめに利用する人でも6ヶ月で6万円以上を利用するなら、オリックスはゴールドステージ料金が適用されるためオリックスの方が安くなります。また、1~3ヶ月に1回だけ12時間以上のパックを利用するようだとオリックスの方が安くなるというデメリットがあります。月会費無料プランで6時間以上の利用で適用される距離料金も他社より高めです。

ステーション数も大手の中では2番目に多いとはいえ、タイムズとの差は大きいため自宅からステーションが遠いというデメリットが多くの人にあるでしょう。さらに自宅が最も近いステーションの車が予約が一杯で、肝心の休日に借りられないという可能性もあります。タイムズなら少し自宅から遠いステーションで借りられる可能性があります。

評判・会員数

カレコの会員数は2009年1月の開始から順調に伸びており、2018年が7.3万人、2019年が11.8万人、2020年が17.7万人と増加しています。評判が悪ければ会員数は減るか横ばいになるため、その意味で評判は良いといえます。特に2020年はオリックスより2万人ほど多く増加しているため、数年後には会員数でオリックスを逆転する可能性があります。

とはいえ最大手のタイムズの会員数は2018年が96.5万人、2019年が117万人、2020年が137万人と20万人ペースで増加しており差は大きいです。ステーション数も会員数と関係するのでしょうが、会員数からすればカレコよりもタイムズの方が評判が良いともいえます。

会員数以外の側面から考えると、カレコの方がオリックスよりも評判が悪い可能性もあります。調査会社のJDパワーの「カーシェアリングサービス顧客満足度調査2020」ではオリックスが首位で、次いでタイムズ・カレコの順番です。この調査は3601人を対象にしているため、数人・数十人の口コミよりも信頼が置けます。

カーシェアの顧客満足度ランキング(出典:J.Dパワー 2020カーシェアリングサービス顧客満足度調査)

この調査の評価項目は各種料金・サービスメニュー・車両・予約・コールセンターで、各種料金の評価の比重が33%と高めです。そのためカレコとオリックスの通常料金が同額でも、オリックスのゴールドステージの安さの方が評価されたのかもしれません。もしくは他の面でタイムズ・オリックスよりも評価が低い面があると考えざるを得ません。

その点を示唆するのがオリコンのカーシェアリング顧客満足度ランキング2020(調査対象は1058人)の結果です。総合評価ではJDパワーと同様に3位ですが、個別の評価ではオリックスに劣る面が複数あります。オリックスを上回るのは会員手続き・予約のしやすさ・ステーションの使い方の3項目です。

オリコンのカーシェアリングランキング(出典:オリコン カーシェアリング 顧客満足度調査2020)

その一方でオリックスに劣るのは、サイトとアプリの充実度・車両利用のしやすさ・保険と補償・カスタマーサポート・コストパフォーマンスの5項目です。大規模調査で総合的に勘案すると、少なくとも大手3社の中ではカレコの評判はイマイチといえそうです。

総合評価(おすすめか?)

毎月の利用時間がトータルで1~3時間程度の人、数ヶ月に1回だけ6時間パックを利用する人にはカレコはおすすめできそうです。あくまで自宅の近くに車両ステーションが複数あるという前提ですが、様々な自動車に乗ってみたいという人にも良いかもしれません。

その一方で料金だけではなくステーション数等を総合的に考えれば、タイムズの方がおすすめです。また、6ヶ月間で6万円分(毎月なら1万円程度)は乗るようなら、カレコよりもオリックスの方が安くなります。カレコとオリックスを交互に使って使い勝手を試してみたい人は、dカーシェアも検討した方が良いかもしれません。