トヨタシェアを比較・評価

トヨタシェア(TOYOTA SHARE)
オススメ度:
1
事業者:
トヨタ自動車
名称:
トヨタシェア
初期費用:
0円
月額料金:
無料
利用料金:
150円※15分
特徴:
トヨタの新しいカーシェアサービス

トヨタシェアはトヨタ自動車が展開しているカーシェアリングで、2019年10月に満を持して開始しました。ホンダのエブリゴーは2017年11月に開始しており、日産のeシェアモビも2018年1月に開始しています。自動車大手3社の中では1番出遅れた感はあります。

ただ、利用する車両がcasualクラスなら15分あたり150円~と破格の安さが注目されており、それにトヨタブランドが相まってか会員数は2019年から2020年で一気に増加しています。以下ではサービスの概要から、他社のカーシェアリングと比較した際のメリット・デメリット等を解説していきます。

入会申込・利用方法

入会はスマートフォンのアプリからのみで、PCからは入会はできません。入会のためにアプリをダウンロードして、住所・氏名・クレジットカード情報等を入力して免許証の画像をアップロードすれば入会が完了します。登録から数時間内には入会完了のお知らせのメールが来て、自動車の予約・利用ができるようになります。

トヨタシェアでカーシェアするための3ステップ(出典:トヨタシェア公式HP)

自動車の予約もアプリからステーション・予約日時・車種等を選択して行います。実際の利用時にもスマホのBluetoothでドアロックが解錠でき、エンジンボタンを押して運転が開始できます。他社のように専用のICカードやSuica等は不要で、車両利用中に降車する場合の施錠もアプリで行います。

利用の延長もアプリから可能ですが、あくまで次の利用者がいない場合に限られます。給油の精算は車内にある給油カードで行い、さすがにスマホ決済とはいきません。領収書をサンバイザーに挟んでおく必要もあります。返却時はスマホのBluetoothを通じて施錠して利用終了ボタンを押せば完了します。ここまでスマホ頼りだと電池残量が気になるかもしれませんが、車内に充電器があるため安心です。

▲ページの一番上に戻る

車種・クラス

トヨタシェアの車種は20種で、コンパクト・スタンダード・ミドル・ラグジュアリーの4つのクラスがあります。ただ、まだラグジュアリークラスを配備しているステーションが無いため、実質は3つのクラスともいえます。まずコンパクトクラスにはアクア・ヴィッツ・ヤリスが含まれます。他のタイムズ等のカーシェアと異なりヤリスが含まれているのが特徴的です。

スタンダードクラスにはカローラのようなセダンから、RAV4のようなSUV、シエンタのようなコンパクトミニバンまで8種類の車両があります。コンパクトかスタンダードクラスの車両なら、キャンプでもデートでも家族旅行でも概ねの目的は達成できるでしょう。

ただ、7人以上での外出をする人や、他社にない車に乗ってみたい人はミドルクラスが役に立ちます。ミドルクラスには7人または8人乗りのヴォクシー・エスクァイア・ノアに加えて、最大9人まで乗れるハイエース バンがあります。他社のカーシェアで見かけないトヨタ車だとアリオン・プレミオ・マークXがあります。マークXは2019年12月に生産終了しているため、数少ない乗れる機会となりそうです。

トヨタ・マークX 250Sファイナルエディション

今後はラグジュアリークラスが拡充される予定ですが、現状ではカムリ・ランドクルーザー・プラド等が含まれるようです。他社だとオリックスカーシェアには水素自動車のMIRAI、カレコにはハチロク・ハイラックス等があります。このあたりが先に配備され、クラウン・センチュリー・レクサスといった高級車や、スープラのようなスポーツカーまで将来的に配備される可能性があります。

▲ページの一番上に戻る

料金を他社と比較

トヨタシェアの料金は車両クラス・品質クラス・走行距離・利用時間に応じて決まります。一般的なカーシェアでは車両クラス・走行距離・利用時間で料金が決まり、品質クラスなるものはありません。品質クラスとは車両の新しさ・装備によって決まるクラスです。Basicクラスは現行モデルの新しい車両で衝突回避支援パッケージが搭載されていますが、Casualクラスは現行モデルではない車両等が含まれます。

トヨタシェアの料金表(出典:トヨタシェア公式HP)

そのためコンパクトクラスの車両に乗る場合、車両がCasualなら15分あたり150円となりますが、Basicなら15分あたり200円となります。パック料金もCasualとBasicで20%ほど価格差がありますが、距離料金は両者に違いは無く車両クラス間でのみ差があります。

次にトヨタシェアの料金を他社のカーシェアと比較してみましょう。日本のカーシェアはステーション数・会員数(詳細は後述)ではタイムズ・オリックス・カレコが圧倒的なトップ3で、これらと差があるものの4番手はカリテコです。さらにドコモのdカーシェアはオリックス・カレコ・カリテコの3社を各社と契約せずに利用できます。この主要5社と初期費用・月額料金・利用料金を比較したのが下図です。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・トヨタシェア・eシェアモビ・エブリゴーの初期費用・月額料金・利用料金・パック料金・距離料金の比較表(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

まず初期費用・月額料金ですが、トヨタシェアはスマホで解錠するためタイムズ・オリックスのようにカード発行用の初期費用が不要です。また、タイムズは月会費が必要なのに対してトヨタシェアは月額無料です。タイムズ以外のカーシェア事業者は有料プランと月額無料プランがあり、特にトヨタシェアの方が有利とはいえません。

利用料金は他社と比較すると15分あたり150円でトヨタシェアが最安値となります。日産のeシェアモビと異なり距離料金が発生しますが、トヨタシェアはタイムズ等と同様に6時間以内の利用は距離料金が発生しません。それも発生したとしても、他社の16円/kmよりも安い11円/kmです。パック料金も他社よりも安く、料金面で他社を圧倒しているといえます。

ただし、料金が最安値となるのはコンパクトクラスの品質クラスがCasualの車両を利用した場合です。コンパクトクラスでBasicの車両を利用すると、利用料金は15分あたり200円で6時間パックも3800円となり料金面で他社と大差がありません。そのためCasualの車両に乗れるか、6時間以上の利用で距離料金が発生する使い方をするかが他社よりも有利になるかのカギとなります。

ステーション数

「全国のカーシェアリング事例一覧2020(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)」によると、トヨタシェアの車両ステーション数は194ヶ所です。2019年10月に開始したカーシェアのため2019年と数で比較はできません。現状ではホンダエブリゴーの約100ヶ所よりも多くなりましたが、日産のeシェアモビの409ヶ所の半分程度の数となっています。

他方で自動車メーカー系ではないカーシェア事業者の車両ステーション数は、タイムズが12969ヶ所、カレコが2408ヶ所、オリックスが2016ヶ所です。トヨタシェアは後発サービスということもありますが、それでも他社は桁が違うステーションを持っていいます。さらに下図では全体の数字と共に主要都市における車両ステーション数も比較してみました。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・トヨタシェア・eシェアモビ・エブリゴーの車両ステーションの合計及び東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の各県にある車両ステーション数(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県でタイムズの車両ステーション数は他社を圧倒しています。西日本の大阪・兵庫・愛知でも同様にタイムズが圧倒的に多く、愛知を地盤にしているカリテコが愛知県内では善戦している程度です。トヨタシェアは東京では31ヶ所ありますが、他の関東圏では数えるほどです。お膝もとの愛知県でも決して多くはありません。

圧倒的な数を誇るタイムズに対抗できるとすれば、オリックス・カレコ・カリテコの3つを利用できるドコモのdカーシェアでしょうか。少なくとも東京においてはタイムズに迫るステーション数です。東京在住でタイムズのステーションが自宅から少し遠い人、いつも利用したい時にタイムズでは予約が空いてない人はdカーシェアを検討しても良いかもしれません。自宅近くから車両に乗れるかという点では、タイムズ・dカーシェアに優位性がありそうです。

▲ページの一番上に戻る

メリット

トヨタシェアのメリットは、まずは入会日に即日利用できる点が挙げられます。申込状況によっては数日を要することもあるようですが、基本的には入会日から利用できるため気まぐれでドライブも可能です。また、カーシェア利用には専用カードや交通系ICカードではなくスマホ1つで全てが事足ります。現在では外出時にスマホを忘れる人は少ないため、カードを忘れて家に戻ることもありません。車内に充電ケーブルがあり電池切れの心配もありません。

トヨタシェアのスマートフォンによる予約・利用(出典:トヨタシェア公式HP)

車種は20種類と他社と同レベルですが、全てがトヨタ車で大半が現行モデルという点も人によってはメリットかもしれません。トヨタ車に慣れている人やトヨタしか乗りたくない人もいるでしょうし、現行モデルならほぼ最新の機能が搭載されています。特に品質がBasicなら基本的に衝突回避支援パッケージ(Toyota Safety Sense)が搭載されています。

トヨタ・セーフティ・センスは、自動ブレーキの他にハンドル操作サポート・追従ドライブ支援機能・車線はみ出しアラート等々の機能のパッケージです。高速道路で走行時に先行車を追従してハンドル操作をサポート(ハンドル操作サポート)してくれたり、渋滞時に車間距離を保って自動停止(追従ドライブ支援機能)してくれます。

また、料金面では前述したようにコンパクトクラスで品質がCasualなら、他社と比較して利用料金は最安というメリットがあります。6時間以内の距離料金が無料で距離料金が発生しても安いため、小まめに毎月利用する人でも数ヶ月おきに長時間パックを使う人でもお得です。特に長距離を移動するなら距離料金の安さは費用軽減に役立つでしょう。他社と異なり月額無料プランでも安く、利用時間に応じて自動で最安料金が適用されるのもメリットといえます。

トヨタシェアのショート料金とパック料金(出典:トヨタシェア公式HP)

デメリット

トヨタシェアの最大のデメリットは、車両ステーションが少ない点です。それもBasicの車両だけのステーションもあります。そのため安さを重視してトヨタシェアを使おうと考えたのに、自分の近くのステーションではスタンダードクラスCasualのみ、またはコンパクトクラスBasicのみということが往々にしてあります。メリットでもある衝突回避支援パッケージはBasicのみで、安さを重視すれば最新の安全機能を利用できません。

さらに自動で最安料金が適用される仕組みは、既にタイムズ・オリックス等々のカーシェア事業者では当たり前のことになっています。距離料金が6時間まで無料もタイムズ・カレコでも同様で、さらにいえば日産のeシェアモビなら車種が電気自動車のみのため距離料金が何キロ走っても無料です。

その他に全ての車両にジュニアシートもチャイルドシートも無く、貸し出しも行っていません。タイムズ等の大手3社は全車種でジュニアシート配備しており、チャイルドシートは一部の車両に搭載されているか貸し出しをしています。自分で購入するかレンタルする必要があるため子連れにとってはデメリットです。

評判・会員数

トヨタシェアの会員数は2020年時点で8910人で、サービス開始から1年と考えると上々の伸びといえます。日産のeシェアモビは2019年の5000人から2020年に1万人と増加したのと比較すると、トヨタは一気に会員数を伸ばしたことになります。評判が悪ければ会員数は伸びないと考えると評判は良いといえます。ただ、最大手のタイムズの会員数は20万人ペース、カレコ・カリテコも数万人ペースで増加しておりスケールが違う点は押さえておきましょう。

会員数以外の側面で考えると、オリコンのカーシェアリング顧客満足度ランキング2020(調査対象は1058人)ではトヨタシェアは4位以下となっています。総合ランキングで1位がタイムズで2位がオリックス3位がカレコで、eシェアモビは4位以下となります。

オリコンのカーシェアリングランキング(出典:オリコン カーシェアリング 顧客満足度調査2020)

個別の評価項目ごとのランキングでもトヨタシェアが顔を出すことはありません。そのため大規模調査で考えても大手3社よりはトヨタシェアの方が評判が悪い可能性がありそうです。もちろんサービス開始から間もないため、その点は差し引いて考える必要はあるでしょう。

総合評価(おすすめか?)

おすすめできるのは自宅の近くに車両ステーションがあり、そのステーションにコンパクトクラスのCasual品質の車両がある人だけです。その他の人は現状では様子見で良いでしょう。もしくは車種で魅力を感じた人なら料金はさておき加入しても良いでしょう。

その一方で総合的に考えればタイムズの方がおすすめで、6ヶ月間で6万円分(毎月なら1万円程度)は乗るようならオリックスも悪くありません。豊富な車種と休めの料金ならカレコも選択肢となるでしょう。また、愛知県在住者ならトヨタシェアではなくカリテコを検討を検討した方が良いでしょう。