カリテコを他社と比較・評価

カリテコ(cariteco)
オススメ度:
3
事業者:
名鉄協商
名称:
カリテコ(cariteco)
初期費用:
0円
月額料金:
1045円or無料
利用料金:
140円※10分
特徴:
名古屋・愛知・岐阜・三重のカーシェアリング

カリテコは愛知県を地盤に駐車場事業等を展開している名鉄協商のカーシェアリングです。タイムズ・オリックス・カレコと異なり47都道府県で展開はしていませんが、東京でも荻窪・三鷹・武蔵境・国分寺・立川等の住宅地に車両ステーションがあります。

カリテコの最大の特徴は利用料金の安さで、デラ乗りプランなら15分あたり187円と他社と比較して最安値となっています。「でら」は名古屋弁で「とても・すごい(すごく)」といった意味があります。以下ではサービスの概要から2つの料金プランの違い、さらに他社のカーシェアリングと比較した際のメリット・デメリット等を解説していきます。

入会申込・利用方法

入会方法はインターネット・郵送・説明会・カリテコセンターの3つがあります。インターネットであれば住所・氏名・クレジットカード情報等を入力して、免許証の画像をアップロードすれば完了します。ただ、利用するためのIDの連絡は3~5営業日後となるため入会日に即日利用とはいきません。郵送での入会も書類が行き来する分だけ時間を要するため即利用開始とはいきません。

カリテコの入会方法(出典:カリテコ公式HP)

その点、カリテコ説明会(不定期開催)だとスタッフが説明会後に手続きしてくれるため、IDは入会日の翌営業日には通知されます。説明会ではなくカリテコセンターで入会すると即日利用が可能ですが、カリテコセンターは名古屋に1つ(名駅南の住友生命名古屋ビル9F)だけで事前予約も必要なため使い勝手が良いとはいえません。

自動車の予約はアプリが無いためPC・スマホのブラウザからのみで、予約日時・車両ステーション等を入力すれば完了します。あとはICカード(Suica・manaca・TOICA・ayuca等)でドアロックが解除して、車内にある運転キーで運転が開始できます。利用時間の延長はWEBかカーナビで手続きが可能で、給油は車内にある給油カードで支払うため自腹を切る必要はありません。それどころか翌月の利用分が15分間分の割引が受けられます。

ちなみにカリテコの車両は名鉄協商が運営するパーキングでの駐車が無料となります。目的地の近くに名鉄協商のパーキングがあれば積極的に利用すべきでしょう。タイムズでもカーシェアは駐車料金の割引に留まるため、カリテコならではのメリットといえます。

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車種・クラス

カリテコの車種は2020年時点で30種で、ミニクラス・コンパクトクラス・ミドルクラス・BMWクラスの4つに分かれています。ミニクラスには日産のデイズ・ホンダのN-BOX・スズキのハスラー・ダイハツのタント等の軽自動車があります。最近の軽自動車は車内も広めとなっており、ホンダのN-BOXなら座面を跳ね上げればベビーカーを折り畳まずに積めます。

コンパクトクラスにはトヨタのヴィッツ・ホンダのフィット・日産のノートなどがあり、その中にはMINI COOPERも含まれます。タイムズではMINIは外車のためかプレミアムクラスで料金が高めですが、カリテコならコンパクトクラスでMINIに乗れます。

ミドルクラスにはトヨタのプリウス・カローラ・ハリアーやホンダのフリードがありますが、他社よりは種類は少なめです。BMWクラスは現在は118iのみで、配備されている車両ステーションも栄駅・伏見駅・徳重駅の3ヶ所の車両ステーションのみです。

カリテコのMINIとBMW 118i(出典:カリテコ公式HP)

デラ乗りプランとチョコ乗りプランの違い

カリテコにはデラ乗りプランとチョコ乗りプランがありますが、基本的な利用方法・車種等には違いはありません。2つのプランの違いは料金面のみで、月会費の有無と時間料金が2つのプランでは異なります。まずは下図の両プランの料金表を見て下さい。

カリテコのデラ乗りプラントチョコ乗りプランの違い・比較表(出典:カリテコ公式HP)

デラ乗りプランだと月会費1045円が発生しますが、月会費は利用料金に充当できます。利用料金は15分あたり187円のため、毎月90分利用すれば187×6=1122円となり利用料金は月会費でほぼ相殺されます。一方で月会費無料プランの時間料金は15分あたり209円のため、毎月90分の利用で209×6=1254円となります。毎月90分の利用をするならデラ乗りプランの方が得となります。

しかし、毎月の利用時間が75分ならデラ乗りプランは1045円、チョコ乗りプランは1045円でトントンとなります。さらに利用時間が60分なら前者が1045円で後者が836円で逆転し、チョコ乗りプランの方が得となります。そのため毎月の利用時間が75分以上か以下かが最適なプラン選びの分岐点となります。

さらに数ヶ月に1回だけ長時間利用する人は、プラン選びはケースバイケースとなります。例えば2ヶ月に1回だけ6時間パックを利用する人は、デラ乗りは4785円でチョコ乗りは4290円のためチョコ乗りの方が得です。それが2ヶ月に1回だけ12時間パックを利用する人だと、デラ乗りは6325円でチョコ乗りは6380円でデラ乗りの方が僅かに得になります。

そのため数ヶ月に1回だけ長時間パックを利用する人は、自分のライフスタイルに合わせてプランを変更するのが賢明です。まずは月会費無料プランで加入して、その後は利用頻度と使う回数の多いパックから判断してプランを変更すると良いでしょう。

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料金を他社と比較

カリテコには2つのプランを他社のカーシェアと比較してみましょう。日本のカーシェアはステーション数・会員数(詳細は後述)ではタイムズ・オリックス・カレコが圧倒的なトップ3で、これらと差があるもののカリテコが4番手です。さらにドコモのdカーシェアはオリックス・カレコ・カリテコの3社を各社と契約せずに利用できます。この主要5社の初期費用・月額料金・利用料金を比較したのが下図です。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェアの初期費用・月額料金・利用料金・パック料金・距離料金の比較表(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

カリテコは初期費用990円がICカード発行手数料として必要ですが、自前の交通系ICカードを使うなら無料のためタイムズ・オリックスよりも有利です。さらに月額無料のプランがある点でもタイムズより有利です。一方で月額料金はタイムズ・オリックス・カレコよりも数百円高めです。月額料金は利用料金に充当されるとはいえ、毎月の最低利用時間の縛りが他社よりも少し厳しいといえます。

カリテコの利用料金は15分あたり187円で、主要5社の中では最安値です。それも安さで評判のオリックスは6時間内の利用でも距離料金が発生するのに対してカリテコは6時間内は無料です。パック料金だと料金自体はオリックスの方が安いのですが、距離料金がオリックスの16円/kmよりもカリテコの11円/kmの方が安いです。そのため料金ではカリテコに優位性があるといえます。

ステーション数

「全国のカーシェアリング事例一覧2020(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)」によると、カリテコの車両ステーション数は365ヶ所です。2019年は337ヶ所で2018年は315ヶ所でしたから、毎年20~30ヶ所ほど増加しています。

オリックスやカレコのステーション数は数百ヶ所ずつ毎年増加しており、最大手のタイムズに至っては数千ヶ所ずつ増加しています。そのためカリテコのステーション数は増加幅では10%と大きいものの、圧倒的に数字面では他社よりも厳しいです。

ただ、カリテコの地盤である愛知であれば情勢は少し異なります。車両ステーション数が最も多いのはタイムズの591ヶ所ですが、それに次いで多いのはカリテコの325ヶ所です。オリックスの94ヶ所やカレコの4ヶ所よりも圧倒的に多い数です。下図の主要都市における車両ステーション数を見て下さい。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェアの車両ステーションの合計及び東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の各県にある車両ステーション数(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

タイムズに匹敵する車両ステーション数から考えると、愛知県在住者ならカリテコでも自宅から数分の場所でカーシェアを利用できる可能性があります。さらにオリックス・カレコ・カリテコの3つを利用できるドコモのdカーシェアなら、オリックスの94ヶ所とカレコの4ヶ所を合算して423ヶ所となるためタイムズに匹敵する数になります。

その一方でカリテコの一都三県の車両ステーション数は15ヶ所、大阪・兵庫に至ってはステーションがありません。やはり関東圏の一部の人を除いては、カリテコは愛知県在住者向けと考えるのが無難です。もしくはdカーシェアでカバーするしかありません。

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メリット

カリテコは料金面でのメリットが最も大きいでしょう。タイムズと異なり月会費無料プランがあるため、数ヶ月に1回程度しか使わない人に向いています。月会費が無料プランはオリックス・カレコにもありますが、これらより分単位の利用料金が安く名鉄ミューズカードならμスターポイントが2倍貯まるオマケ付きです。

6時間以上の長時間パックを定期的に利用したい人はオリックスでも良いのですが、前述したように距離料金がカリテコの方が安いです。名古屋~大阪間の170kmだと距離料金では1000円ほどの差があり、オリックスとカリテコのパック料金の差額を加味してもカリテコの方が安くなります。

愛知県内で名古屋~豊橋間の84kmだと距離料金は500円ほどの差になるため微妙ですが、カリテコなら名鉄協商のパーキングを無料で利用できるメリットがあります。東海地方を中心に3000ヶ所以上の名鉄協商のパーキングがあり、駐車場代で差額は埋められるともいえます。

名鉄協商のパーキング・駐車場数の推移グラフ(出典:名鉄協商パーキング公式HP 駐車場事業のご案内パンフレット)

カリテコ会員が愛知県外へ移動・旅行するならJR駅の近くにある駅レンタカーを利用する手もあります。JR西日本の駅にあるレンタカーサービス(駅レンタカー)が、会員特別価格で日帰りで5190円・1泊2日で9470円から利用できます。例えば名古屋から金沢までは新幹線+特急で、金沢観光や能登までの観光は車でするといった具合です。

また、車種はタイムズ(30種)やオリックス(29種)とほぼ同数ですが、前述したようにMINIがコンパクトクラスで乗れるメリットがあります。車両ステーション数も愛知県内ではタイムズに迫る点もメリットで、東京にも数ヶ所あるため愛知から観光に来た際にレンタカー代わりにも使えます。

デメリット

カリテコのデメリットは、まずは入会手続きから利用開始まで3~5営業日を要する点が挙げられます。タイムズ・オリックスもカリテコと同様ですが、カレコはインターネットで15時前に申し込めば即日利用が可能です。そのため早く利用を開始したい人には入会手続きはデメリットになります。特典がある入会キャンペーンが少ない点もデメリットといえます。

また、他社との料金比較で既述したように月額料金が他社よりも100円ほど高めです。絶対に毎月利用する人には問題ありませんが、利用しない月があると他社より僅かに損が大きくなります。たまに旅行や帰省で利用しない月があるか考えておく必要があります。

東京にあるステーション数が14ヶ所だけというのも、東京在住者には明らかにデメリットです。東京でも杉並区・練馬区・台東区・国分寺市に1ヶ所ずつ、千代田区・武蔵野市に2ヶ所ずつ、中央区・立川市に3ヶ所ずつと偏りがあります。神奈川には平塚市に1ヶ所あるだけです。

東京にあるカリテコの車両ステーション一覧(出典:カリテコ公式HP)

さらに車両ステーション数は愛知県では多いといっても、タイムズより300ヶ所ほど少ないです。そのため自宅の近くにステーションがある可能性はタイムズの方が高く、予約が取れない時に他のステーションを探す時もタイムズの方が近い可能性が高いです。

その他に給油できるガソリンスタンドは、ENEOSと宇佐美グループに限られる点もデメリットに挙げられます。他の出光・昭和シェル等では給油できないため、給油するのに一手間を要するかもしれません。

カリテコで給油ができるガソリンスタンド(出典:カリテコ公式HP)

評判・会員数

カリテコの会員数は2009年11月の開始から伸びており、2018年が2.3万人、2019年が2.7万人、2020年が3.1万人と増加しています。評判が悪ければ会員数は減るか横ばいになるため、その意味で評判は悪くないといえます。

ただ、最大手のタイムズの会員数は2018年が96.5万人、2019年が117万人、2020年が137万人と20万人ペースで増加しています。オリックス・カレコも数万人規模で増加しており、拡大規模はカリテコと比較になりません。東海圏が地盤という点を加味しても、会員数からすれば他の大手の方が評判が良いともいえます。

会員数以外の側面から考えても、大手3社よりも評判がイマイチな可能性があります。調査会社のJDパワーの「カーシェアリングサービス顧客満足度調査2020」では調査対象外ですが、オリコンのカーシェア満足度2020では調査対象に入っているにも関わらず大手3社よりも低い順位です。これらの調査は数千人を対象にしているため、数人・数十人の口コミよりも信頼が置けます。

総合評価(おすすめか?)

愛知県在住者と関東圏の一部の人には悪くないカーシェアといえそうです。特に安い料金が最大の魅力で、他のカーシェアと異なり小まめに毎月利用する人も数か月に1回だけ利用する人にもメリットがあります。東京在住で自宅の近くにステーションがある人は幸運かもしれません。

また、カーシェアというと若い世代が利用していると思うかもしれませんが、カリテコのメイン利用層は40~50代です。子供が中学生・高校生になって車の利用頻度が減った人などが、自家用車からカーシェアに切り替えているのかもしれません。

カリテコの利用者の年齢層(出典:カリテコ利用アンケート2020)

さらに60~80代の利用者も相応にいることから、退職して自動車通勤が不要になった人がカーシェアにしている可能性もあります。通勤には自動車は不要でも買い物には使いたいといったニーズがあるのでしょう。両親が高齢になって自動車の利用回数が減っているなら、カーシェアへの切り替えを勧めるのも良いかもしれません。

とはいえ愛知県在住ではない人や、自宅からカリテコのステーションが遠い人は他のカーシェアがおすすめです。ステーション数が多いタイムズ、6ヶ月間で6万円分(毎月なら1万円程度)は乗るようならオリックス、数か月に1回だけ利用するならカレコを検討するのが賢明でしょう。