外国株式と税金のまとめ・概要

外国株式の売買・配当金への課税で注意すべき点は!?

海外には日本企業とは別に魅力的な企業が多くあり、分散投資の観点からも海外企業への投資を検討している人もいるだろう。アメリカであればアップル・グーグルに加え最近ではテスラモーターなどが日本人に人気だ。ヨーロッッパ企業の株式を扱う証券会社は少なく、時価総額も米国企業とは比較にならないが、フォルクスワーゲン・BMWといった自動車メーカーやUBSやHSBCなどの世界に名だたる金融グループもある。

取引の際には日本株式と異なり、為替が影響する点(円安になればプラスで円高ならマイナス)や、取引手数料が500~2500円と高いなどの注意点がある。それでは、外国株式を取引する上で税金面で注意すべき点はあるのだろうか?

外国株式の売買益・譲渡益・配当金への課税(税額控除の有無とNISAでパターン分け)

上図はアメリカ株式を取引した場合だが、売却益ではアメリカで課税されることはなく、日本の税金で約20%(正確には復興税を入れた20.315%)のみが課せられる。問題となるのは配当金で、まずは外国税額控除を確定申告で利用するかしないかで差が出る。この外国税額控除は諸外国で税金を徴収されて日本でも税金を徴収されては、二重課税となり投資家に不利益になるため設けられている制度だ。制度なしだと合計で約30%とられる税金だが、外国税額控除を利用すれば日本の税金分が軽減され合計で約20%となる。アメリカの税額である10%が日本の約20%から差し引かれている計算だ。

ただ、この税額控除が得なのは間違いないが、確定申告が必要になる点は注意が必要だ。外国税額控除の項目に配当金額を記載するだけではあるが、手間がかかるのは間違いない。電子申告(e-tax)でなければ、書類を集めて提出することになる。

外国税額控除をも上回って得になるのがNISA口座を利用した場合だ。NISAなら売却益で税金を徴収されることはなく、配当金でもアメリカで徴収される税金だけで済む。これなら確定申告も必要なく、なかなか使い道に困るNISAの有効な利用法といえなくもない。

しかし、この方法も万能なNISAの利用方法とは言い難い。というのも、日本株であれば約20%の非課税効果を持つNISAが、外国株式だと10%の非課税効果(外国税額控除を利用した場合と比較)しか持たないためだ。この10%分は確定申告を省略できる手間賃と考えるしかない。。。

以上のように、基本的に外国株を取引する場合には、確定申告を前提に税額控除を利用して節税するか、NISA口座で手間を省くのがオススメだ。また、確定申告の有無が絡んでくるのは配当金に関してのみのため、配当が出るまで保有する気が無いならNISAを利用する必要もない。もちろん、確定申告で外国税額控除も利用する必要はない。マネックスやSBI証券などであれば外国株でも特定口座が利用できるため確定申告は必要ない。他方で、外国株で特定口座(源泉徴収あり)を選択できない証券会社だと、確定申告が必要になることがあるため注意が必要だ。