ゼロクーポン債のメリット・デメリットと税金

ゼロクーポン債のメリット・デメリットとは?そして税金はいくら!?

ゼロクーポン債は、利率がゼロで利付債のように利子が無い代わりに、債券の券面額(償還金額)を下回る価格で発行され満期時の償還で利益が得られる債券だ。いわゆる割引債のことなのだが、国内の割引国債など区別するために、海外で発行された割引債をゼロクーポン債と呼ばれている。それではゼロクーポン債には、どのようなメリットがあり、その裏にデメリットとリスクが潜み、そして課税されるのだろうか?

まずメリットだが、一般的にはゼロクーポン債の方が利付け債の外債よりも少額からの投資ができると言われている。ただ、現在では利付債でも数十万から投資可能なものもあり、大きなメリットとは言い難い。

それよりは①国内の割引債よりも利回りが高い ②為替差益があるという2点が主なメリットといえる。①の高利回りだが、そもそも利子が無いゼロクーポン債でも割引額を利子とみなして利回りが計算される。例えば1年ものの債券で償還金額が100万円の債券を、10%割引の90万円で購入したとする。その場合、(100万-90万)÷90万円=0.1111となり、利回りは11.11%ということになる。利回りで計算するのが面倒であれば、割引率が国内の割引債よりも大きいということだけ覚えておいてもいい。

②為替差益だが、これはメリットでもありデメリットでもある。仮に米国債のゼロクーポン債を購入したなら、購入時よりもドル高円安になれば償還金は外貨から円に戻る際に為替差益が発生する。逆に円高になれば為替差損が発生することになる。利付国債であれば、利子を受け取る度に為替レートの影響を受けるが、割引債の場合の1回勝負(購入時と償還時)だ。そのため為替変動の影響を利付け債よりも大きく受けることになる。下手をすれば割引分が為替で吹き飛ぶことも十分にある。

デメリットは前述した為替リスク以外に、流動性のデメリット(流動性リスク)がある。中途売却をしようとすると証券会社を通じて行うことになるが、想像よりも安く買い叩かれる可能性がある。これは証券会社でも容易に転売ができない(転売できなければ償還まで持つことになり負債になる可能性が出てくる)という理由があるためだ。このデメリットは致命的なもののであるため、個人が購入したなら満期まで保有することがセオリーといえる。デメリットではなく外債に共通のリスクに、債券を発行した国が元本を支払えなくなる債務不履行リスクがあることも忘れてはならない。

2016年以降の公社債と公社債投信の課税関係(所得・申告・損益通算など)と変更点

税金に関しては、2016年1月から大きく変更された。満期まで保有して受け取る償還金の差益は特定口座であれば約20%の源泉分離課税で、あらかじめ利益から税金が差し引かれることになった。投資信託や株式と同じ仕組みになったといっていい。仮に100万円の債券を90万円で購入すれば、その差益の10万円が課税の対象となり2万円が引かれる。この際、購入時よりも円安が進んでおり為替益があると、その分もまとめて課税されることになった。

以上のように、利回り(割引率)が国内の債券よりも外債の方が大きいというメリットがある反面、為替リスクと流動性リスクがある。他の外債と同様に円安が進むと予想しているか、もしくは割引率から利率・利回りを計算して、想定する円高でも相応のリターンが得られると考えられる人には十分に投資する価値があるものといえよう。また、税金面では2016年の変更で損益通算が可能になったため、為替差損があれば他の資産(株・投信など)と損益通算で節税を考えた方がいいだろう。最寄の税理士に無料相談するか、税理士主催の無料の相談会や各自治体が催す無料の税金セミナーに行くのもいいだろう。