利付債と税金

利付債に課される税金は2016年以降は大きく変更された!

利付債は、債券の券面金額(償還金額)と同額で募集・販売され、償還までは利子が受け取れ、償還日には券面金額が受け取れる債券だ。現在では公債(国債と地方債)も社債も利付債が現在では主流となっている。それでは利付債に課される税金は何だろうか?

まず2016年から政府の「金融所得課税の一体化」が施行され、債券に関する税制が大幅に変更された点を抑える必要がある。利子に関しては利付債の利子は利子所得で、個人投資家は利子を受け取る際に、約20%(所得税+住民税+復興税)が差し引かれる源泉徴収となっていた。2016年以降は利子を特定口座で受け取れば従来通りだが、特定口座でなければ確定申告が必要となった。その代わり、他の特定口座で取引している株式・債券と損益通算が可能となったため、損益通算で節税ができる可能性が生まれた。

2016年以降の公社債と公社債投信の課税関係(所得・申告・損益通算など)と変更点

さらに、アジア開発銀行や世界銀行が発行する一部の債券は、源泉徴収がされず総合課税となる規定も消滅した。従来は総合課税で給与・雑所得・一時所得などと合算され課税されていたが、2016年以降は源泉徴収が行われることになった。特定口座であれば確定申告が不要、そうでなく申告分離課税であれば自分で計算して確定申告することになる。

また、償還時に受け取る償還金も2016年の改正で扱いが変わった。購入額と同額で利益が無ければ非課税だが、利益が出れば雑所得ではなく譲渡所得として扱われる。仮に償還金で損失があれば利子と損益通算も可能になっている。注意したいのは、従来は他の雑所得と合算して20万円を超えなければ実質は非課税だったのが、特定口座で源泉徴収であれ申告分離課税で確定申告するにせよ、20万円には関係なく課税されるということだ。もちろん、他の株式・投信と損益通算して利益がゼロかマイナスなら課税はされないが。。。

また、利付国債で券面額を下回る額で購入することは普通は考えにくいが、既発債であれば考えられなくもない。既発債は、既に発行されていて市場で売買されている債券で、その価格は市場が利率・残存期間・金利情勢などによって決められるためだ。

逆に既発債でも券面額を超える額で購入して、償還日まで保有すると損失が出る場合も考えられる。この場合には利益が出た場合と同じく譲渡所得で損失ということになる。他の譲渡得と損益通算することで節税となるため、特定口座にするか確定申告にする必要がある。

以上のように、利付債では利子に係る約20%の税金と、償還時にプラスとなっても同じく約20%の税金がかかると覚えておけばいいだろう。さらに、それらは株式・投信と損益通算ができ、面倒なら特定口座を利用すると覚えておけば十分だろう。それでも不安なら最寄の税理士に無料相談するか、税理士主催の無料の相談会や各自治体が催す無料の税金セミナーに行くといいだろう。