ワールド・ソブリンインカム(愛称:十二単衣)/ 岡三アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 岡三アセットマネジメント
- 商品名:
- ワールド・ソブリンインカム(愛称:十二単衣)
- 地域/決算:
- 海外・先進国 / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,755円(2012年11月14日付け)
- 手数料:
- 2.0%(最安手数料 ※SBI証券) 1.05%(信託報酬)
岡三ワールド・ソブリンインカムは数字が貧弱でオススメできない
この投信は、世界中の先進国の債券に投資し分配金を出している。世界中とはいえ、ほぼ投資しているのは8カ国(アメリカ・イギリス・イタリア・ドイツ・オーストラリア・日本・フランス・カナダ)に絞られている(ただし現在は状況が異なる)。他社ソブリン債型投信では、投資対象国を4カ国に限定した投信、ほぼ際限が無い投信も存在しているため、投資対象国の数は中間ともいえる。
さて、過去1年の分配金履歴を振り返ると、毎月30~38円を出していた。2010年から2012年1月まで38円を維持していたが、2012年2月から現在まで30円に減配されたままでいる。今後も更に減配される可能性は否定できない。
まず基準価額だが、一部の他社ソブリン債型投信を除いた大抵の投信と同様に、右肩下がりで下落を続けている。特にリーマンショック時と欧州債務問題が過熱した時期の下落幅が大きい。近々は微妙に盛り返しているが、長期の流れを覆せるほどの勢いは無い。累積投資額も減配の影響もありベンチマークとの乖離が進んでいる。今後は経済情勢が回復しても思ったほど上昇しない可能性が高い。純資産は反発する気配が皆無で、ひたすら減少を続けている。この状況が継続されれば、さらなる減配の可能性も高い。
この投信が投資している債券の比率では、米国債が約30%、カナダが18%、イギリス・ドイツが約15%で、その後はフランスとオーストラリアが続く。冒頭では8カ国に投資すると述べたが、ファンド設立当初とは欧州の状況が大きく異なるため、イタリア国債の比率が0%になっている。代わりに欧州ではドイツ・フランスといった財務状況が比較的良好な国と、資源が豊富なカナダの比率を高めに設定することで、リスクヘッジをしているようだ。左図のベンチマークとの差異を見れば、ベンチマークのチャートとの乖離にも頷けるはずだ。
個別の構成銘柄には各国の国債が並んでいる。アメリカ国債の内訳では、償還までの期間が比較的短い債券が高比率で、欧州各国の債券は2019・2024年に償還を迎える債券も高めの比率に設定されている。米国債と比較して、欧州各国の債券は期間が長くとも利回りが高いこともあり、相応の利息収入を見込んでの構成だろう。
今後の債券市場の見通しだが、現在は各国の相次ぐ金融緩和で債券に相当の資金が流入している。そのため債券価格は上昇し、債券利回りは低下する傾向にある。債券型投信への影響は、債券価格の上昇で資産額が上昇し基準価額の上昇と売却益にプラス寄与する一方で、債券利回りの低下で利子収入が減少するため分配金の維持にマイナス影響を及ぼす。あまり良い状況とはいえない。また、各国の経済情勢は他投信ページの該当箇所を参照してほしい(アメリカ経済見通し・カナダ経済見通し・トルコ経済見通し・メキシコ経済見通し)
次に、他社のソブリン債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 国際投信 グローバルソブリン オープン |
DIAM 高格付けインカム オープン |
大和投信 グローバル債券 ファンド |
日興アセット 高金利先進国債券 オープン |
岡三アセット ワールド ソブリン |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 4,775円 | 7,608円 | 6,304円 | 7,134円 | 7,755円 |
増減率 | -1.2% | +2.4% | -2.0% | -0.8% | +2.5% |
手数料 | 0% | 1.0% | 2.0% | 1.0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.25% | 1.00% | 1.25% | 1.25% | 1.05% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 7.5% | 4.5% | 3.5% | 10.5% | 3.6% |
3年分の 利益額 |
221,374円 | 120,615円 | 85,266円 | 305,738円 | 82,765円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,184,606円 | 1,195,089円 | 1,025,868円 | 1,281,739円 | 1,246,137円 |
最終予想 利回り |
5.81% | 6.12% | 0.85% | 8.63% | 5.03% |
上図で「岡三ワールド・ソブリンインカム」を比較したが、まず基準価額が1年前の7568円より2%以上上昇しているのが分かる。この数字だけ見ると好材料なのだが、前段のチャート画像を思い出すと、この数字が偶然の産物である可能性は否定できない。2011年11月は欧州債務問題でギリシャの問題がピークに達しつつあった時期だ。そこで他社より一段と下げてしまったため、現在はプラスに見えるのだろう。また、手数料は高額だが(高額といっても3%とる他タイプの投信より安価だが)、信託報酬は安価な部類に入る。分配金が減額された影響もあり、分配利回りは他社比較するとワーストだ。ただし、基準価額がプラスに転じているため、想定では5%前後の計算にはなる。ただし、前述したように基準価額がフロックであると読むと、最終予想利回りは2%あるか無いかというのが妥当だろう。
最後に結論だが、数字面で貧弱なためオススメはできない。構成銘柄では問題は無さそうだが、リスク回避のためかイタリアを完全に外した点こともありベンチマークとの乖離も進んでいる。今後も市場が堅調に伸びてもパフォーマンスは伸び悩む可能性が高い。やはりオススメはできそうにない。ちなみに、現在保有中の人は解約・乗り換えを検討しても良いだろう。近々は反発しそうな気配を見せているが、長期的スパンで見た下落の流れは止めようがあるまい。累積投資額などを見ながらタイミングを計るのが妥当だろう。